4月22日は「アースデイ」。国連の定める国際デーのひとつで、地球の環境について考え行動する日です。自然環境は地球上に住む誰もが関係のあるものですが、それに関わる職業とは具体的にどのようなものがあるかご存知でしょうか。
地球温暖化や自然破壊、それらの環境問題を解決に導こうとする人々は世界中におり、さまざまな職業に就いています。科学・工学・生物学などの研究・開発、企業や教育機関への指導、自然の中で生物や植物の生態を知り人々に伝える仕事など、様々な専門的分野から自然環境を守ろうと働いている方がいるのです。
今回はそんな「地球環境」に関わる、8つの職業をご紹介します。
私たちを取り巻く自然環境とは
「環境」とは、「私たちを取り巻く状況」のことです。地球には空気、水、土、動植物など人工ではない自然があります。そして、その自然のなかで生きている、私たちを取り巻く地球全体の状況を「地球環境」と言います。
地球の環境に関する問題は、大気汚染、水質汚染、森林破壊、有害廃棄物など、もともと地球にあったものを人類が破壊や浪費をし、その悪影響が人類に及ぶことをいいます。
地球は、長い時間をかけて自然環境を形作ってきました。人類はそのなかで生まれ、さらに短期間のうちに自然環境を破壊し、その結果、さまざまな環境問題を生み出してきたのです。
そんな地球環境の問題をこのまま進行させてはいけないと、世界中でさまざまな人たちがあらゆる力を出し合い、解決に向かい少しずつ前進しようとしています。ここからは、そんな「地球環境」に関わる職業を紹介していきます。
環境改善のスペシャリスト『環境管理士』の仕事
環境管理士とは、日常生活での環境汚染の防止などを通し、生活環境と経営環境の保全と改善を行う仕事です。環境分析・調査企業や環境コンサルタント企業のみならず、さまざまな企業の社員として、環境管理に関係する部署に所属し就業します。
全国の自治体による環境条例の基準に従い、地域の総合的な環境管理を行います。工場での公害防止に関する管理業務、自治体や企業への環境改善指導や環境産業の管理など、その業務は多種多様で、環境改善全般に関わる業務のスペシャリストといえます。
「環境管理士」は、特定非営利活動法人・日本環境管理協会が発行する民間資格の名前であり、名乗るためには資格の取得が必要です。環境問題への理解や知識はもちろん、状況分析力、状況改善のための提案力、問題に取り組み続ける責任感なども必要です。
環境問題や自然環境に興味があり、改善していきたいという思いを、環境管理士という仕事を通して叶えることができるのではないでしょうか。
目に見えない環境情報を数値化する『環境計量士』の仕事
環境計量士は、大気や水質の濃度や、騒音・振動を正確に計量し、分析をする仕事です。一般的に測定を専門とする企業に就職し、企業や自治体からの依頼によりあらゆる場所に行って仕事をします。分析報告書や計量証明書の発行なども行います。また、業務内容や条件によっては派遣社員として就業することも可能です。
環境計量士は、計量法に基づく国家資格です。環境分析の業務に就くために資格は必須ではありませんが、科学的で専門的な知識を用いて仕事をするため、有資格者は有利です。
環境計量に関する知識と経験、数値を正確に測定するために必要な数学的知識やきめ細やかさが必要です。
あらゆる環境問題が取り沙汰される中、それらを正確に測定する環境計量士は、今必要とされている職種といえるでしょう。
環境保全の旗振り役『環境コンサルタント』の仕事
環境コンサルタントとは、環境の保全と改善に関するコンサルティング業務を行う職業です。一般的には環境コンサルティング会社に所属し、企業や自治体などから依頼を受け仕事を行います。企業活動が環境にあたえる影響を調査したり、改善計画を企画立案したり、環境に関するアドバイスを行ったりと、あらゆる支援業務を行います。
就業のために必ず必要な資格はとくにありませんが、環境管理士や環境測量士などの関連する資格を取得していると有利です。環境の保全と改善に関する知識はもちろん、企画作成のための分析力や計画力、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も必要です。
環境に関するスペシャリストとして顧客の要望を解決し、かつ環境にも良い影響を与えることができる職業といえるでしょう。
環境を守る機器を作る『環境保全エンジニア』の仕事
環境保全エンジニアとは、さまざまな環境問題を解決するための機械を開発する仕事です。環境保全を目的とした機械メーカーや、環境に関わる研究所、環境調査会社にて就業します。機械開発だけでなく、設計からメンテナンス、設置まで行うことがあります。また機械開発の一環として、環境問題の実際の状況を調査・分析することもあります。
