バドミントン選手の桃田賢斗に、ウブロとの出会い、そして大一番に向けての思いを訊いた。
勝利のご褒美としての腕時計
桃田賢斗がはじめてウブロを購入したのは、2020年1月。クアラルンプールで開催されたマレーシア・マスターズで優勝した直後だった。
「以前からずっとウブロがほしいと思っていて、優勝した直後にマレーシアのウブロの店に駆け込みました。いわゆるご褒美ですね。はじめて買ったウブロはゴールドのケースで、ダイヤモンドをあしらったビッグ・バンでした」
勝利のご褒美としてほしかった腕時計を堂々と買う。しかも華やかに輝いている、というよりも派手なモデルを選ぶ桃田は潔い。話を聞いていてスカッとする。そんな感想を伝えると、桃田はうなずいた。
「偉ぶらず、謙虚でいることは人間として大切だと思うんですが、アスリートとしては違う感覚もあります。やはり憧れの選手がいい家に住んで、いいクルマに乗って、いい時計をつけているほうが、ジュニアの選手たちもがんばれると思うんです」
後輩たちの目標として、成功者として、どうあるべきかを意識するようになったきっかけを尋ねると、しばらく考えてから、慎重に答えた。
「テレビ番組で、プロ野球選手が年俸や愛車を語っているのを見るのがすごく好きでした(笑)。すごく憧れましたね。僕が買ったビッグ・バンはウブロのなかでもかなり目立つモデルでしたが、『勝ち取ったぜ!』みたいな達成感があります」
ギャラリー:バドミントン・桃田賢斗が語るウブロと勝者のメンタリティ
ビッグ・バン インテグラル チタニウム ホワイト、256万3000円(税込)
「ビッグ・バン インテグラルもいいですね。ウブロと言えばラバーベルトのイメージが強かったんですが、一体型ブレスレットがすごくいいんですよ」(桃田)
日本限定モデルは、2021年に発表された完全統合型ブレスレットモデルの新作。
表面はサテン&ポリッシュの異なる仕上げと面取りが施され、軽量ながら重厚感が漂う。
成功したことを素直に表現する桃田と、勝者を輝かせるウブロは、出会うべくして出会った
ケースとブレスレット素材にチタニウム、ダイアルにマットホワイトを採用した日本限定モデル
「気になっているのはキングゴールドのモデル。次に買う候補に入れたいと思います」
ケースとブレスレット素材にチタニウム、ダイアルにマットホワイトを採用した日本限定モデルは、2021年に発表された完全統合型ブレスレットモデルの新作。表面はサテン&ポリッシュの異なる仕上げと面取りが施され、軽量ながら重厚感が漂う。256万3000円(税込)憧れだった一流ブランドの腕時計をつけるようになってどんな変化があったのだろうか。
「ブランドに対する興味がさらに湧いてきました。『おっ、すごい時計してるな』という反応が、もううれしくて(笑)。インスタグラムとか、ネットで「ウブロ」「新作」と検索したり、ほかのコレクションもチェックしたりするようになったんです。すると、3針のシンプルなタイプもあれば、サファイアクリスタルのド派手なモデルもあって、あれもこれも全部ほしくなります。ウブロはアーティストやアスリートとのコラボにも積極的ですが、村上隆さんとのコラボモデルはすごく素敵ですよね。残念ながら、即完売でしたが」
獲得した賞金で一流ブランドの高級腕時計を買うことがモチベーションだと言い切る桃田は、ポジティブなエネルギーに溢れていた。欲望を隠したりせず、表に出すのは健康的だ。\
ビッグ・バン インテグラル チタニウム ホワイト
ケースとブレスレット素材にチタニウム、ダイアルにマットホワイトを採用した日本限定モデルは、2021年に発表された完全統合型ブレスレットモデルの新作。表面はサテン&ポリッシュの異なる仕上げと面取りが施され、軽量ながら重厚感が漂う。256万3000円(税込)
出る杭を照らすウブロの時計
成功したことを素直に表現する桃田と、勝者を輝かせるウブロは、出会うべくして出会った、すてきな組み合わせだ。常に注目される桃田にとって、出る杭である自分を輝かせるのがウブロなのだろう。
次に購入を予定しているのは?と訊くと「スピリット オブ ビッグ・バン、長方形のケースの真っ黒なモデルです」と即答して、さらにつづけた。
「ビッグ・バン インテグラルもいいですね。ウブロと言えばラバーベルトのイメージが強かったんですが、一体型ブレスレットがすごくいいんですよ。気になっているのはキングゴールドのモデル。次に買う候補に入れたいと思います」
3月の世界大会でまさかの敗退
コロナ禍の影響で、2021年3月に行われた全英オープンは桃田にとって1年2カ月ぶりの国際大会だった。世界ランク1位の桃田選手は、準々決勝でまさかの敗退を喫してしまう。
「緊張したというよりは、ずっとフワフワしていました。久しぶりの体育館だなとか、海外のトップ選手と試合ができてうれしいとか、余計なことを考えながら試合をしてしまいました。カチッとスイッチが入り切らない部分があって。結果は残念でしたが、目が覚めました(笑)。夏の大舞台まであと50日を切ったいまは、集中して練習できています。ここでしっかりと追い込めれば、本番でも相手しか見えないぐらいの集中力が出てくると思います」
興味深いのは、優勝候補の大本命と報道されて、大きなプレッシャーを受けているはずなのに、桃田がいたって飄々としていることだ。
「プレッシャーもいろいろで、いい部分だけを受け入れて、気に入らない部分は流すようにしています(笑)。気づかないフリをしているだけでも、不思議と気にならないようになってくるんですよ。それに勝つ可能性がある、あるいは選ばれた人しかプレッシャーは感じないわけで、なんでもプラスに変換している感じですね」
利き手に腕時計をつける理由
サウスポーの桃田が左手首に腕時計をはめている理由を尋ねると、こう答えた。
「左手はラケットを振っているせいか時計をつけても気にならないんですけど、右手につけると重さが変わってバランスが崩れる感じがするんですよね。ヘンなところに神経質なんです(笑)」
針の穴を通すコントロールが持ち味の桃田らしい繊細さだ。振る舞いは大胆にして、技は繊細。似た性格の桃田とウブロの出会いは必然だったのだろうか。大一番を終えて、新しいウブロを堂々と見せつけるサウスポーの姿に期待したい。
桃田賢斗
ももた・けんと
1994年、香川県生まれ。高校3年生だった2012年にアジアユース選手権のバドミントン男子で金メダルを獲得して一躍脚光を浴びる。18年には世界選手権で日本人選手としてはじめて優勝するなど、輝かしい戦歴を残す。東京オリンピックの金メダル最有力候補。
文・サトータケシ
写真・堀内僚太郎