学校の体育から、当然のように行っている準備運動や整理運動。その運動の意味や正しい取り組み方について、きちんと教わったことのある方は少ないかもしれません。そのため先生を真似ながら、なんとなく行っている人は多いでしょう。しかしそれでは、せっかくの運動があまり意味を成しません。
準備・整理運動といっても種類がたくさんあり、学校によって取り入れている運動が異なります。ここでは「なぜ必要なのか」について確認したうえで代表的な運動を取り上げ、間違えやすい動きについて解説します。
準備運動と整理運動を行う意味
いきなり身体を激しく動かすと、怪我を引き起こしかねません。そのため、準備運動によって少しずつ身体を動かし、温めておくことが大切です。身体が動きやすくなるほか、怪我のリスクを軽減し、パフォーマンスを高めてくれるでしょう。
また、整理運動はクールダウンの一部として激しい運動後に行われ、血液循環や呼吸などを落ち着かせ、平常の状態に戻す役割を果たします。筋肉の回復を促し、翌日に疲れが残りにくくなるでしょう。その結果、準備運動と同じく怪我のリスク軽減にも繋がります。
代表的な準備運動と間違いやすいポイント
準備運動や整理運動も、適当に行ったのではあまり効果が期待できません。ここでは代表的な運動について、取り組む際のポイントをご紹介します。いつもご自身が行っている動きと照らし合わせ、確認してみてください。
1)屈伸
膝を曲げ伸ばしする運動ですが、膝とつま先を揃えて前を向けるようにしましょう。膝が開いている人が多く見られますが、それではお尻やハムストリングスなどが伸びません。また、より大きな効果を得るために、できるだけ踵を浮かせないようにしてください。
2)前後屈
身体を前に倒し、それから後ろへと反らせる運動です。このとき膝が曲がってしまうと、腰や背中の筋肉がうまく動きません。腰から下は動かさず、しっかり身体を前に倒し、後ろは腰を支点として大きく反らしてください。後ろに反らす際は、手で少し腰を押すようにすると反らしやすくなります。
3)伸脚(深く)
深い伸脚では、よく踵が浮いたり、つま先が横を向いている人が見られます。しかし、これでは腿からお尻にかけた後ろ側の筋肉がしっかり伸びません。できるだけ踵をつけ、伸ばした足はつま先を上に向けてください。
4)アキレス腱
アキレス腱を伸ばす際は、前後いずれの足もつま先が前を向くようにしましょう。横を向いてしまうと、肝心のアキレス腱が伸ばせません。このとき、膝を曲げて踵を浮かせるとよりアキレス腱部分が中心に伸び、膝を曲げずに踵をついたまま深く沈むと、脹脛まで広範囲が伸ばせます。
5)回旋
腕を大きく伸ばし、腰を支点として回しましょう。このとき、遠心力に負けて足まで動いてしまう人がいますが、腰から下はできるだけ動かさないようにしてください。
6)手首足首
手首と足首の関節を動かすには、ただブラブラさせるだけでは不十分です。しっかり関節を意識して回しましょう。なお、一方向だけでなく、逆回りも動かすことが大切です。
準備運動や整理運動はしっかり時間を取って行う
準備運動や整理運動は、どのような競技でも非常に大切です。練習や大会などの際には、意識的にしっかり時間を取って行いましょう。特にこうした運動は、ゆっくり筋肉を収縮させてあげると効果的。「どこが収縮しているか」を感じ取りながら、身体を労わる気持ちで取り組んでください。
[筆者プロフィール]
三河賢文(みかわ・まさふみ)
“走る”フリーライターとして、スポーツ分野を中心とした取材・執筆・編集を実施。自身もマラソンやトライアスロン競技に取り組むほか、学生時代の競技経験を活かし、中学校の陸上部で技術指導も担う。また、ランニングクラブ&レッスンサービス『WILD MOVE』を主宰し、子ども向けの運動教室やランナー向けのパーソナルトレーニングなども行っている。4児の子持ち。ナレッジ・リンクス(株)代表
【HP】{{https://www.run-writer.com|https://www.run-writer.com|https://news.line.me/reflink/427/3/1663918bc01eb6e85d5414479d88ffa463f3d34e}}
<Text & Photo:三河賢文>
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