瀬戸内のハワイ・周防大島で奥深いハワイ移民の歴史を学ぼう/日本ハワイ移民資料館(山口県周防大島)
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山口県の東南部に位置する周防大島。温暖な気候と山口県随一の生産量を誇るみかんが有名な島です。
海岸沿いにはヤシの木やフェニックスが植えられ、夏には「サタデーフラ」もあったりと、別名『瀬戸内のハワイ』とも呼ばれている島ですが、そもそもなぜ、周防大島がハワイなのか? その理由を皆さんご存じでしょうか。
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それは周防大島の歴史と深く関わっています。その秘密を探りに、やってきたのは『日本ハワイ移民資料館』。その名の通り、周防大島には数多くの人々がハワイへ移民として渡航した歴史があります。
周防大島の「日本ハワイ移民資料館」
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築100年近い立派な古民家の内部がそのまま展示スペースとなっています。欄間や建具、縁側のガラスなどに施された細やかな彫刻は目をみはるほど。
それもそのはず、この建物は米国・サンフランシスコで財を成して帰郷された福元長右衛門さんという方が、当時三万円(今だと約三億円!)かけて建設したという豪邸なのです。
和洋折衷の絶妙なバランス
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受付の天井に、こんな凝った飾りを発見しました。洋風のランプとのバランスが素敵ですね。館内にはあちこちに、ハワイの洋と日本の和がうまく溶け合った空間が広がっています。
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こちらのスペースには、ハワイ移民に関する資料が並んでいます。江戸時代の中期以降、人口が急激に増えた大島では、伝統的に大工や石工、船乗りとしての出稼ぎが盛んでした。さらに限られた土地では生活できなくなった島民は、新天地を求め、ハワイへ渡って行ったといいます。
最初の官約移民※で305人もの島民が海を渡り、その数は山口県全体の官約移民の2/3を占めるほどでした。明治時代から大正時代にかけ、約5,400人の島民がハワイへ渡航したのだそう。
※官約移民……明治政府とハワイ政府間の日布渡航条約締結により移民した人々のこと。
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渡航した人々は毎日早朝から日暮れまで、サトウキビのプランテーションで過酷な労働を続けました。当時、実際に使われていた農機具や生活用品、調理器具からは、その頃の人々の暮らしと苦労が垣間見られるようです。
周防大島でルーツ探しの旅
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近年では、自身のルーツ探しに日本ハワイ移民資料館を訪れる人々も増えています。
こちらでは、初期の官約移民3万人弱のデータが検索できるパソコンに加え、平成28年には官約移民以降、呼寄移民まで※の約10万人の渡航記録が確認可能な海外渡航者名簿の写しを見ることができるようになりました。
ちょうどこの日も何人かの来館者が、ご親戚の名前を見つけた!と喜ばれていました。
※官約移民廃止後の、民間の移民会社などを通じて渡航した私約移民と自由移民。
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ハワイやアメリカ本土から訪れる日系四世、五世の来館者も後を絶ちません。自身の目でご先祖様の名前を見つけると皆さんとても感動されるのだそう。
館内の案内文は全て英訳が併記されていますが、あらかじめ電話などで来館日時を伝えておくと、可能な限り英訳ガイドさんが対応してくれるとのこと!外国人観光客には嬉しいサービスですね。
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「ルーツ探しはもちろんですが、一般のお客様にも沢山来てもらいたい。移民の方々が努力されたおかげで、今のハワイがあるのだな、という尊敬と誇りに思う気持ちが湧いてきますよ」
そう話すのは館長の木元眞琴さん。自身もこの資料館ができる前、ハワイを二度訪れ、収集調査団の一員としてハワイ移民の調査に携わったと言います。古民家の落ち着いた雰囲気と親しみやすい木元館長の人柄も相まって、皆さん気軽に質問に来られていました。
検索システムや海外渡航者名簿に探している方の名前が見つからない場合は、他の資料に載っている可能性もあるので、館長やスタッフの方に直接聞いてみてくださいとのこと。
畳に座り込んで、はたまた縁側の木漏れ日の中で、自由に資料を読みながら、ゆったりとした時間を過ごせる日本ハワイ移民資料館。『瀬戸内のハワイ』を楽しむためには、必ず訪れてほしい名スポットです。
日本ハワイ移民資料館
住所/山口県大島郡周防大島町西屋代2144
営業時間/9:30〜16:30
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日休館)
電話/0820-74-4082
入場料/一般400円 小中学生200円 20名以上の団体は2割引
瀬戸内Finderフォトライター 武井奈々