「内定をもらった企業以外に本命企業があって、その採用活動が内定式以降になってしまう」「内定者同士で情報交換をした結果、別の企業に入社したいと思った」といった理由で、内定式後も就活を続けたいと思う人は少なくありません。また就活を続けた結果、内定式後に内定を辞退したい場合もあるでしょう。
この記事では、内定式後も就活を続けてもいいのか、内定式後に内定辞退をしてもいいのかについて解説します。辞退連絡の流れについても紹介しますので、参考にしてください。
内定式後も就活は続けていい?
内定式は、企業と学生の間で入社の意思を確認する場です。したがって参加した後は就活ができないと思っている人も多いのではないでしょうか。実は内定式後も就活は継続できます。内定式が行われる10月以降も採用活動を続ける企業は多くありますので、秋冬採用を狙うことも可能です。
「内定承諾書を提出したら必ずその企業に入社しなくてはならない」という決まりもありませんので、安心して就活に臨みましょう。
ただし内定式後の就活は、次のような理由で厳しいものになりがちです。
- 春夏採用よりも就活慣れした学生が多く、入念な準備が必要
- 卒業までの時間が限られており、満足な就活ができない可能性がある
- 春夏採用に比べて、採用人数を絞る企業が多い
内定式後も就活を続けるのならば、厳しい就活になることを覚悟のうえ十分な準備をして臨みましょう。
内定があるからチャレンジできるという側面も
先ほど内定式後の就活は厳しくなりがちだと説明しましたが、良い点もあります。それは春夏に狙えなかった企業にチャレンジできるということです。大手企業でも内定辞退者が重なり採用人数が確保できなかった場合は、秋採用での採用を積極的に行うことがあります。たとえ採用条件が厳しかったとしても、すでに内定を得ているという精神的余裕とこれまでの就活で積み重ねてきた経験を活かせばチャレンジする価値はあるでしょう。
また就活生の数が春夏採用に比べて減るため、面接回数が少なくなるなど選考過程が短縮され、内定までスピーディーに進むことが多いのもメリットのひとつです。
ただし、秋採用は募集枠の穴埋めと位置づけている企業もあるため、採用人数が確保できた時点で選考を締め切るところもあります。たとえ募集期間に余裕があっても早めに応募するようにしましょう。とくに大手優良企業への応募はスピードが大切です。
内定式後でも内定辞退できる
では内定式に参加したあとに内定辞退はできるのでしょうか? 結論からいうと、内定式後も内定辞退はできます。「内定式後に辞退をしてはいけない」という法的な決まりもありません。
これまでの就活の場合、複数の企業から内定を得た学生は10月の内定式までに入社する企業をひとつに決めるのが一般的でした。しかし新型コロナウイルス感染症の影響で2020年卒の学生たちのなかで内定取り消しになった人がいたこともあり、2021年卒の学生たちは複数企業の内定を得ながらギリギリまで入社先を見極めようとしています。
この傾向は、Myreferが行った21卒就活生の内定承諾に関する調査の結果からもうかがえます。
2021年卒業予定の大学生・大学院生のうち、1社以上から内々定を得ている学生403名を対象に実施されたアンケートによると「内定を保持しているが2社以上の内定を承諾しようと思っている」と答えた学生はおよそ25%でした。複数の企業の内定を保持しようと思っている学生が4人に1人いるということがわかります。
その理由で最も多かったのは、「どの内定先が自分に合っているか決め手にかけるから」が48.4%、次いで「不景気による内定取り消しが不安だから」が45.1%でした。
また「最終的に1社にしぼる時期」については、「10月~12月」が45%と最も多く、入社直前の「1~3月」と答えた人も12%に上りました。これは複数内定を獲得している学生の半数以上が、内定式後に入社する企業を決断する、つまり内定式後に辞退をする可能性があるということです。
入社直前の辞退は避けよう
内定式後に辞退をしようと思った場合、いつまでに行えばよいのでしょうか?
