韓国男性にとって避けては通れない兵役制度。それは世界的スターでも無視できないものだ。
【韓国の兵役のギモン】スターたちの不祥事で廃止された“芸能兵制度”
10月17日、BTS(防弾少年団)が所属するBIGHIT MUSICは、「BTSが兵役の義務を履行するための具体的な準備に着手したことをお知らせする」と公式に発表した。
今年12月に30歳の誕生日を迎える最年長のJINは、「10月末に入隊延期の取り消しを申請する予定」と発表しているため、年内には入隊する見通しだ。
今となっては芸能人も兵役義務を果たすことが当然の風潮だが、数年前までは芸能人の兵役にまつわるトラブルが少なくなかった。なかには兵役から逃げたことが大罪とされ、20年にわたって韓国への入国が許可されない者もいるなど、韓国人男性にとっては根深い問題なのだ。
一方で、兵役によって賞賛された人物もいる。
兵役中に銃乱射事件遭遇や最も過酷な部隊への志願者も
その一人が俳優のソン・ジュンギだ。2008年にドラマ『ラブレーシング』でデビューしたソン・ジュンギは、ドラマ『トキメキ☆成均館スキャンダル』(2010)でブレイク。その後も『優しい男』『私のオオカミ少年』(2012)と順調にフィルモグラフィーを積み重ね、人気イケメン俳優としての地位を確固たるものにした。
そんななか、ソン・ジュンギは人気絶頂だった2013年に満28歳で陸軍に入隊した。それ以前まで、芸能人の兵役で主だった「芸能兵制度」(国防部のPR活動などに協力するという理由から、一部の芸能人は実戦部隊への配属が免除される制度のこと)が、直前に廃止されていた状況での入隊だった。
入隊前に髪を短く刈り込んだソン・ジュンギ
一般部隊に配置されたソン・ジュンギは、特別扱いを受けることなく入隊したことで世間からは好意的に受け止められた。2014年6月には、ソン・ジュンギが所属する部隊で12人が死傷するという銃乱射事件もあったが、厳しい環境で義務を務めている証拠にもなったという。
その後、2015年に除隊したが、約2年の空白を経てもソン・ジュンギの人気は陰りを見せなかった。
復帰作となったドラマ『太陽の末裔~Love Under The Sun~』(2016)は最高視聴率38.8%のメガヒットを記録。この数字はソン・ジュンギの誠実な兵役服務による影響も少なくないとされ、兵役がプラスに転じたことを証明した。
以降も『軍艦島』(2017)、『アスダル年代記』(2019)、『ヴィンチェンツォ』『スペース・スウィーパーズ』(2021)と次々に主演作がヒット。アラフォーになった今も、若々しいビジュアルでトップスターの一人として君臨している。
そしてもう一人、敢えて困難な選択をしたことで、男らしいイメージが数倍にも跳ね上がったのが俳優のヒョンビンだ。
志願者の上位5%という優秀な成績で合格したヒョンビンは、2011年3月7日、歴代最高齢の満28歳で海兵隊に入隊。“最も過酷”と言われる海兵隊を志願したことから、韓国では「男の中の男」と大いに賞賛された。
軍服姿のヒョンビン
やもすると、若い20代の価値ある2年間が無駄になるというイメージも強いが、俳優や芸能人にとっては表現に深みを与える機会になるのかもしれない。
ヒョンビンも入隊後のインタビューで、「私にとって1年9カ月というのは、とても貴重な時間。自分の限界に挑んでみたくなって海兵隊に入隊した。私がしている仕事は経験を積むことが大事なので、ここで過ごす経験が後でとても生きてくると思う」と伝えていた。
この言葉通り、除隊後にはたくましいイメージの役を演じた作品が大ヒット。映画『コンフィデンシャル/共助』(2017)、ドラマ『愛の不時着』(2019)で演じたワイルドな警察や軍人の役からは、海兵隊での過酷な日々が演技に生かされているということを実感できるはずだ。
彼ら以外にも、成績優秀な兵士に与えられる“特急戦士”に選ばれた東方神起のユンホ、北朝鮮との国境付近にある山岳地帯で、過酷な訓練を行う怒濤部隊・新兵教育隊に入隊したEXOのシウミン、自ら手術を受けて心臓疾患を克服し、代替服務ではなく、危険度の高い最前方地域で任務を行う隊に志願した俳優キム・スヒョンなど、自ら過酷な状況に身を置き、力強くなったスターは少なくない。
軍服姿のユンホ
軍服姿のシウミン
(写真提供=キーイースト)軍服姿のキム・スヒョン
BTSメンバーがどのような部隊に配置されるかは未定だが、いずれにせよ、より力強く、魅力的になった姿で戻ってくることを願うばかりだ。
(文=サーチコリアニュース編集部K)