“キム・ヨナキッズ“たちが世界舞台で五輪メダルへの希望となっている。
韓国フィギュアは今、第2のルネサンスを迎えた。
2014年ソチ五輪を最後に“女王”キム・ヨナが現役生活を終えて以降、韓国フィギュア人気は下落するだろうという憂慮があったが、キム・ヨナを見て育った世代の中から次々と逸材たちが登場し、新たな復興期が訪れた。
【写真】本当にキム・ヨナ!? “フィギュア女王”の色香漂う優雅な姿
もともと“キム・ヨナキッズ三銃士”とされていたイム・ウンス(16歳・シンヒョン高校)、キム・イェリム(16歳・スリ高校)、ユ・ヨン(15歳・クァチョン中学)などがシニア舞台で活躍したり、デビューを控えたりするなか、ジュニア・レベルでは14歳のイ・ヘイン(ハンガン中学)、ウィ・ソヨン、チ・ソヨン(以上、トジャン中学)が頭角を現した。
左からイム・ウンス、キム・イェリム、ユ・ヨン、イ・ヘイン、パク・ヨンジョン
さらに13歳のパク・ヨンジョン(ハゲ中学)も加えると、一度に4人のジュニア級選手たちが頭角を現してシニアで活躍する先輩たちに迫ろうとしている。
先月の2018-2019 ISU(国際スケート競技連盟)ジュニアGP第1戦でウィ・ソヨンが銀メダルを獲得し、GP第2戦ではパク・ヨンジョンも銀メダルを獲得。チ・ソヨンは4位に入った。
イ・ヘイン
先日ラトビアで開かれたジュニアGP第3戦ではイ・ヘインが金メダルを獲得。2012年のキム・ヘジン(引退)以降、7年ぶりに韓国女子選手が頂点に立った。
ジュニアGPでの3大会メダルリレーを見守った韓国スケート界の専門家は「2022北京冬季五輪はメダル圏を、2026年ミラノ/コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪では金メダルを期待できそうだ」と口を揃える。
“ヨナ・キッズ”たちは「キム・ヨナ アドバンテージがある!!」
キム・ヨナは、“フィギュアの不毛の地”とされた韓国の環境の中で生まれた天才であり、世界記録だけで11回も更新した。
オリンピックに2回出場して金メダルと銀メダルを獲得するなど、キム・ヨナは韓国に“フィギュアスケート”という競技の存在を知らせ普及させる輝かしい貢献をした。
パク・ヨンジョン
バン・サンアSBS解説委員は「言葉ではキム・ヨナのような存在がまだ出現するかもしれないと言ったものの、懐疑的な部分もあった。しかし、キム・ヨナをきっかけに韓国国内でもアイスショーのようなフィギュアコンテンツが地道に定着し、キム・ヨナを見て育った若い選手たちが継続的に輩出され、彼女たちが急成長している」と語る。
キム・ヨナが国際舞台で韓国フィギュアの存在を知らしめたことで、“キム・ヨナキッズ”たちは認知度の面でも不利益を受けない状態だ。
とある国際審判は「フィギュアは記録競技ではない。キム・ヨナを通して、韓国は“芸術性に優れている”というイメージが生まれ、韓国選手たちは“キム・ヨナの国から来た選手”と認識している。過去には韓国選は日本よりスケートの実力が落ちるという話も出たが、もはやは韓国も劣らないという評価を受けている」と説明した。
ユ・ヨン
1人だけが突出した孤独のレースではなく、世代の近い選手同士が集団で競い合う“競争構図”が形成されつつあるということも過去とは対照的だろう。
キム・ヨナの場合、事実上、韓国国内にライバルがいない中、スパーリングパートナーを探すために海外生活を持続しなければならなかった。
しかし、前出した最近の世代はまず、北京行きのチケットを取るために韓国内で同世代の選手たちとの競争に生き残らなければならない。
ビョン・ソンジンISUテクニカルスペシャリストは「まだ若い選手たちなので、誰か1人に世間の関心が集中すれば、負担として作用することもある。演技する順番で優位に立ちリードした選手らがよい成績をもらっても、自分のペースを維持できる度胸が必要だ」と多くの有望株の登場を喜んだ。
トリプルアクセルは当然。五輪メダルの課題は「高難度ジャンプ」
最近、女子フィギュアにはジャンプの高難度が高まるはがりだ。
ロシアを筆頭に、アメリカ、日本などフィギュア強国出身のジュニア選手たちが先を競って4回転ジャンプ、トリプルアクセル(3回転半)を実戦で披露している。
技術要素に対する比重が高まっただけに、世界最高を目指すには高難度の高いジャンプを飛ぶことは避けらないという声が出ている。
前出のパン委員は「キム・ヨナは小学生の時にトリプルジャンプ5種を完成させており、それがフィギュアの国際基準になった。もはや女子でもトリプルアクセルを跳ぶ選手が(ジュニアではなく)シニア舞台でも登場している。これはオリンピックで優勝するためには必須要素になっているようだ」と展望した。
ピョン・コーチも「今の世代たちが、とてもよくやっていると見なければならない。昔のキム・ヨナの水準なら、現在は競争力がない」と冷静に評価した。
しかし、「今後も高難度ジャンプの完成に集中しなければならないか」ということについては慎重な立場を堅持する。世界のジュニア選手の成長推移を見守るべきだというのが、共通した意見だ。
キム・イェリム
ピョン・コーチは「現在のフィギュアの流れは昨年の平昌五輪で金メダルに輝いたロシアのザギトワを教えたコーチが、(生産するように)次々と世に送り出した選手たちによって作られた。点数をもらうのに一番簡単な方法だが、現在の成功率は若くて体が軽い状態で試みているからこそだという点も勘案しなければならない」と皮肉った。
イム・ウンス
前出の国際審判も「まだ若い選手たちであるだけに、失敗が出れば競争力が大幅に落ちる。 韓国選手たちは比較的安定的な試合をするというのが強みで、非ジャンプ要素をはじめ、構成点数(PCS)も高い評価を受けている。 ジャンプがすべてではない」と付け加えた。