こんにちは、「健康ぴた」編集部です。
正しいと思い込んでやっていた健康法や対処法が、実は間違いだったということがあります。
鼻血が出たときの対処法として、鼻にティッシュを詰めるのもその1つです。
その理由や正しい対処法について久野銀座クリニックの岡村信良先生にお聞きしました。
子どもがよく鼻血を出す理由
子どもはよく鼻血を出すものでが、それは、ある行為が原因です。
編集部
岡村先生、子どもはどうしてよく鼻血を出すのでしょうか?
岡村先生
子どもの鼻血の多くが、鼻をほじることが原因で起こります。
編集部
鼻をほじることも原因のひとつだということですね。では、その理由についてお聞かせください。
岡村先生
鼻をほじることで、鼻の中が傷つき、出血しやすくなります。また、傷が癒える前に触ってしまうので、何度も鼻血が出るというわけです。
編集部
意外にも、よくありがちな理由ですね!確かに、治りかけの傷はむずがゆくて触りたくなります。親御さんは、お子さんが鼻をほじっているのを見かけたら、やめさせるようにした方が良いですね。
キーゼルバッハ部位とは?
鼻をほじることが原因で、傷つきやすい場所があります。
編集部
鼻ほじりをしたときに、傷つきやすい場所はどこですか?
岡村先生
キーゼルバッハ部位です。
編集部
初めて聞きましたが、それはどのあたりなのでしょう?
岡村先生
鼻の入り口から1㎝くらいの部分にあります。細く小さな血管が多くある場所なので、少しの刺激でも傷が付きやすく出血してしまいます。
編集部
ちょうど、鼻の穴に指を入れたときに当たりやすい場所ですね。
鼻血にティッシュは間違い!?正しい応急処置
鼻血が出たとき、どんな応急処置をしていますか?
ティッシュを鼻に詰めるのは、NGです。
正しい応急処置は、子どもだけではなく大人も同じなのでぜひ参考にしてください。
編集部
鼻血が出たときの応急処置として、わたしたちが常識だと思っていたことが間違いらしいのですが…鼻にティッシュを詰めるのが、間違いだって本当ですか?
岡村先生
本当です。ティッシュを鼻から抜く際に、傷口を擦り再度出血してしまいます。
編集部
では、首の後ろをトントン叩くのは?
岡村先生
脳振盪を起こす原因になりかねないのでやめましょう。
編集部
上を向くのはどうなのでしょう?
岡村先生
血が喉を流れ込むと具合が悪くなるので、これもやめたほうがいいですね。
編集部
今まで当たり前のようにやっていた方法は、間違いだったのですね!やってはいけない理由も納得です。では、正しい応急処置について教えてください。
岡村先生
子どもの場合、まずは落ち着かせてください。ティッシュやガーゼは軽く押し当てる程度にしましょう。座って少し下を向き、小鼻を5~10分くらいつまみ止血します。大人の場合も同様です。
編集部
ティッシュはあくまで、軽く押し当てる程度で鼻血をぬぐうために使うと良いのですね。では、これは病院へ行った方が良いというケースを教えてください。
岡村先生
数十分経っても鼻血が止まらない、何かにぶつけて大量に鼻血が吹き出した、意識がない場合は、頭蓋骨や鼻などの骨折、病気の影響も考えられるので病院を受診しましょう。出血が止まりにく凝固因子(ぎょうこいんし)異常や、腫瘍でも鼻血がでやすくなります。
編集部
子どもはよく転んだり、何かに激しくぶつかったりします…そんな場面で鼻血が吹き出したら、念のため病院へ行った方が安心ですね。
鼻血に関する豆知識
「興奮すると鼻血が出る」「チョコの食べ過ぎで鼻血が出る」という話を聞いたことがあるかもしれません。
また、最近ネットで「ワセリンで鼻血が止まる」というような情報も見かけますが、それぞれ医学的な根拠はあるのでしょうか?岡村先生にお聞きしました。
編集部
昔からよく「興奮すると鼻血が出る」といわれていますが、医学的には何か根拠はあるのでしょうか?
岡村先生
興奮することで血管が拡張され、鼻血が出る可能性は否定できませんが、医学的な根拠は皆無と言えるでしょう。
編集部
では、チョコレートを食べ過ぎると鼻血が出るというのは?
岡村先生
血糖値・カフェインが原因になると言いますが、健康な人がチョコを食べただけで鼻血が出るとは考えにくいです。ご飯を食べたりお茶を飲んだりしても鼻血はでませんよね?
編集部
確かにそうですね。血糖値やカフェインが原因であれば、ご飯やお茶、コーヒーでも鼻血が出るはずですよね。では、最近ネットでも話題になっている「鼻血が出たときにワセリンを塗ると止まる」というのは本当でしょうか?
岡村先生
ワセリンにはラップ効果があるので、止血に使う人もいるようです。しかし、量が出ていると、それだけでは不十分なので小鼻を押さえる止血も行ってください。ワセリンは、鼻血が止まった後に塗ると皮膚保護作用もあります。
編集部
止血するにはワセリンを塗った上で、小鼻を押さえるのがより効果的なんですね。また、止血後のケアにもワセリンが使えるというのは目からウロコでした!岡村先生ありがとうございました。
まとめ
子どもはよく鼻血を出しますが、それはキーゼルバッハ部位が傷付いて起こる出血がほとんどです。キーゼルバッハ部位が傷付く理由のひとつに鼻をほじることが挙げられます。
また、今までやっていた「鼻にティッシュを詰める」「首の後ろをトントン叩く」「上を向く」といった応急処置は危険な行為でもあります。正しい応急処置を知ることで、突然の鼻血に慌てずに済むのでぜひ参考にしてください。
激しくぶつけたりしたときの鼻血は、念のため病院を受診するようにしましょう。
取材協力:久野銀座クリニック 岡村信良先生