機械開発の技術はもちろん、論理的思考力や仮説設定力、自らの技術で環境問題を解決しようとする責任感や主体性も重要です。就業に必ず必要な資格はありませんが、エンジニアとしての知識や技術は就業のために必須となりますので、高校や大学、専門学校などで科学・工学・生物学など一定の知識を学んだ後に就業することが一般的でしょう。
環境保全エンジニアは自らの能力を用いて、実際に環境問題の解決に役立つ機会の開発に携わることができる職業なのです。
自然と人間の共存を生み出す『ビオトープ管理士』の仕事
ビオトープ管理士は、野生の生物たちが生息する環境を保護し、生態系を維持していく仕事です。建設会社や造園会社、ハウスメーカーなどで勤務します。企業や自治体がインフラ整備などを行ったり、公園など緑地の管理を行ったりする際に、その場の生態系を破壊してしまわないよう、あるいは維持や復元をするために調査やアドバイスを行います。
就業には資格が必要です。「ビオトープ計画管理士」「ビオトープ施工管理士」の2つの資格があり、業務内容が異なります。またそれぞれに1級と2級があり、1級保持者は2級保持者より業務範囲が広がるため優位といえるでしょう。
生物の生息する場所、「ビオトープ」を保護し、維持し、時には復元させるビオトープ管理士は、現代社会の生態系を守るために必要な仕事といえます。
未来の行動を左右する『気象予報士』の仕事
気象予報士は、気象庁から提供される気象レーダーなどの情報を総合的に分析し、天気予報を行う仕事です。気象会社や、気象庁や自衛隊などの公的機関、あるいは放送局や新聞社などで就業します。天気だけでなく、気温、湿度なども予想します。一般の方のみならず、気象情報を必要とする企業の要望により、気象情報を分析し、予報することもあります。
気象予報士は国家資格です。気象の予測を伴う天気予報は、有資格者しか行うことができません。科学的根拠に基づいた天気予報を行うための知識と経験はもちろん、常に移り変わる天気に注目し続ける集中力、専門的な天候の様子を分かりやすく相手に伝えるために必要な表現力やコミュニケーション能力も大切です。
専門的な気象情報を分かりやすく多くの人に届ける気象予報士は、現代社会においてもっとも身近な自然環境との架橋ともいえるでしょう。
自然と人間の橋渡し役『インタープリター』の仕事
インタープリターは、自然観察ツアーや自然学校など自然に関するイベントにおいて、解説役をする職業を指します。「通訳者」や「解説者」と和訳されます。エコツアー会社、自然公園や自然科学館、自然学校の運営会社、旅行会社などにて就業します。アルバイトや、ボランティアとして行う場合もあります。インタープリターの他にも、自然ガイド、自然解説者、アウトドアガイド、ネイチャーガイド、パークレンジャーなどの名称で呼ばれることもあります。
就業に必ず必要な資格はとくにありませんが、解説者として客に案内するに足るだけの自然や歴史に関する知識、分かりやすく解説するためのプレゼンテーション能力や表現力、コミュニケーション能力が必要です。
インタープリターは自然環境の理解者として自然に寄り添い、そして人々にその大切さを伝えていく職業といえるでしょう。
地球の危機を訴えかける『環境活動家』の仕事
環境活動家は、あらゆる環境問題の解決のために環境保全活動を行う活動家です。環境保全に取り組む財団法人にて就業したり、個人で活動を行う場合もあります。小さな地域における環境問題から、地球規模の環境問題まで、それらを解決しようと活動するのであれば、環境活動家といえます。
環境問題に関する興味や、解決しようという意志、それに伴う行動力が必須となります。自らの意見を分かりやすく伝えるためのプレゼンテーション能力、環境に関する現状を正しく把握するための状況把握力、自らの思想を実現するためにどのような活動を行うか計画を立案するための計画力や決断力も必要です。
環境問題の解決という目標に対し、実際に行動を起こし解決しようとする環境活動家は、これからのさまざまな環境問題の解決において、必要不可欠な存在なのです。
【まとめ】環境に関わる仕事は、人類と地球にとって必要な仕事
自然に関する環境問題は、地球に住むすべての人に関わりのあることです。しかし、地球規模の話となると、なんとなく漠然としてイメージがつかめず、自分とは遠いところにある話のように感じることもあるかと思います。
想像してみてください。私たちの身近にある空気、水、大地、日の光、生きていくために必要なそれらは、あなたから遠いところにある何かではありません。いつでも側にあり、なくなることは考えられないものたちばかりでしょう。
環境に関わる仕事は、それらの私たちにとって欠かせない自然環境を維持し、改善させ、理解し、伝えていく、人類にとって必要な仕事だといえるのです。