民法627条1項では「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する」と規定されています。つまり内定辞退は原則入社の2週間前までにすればいいということです。
しかし辞退の意思があるなら早めに連絡をし、入社直前の辞退は避けましょう。内定を出した学生は入社するものと考えている企業は、ほかの学生採用をストップしている可能性があります。ほかの学生や企業にかける迷惑を最小限に抑えるためにも、できるだけ早めに辞退の連絡をしましょう。
内定式後の辞退の方法
内定式後の辞退連絡はメールではなく電話で行いましょう。電話連絡をする前にメールで辞退の意思を伝えるのはかまいませんが、そのあと電話で謝罪することを強くおすすめします。面倒くさい、叱責されそう……などの理由で電話を躊躇する気持ちはわかりますが、メールだけで内定辞退の連絡を済ませるのはマナー違反です。
直接会って内定辞退を伝えるのも方法の一つですが、まずは電話連絡をおすすめします。内定辞退の電話のあとは、お詫びの手紙を書きましょう。内定辞退に対するお詫びと選考過程でお世話になった感謝の気持ちを伝えることが大切です。
内定辞退の電話。流れは3ステップ
内定辞退の電話連絡をするときは始業時間すぐや退社時間前、お昼休みの時間を避けましょう。そのうえで「謝罪→理由説明→謝罪」の流れで行うとスムーズです。
まずは、内定辞退の意思と謝罪を述べます。せっかくいただいた内定を辞退すること、本来なら直接会って内定辞退を伝えるべきところを電話で連絡している点について謝罪しましょう。
次に、内定辞退の理由を伝えます。詳しい理由は伝えず一身上の都合としてもかまいませんが、企業側から詳しい理由を聞かれることがほとんどです。内定辞退にいたった事情を整理しておきましょう。
内定辞退の理由としては、
- ほかの志望企業から内定をもらえた
- 就職ではなく進学することにした
- 単位が足りず卒業できない
- 家庭の事情
などが挙がるでしょう。とにかく率直に事情を伝えることが大切です。
他社に入社するつもりの人はその理由を素直に伝えていいのか悩むかもしれませんが、伝えても問題ありません。納得のいかないまま入社しても早期退職につながる可能性があるので、企業も強くは引き止めないはずです。
注意すべき点は辞退理由として「企業側の原因」を挙げないことです。たとえば「他社と比較してここがよくなかったので辞退する」というよりも、「自分の適性を考慮して他社に行く」と説明します。企業側に辞退の理由がある場合も別の理由を伝えるようにしましょう。
最後は改めてお詫びをして電話を切ります。
辞退連絡で対面での話し合いを求められたら
電話で誠意を尽くして辞退を申し出ても、どうしても受け入れてもらえず対面での話し合いを求められた場合は大学のキャリアセンターに相談しましょう。
辞退連絡は対面でなくても可能ですが、企業と大学の関係性によっては直接会って謝罪した方がよい場合もあります。自分で判断せずにキャリアセンターのアドバイスに従いましょう。
いずれにしても、内定辞退は入社2週間前までにきちんと手順を踏み、誠意を持って臨めば企業に受け入れてもらえます。心配せずに内定辞退の連絡をしましょう。
内定辞退の連絡はとにかく早く、誠意をめて
複数内定を得たときはうれしくても、最終的に入社する企業を決めたら内定辞退をしなければいけないと考えると気が重いですよね。ましてや内定式後に就活を継続して内定辞退となると、「怒られるかも」と不安になり連絡しづらい人もいるでしょう。内定式後の辞退申し出に対する企業の対応はバラバラです。あっさり了承してくれる企業もあれば、厳しい対応をされることもあります。いずれにしても時間をかけて選考してもらった企業です。誠意をもって早めに内定辞退の連絡をしましょう。遅くなるほど相手企業にかける迷惑が大きくなってしまうことを忘れてはいけません。
出典:複数社の内定承諾や意思決定時期に関する21卒就活生の実態調査レポート-MyRefer