創業者の故ジャニー喜多川氏による性加害問題に揺れるジャニーズ事務所が7日、記者会見を開き、性加害を認めて謝罪。社長の交代などについて明らかにした。多くのメディア関係者が詰めかけ、4時間以上に及んだ会見。その内容を、海外メディアも相次いで速報した。
* * *
今年3月に故ジャニー喜多川氏による性加害疑惑についての特集を報道し、“火付け役”となった英BBC(英国放送協会)は、記者会見の内容をトップニュースとして速報した。
記事の見出しは「ジャニー喜多川:Jポップ事務所社長がプレデターの暴行で辞任」。「プレデター」とは「捕食者」や「他者を食い物にする人」といった意味を持つ単語だ。
記事では、喜多川氏が日本のエンタメ業界で最も影響力のある人物であり、ジャニーズ事務所が何十年にもわたってボーイズバンドを独占してきたと紹介。被害者が「性的要求に従わなければ、自分たちのキャリアが損なわれると思った」と語っていることを紹介した。
また、米ニューヨーク・タイムズは「日本のタレント事務所、創設者が世話をしている少年たちを食い物にしていたと認める」、米CNNも「日本のトップポップ事務所の社長が亡くなった創設者による数十年にわたる未成年者への性的虐待を認め辞任」とそれぞれ報じた。
その他にフランスや中国、中東などのメディアも、今回の会見を報道している。
■海外の「事例」とともに報道
世界中のメディアなどに記事を配信しているロイターは、「日本のジャニー喜多川の性暴力スキャンダルがJポップ事務所の再編を強いる」という見出しで速報した。
記事では、米ハリウッドの映画プロデューサーで、多数の女性に対する性暴力が発覚して有罪判決を受けているハーベイ・ワインスタイン氏や、死後に少年少女への性的虐待が発覚したイギリスのテレビスターのジミー・サヴィル氏のスキャンダルを示したうえで、「日本国民の憤りの感情は、アメリカやイギリスで見られた反応と似ている」と伝えた。
また、国連の人権専門家からの批判や国会での法改正の動き、ジャニーズ事務所のタレントを広告に起用している大手企業が契約解除を検討しているといった影響の大きさを紹介している。
今回の会見では、代表取締役社長の藤島ジュリー景子氏が引責辞任し、タレントの東山紀之氏が新社長に就任することなどが発表されたが、「改革」は実現するのか、疑問の声も根強い。東山氏による新体制の行方を、世界が注目している。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)
外部リンク