世界には、まだまだ国内では珍しいスポーツがたくさんあります。MELOSでは、そんな国内では珍しいスポーツにスポットを当て、競技の特徴や国内で始められる場所などをご紹介していきます。
今回ご紹介するのは「ファウストボール」。世界最古のスポーツのひとつと呼ばれ、バレーボールに似ている競技です。
ファウストボールはバレーボールの元祖!?
ファウストボールはドイツが発祥のスポーツで、世界でも最も古いスポーツのひとつと言われています。ドイツ生まれのスポーツながら、紀元前240年頃のローマ帝王が歴史書にてファウストボールに触れています。そのため、その歴史は大変長いものと考えられるでしょう。
「ファウスト(Faust)」とはドイツ語で“拳”を意味し、英語圏では「フィスト(Fist)ボール」と表記されます。競技方法やルールがバレーボールにとても似ており、バレーボールの前身とも言われているスポーツです。
主に発祥のドイツ、オーストリア、スイス、イタリアとヨーロッパを中心に盛んに行われており、その他にも南米や南アフリカ、近年ではアジア各国にも広がりを見せています。未だオリンピック種目にはなっていませんが、第2のオリンピックといわれるワールドゲームズの公式種目。さらにワールドゲームズとは別に、世界選手権も4年に一度(女子は2年に一度)開催されています。
なお、日本では1998年に「日本ファウストボール協会」が設立されたばかりです。日本に伝わってから約20年と歴史は浅く、これから広がりが予想されるスポーツです。
ファウストボールは戦略性に富んだスポーツ
ファウストボールは戦術の幅が広いスポーツと言われています。それは、いったいなぜなのか。まずは、ファウストボールの基本的なルールを交えて見ていきましょう。
ファウストボールは、基本的に芝のコートで行われます。コートの大きさは50M(メートル)×20Mで、屋内で行われる場合は40M×20Mが一般的です。コートの中央にはストリングと呼ばれる境界線の紐が男子ならば2M、女子であれば1.9Mの高さに張られ、これがバレーボールのネットと同じ役割を果たしています。使用するボールは外周65~71cm、重さ300~350g。バレーボールよりも少し重いサッカーボールに近いボールが使用されます。
ファウストボールは5人対5人を基本とし、ストリングを挟んでボールを手で打ち合います。しかしバレーボールと違い、ボールを打つときは片方の腕で、そして肘より先で打たなければなりません。また、相手に向かってアタックを打つときは、握り拳で打つ必要があります。これが、拳という意味を持つファウストボールの由来です。なお、ボールを打つ際に指が開いていたり、両手で打ち返したりしてしまうと、相手に得点が与えられます。
その他にバレーボールと大きく違う点が、ボールの“バウンド”が許されていること。相手から打ち込まれたボールは、3回のタッチと3度のバウンド以内で相手に打ち返せば問題ありません。このルールによって、バウンドさせてから打ち返すのか、バウンドさせずに直接打ち返すのかといった駆け引きが可能です。この点が戦略に富んだスポーツと言われる理由であり、観客を虜にする見どころの一つでしょう。
相手に得点が与えられるケース
・ボールを両手で打つ
・拳が開いていた
・打ち返したボールが直接コート外に落ちた
・1回の攻撃で3回以上のバウンド、または3度以上ボールに触れる
・1人が連続してボールに触る
・ボールもしくは選手がストリングに触れた
得点されたチームのサーブから次の攻撃が始まり、11点先取(最大15点まで)を1セットとして、先に3セットを奪ったチームが勝ちとなります。
ファウストボールは東京と秋田を中心に行われています
まだ日本では馴染みのないファウストボールですが、バレーボールに親しんでいる日本人ならば、恐らく取り組みやすいスポーツではないでしょうか。国内でも、東京都や秋田県などファウストボールが盛んに行われている地域があります。
ファウストボールに興味を持たれた方は、まず日本ファウストボール協会に問い合わせてみましょう。もしかしたら、近くにプレイできる環境があるかもしれません。
日本ファウストボール協会1997年に秋田県ファウストボール協会として設立。翌年の1998年に日本ファウストボール協会と改名、国際スポーツ連盟にも加盟しました。日本のファウストボールを全面的にサポートし、ファウストボール人口を増やすために尽力されています。また、選手とともに協会メンバーも募集しているので、スポーツが苦手で……という方も、裏方としてファウストボールの普及に携わることができます。
公式サイト http://faustball.web.fc2.com/index.html
<Text:大下 慎司/Photo:Getty Images>
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