GK
プレミアリーグも7節を消化した。新加入選手の適応や負傷者の発生などによって、開幕前に描いていたメンバー構成から変更を余儀なくされたチームもある。今回は、チェルシーの最新のスターティングメンバー11人をフォーメーションとともに紹介する(直近数試合のメンバーとフォーメーションを元に作成)。
エドゥアール・メンディ(セネガル代表/背番号16)
生年月日:1992年3月1日(28歳)
20/21リーグ戦成績:3試合出場/0失点
不安定なパフォーマンスが続いていたケパ・アリサバラガに代わる正守護神として、今夏レンヌから2400万ユーロ(約28億8000万円)で加入。ここまでリーグ戦3試合、チャンピオンズリーグ(CL)2試合に出場しているが、まだ失点を許していない。フランク・ランパード監督からも称賛の言葉を受けるなど、さっそく評価を高めている。
足下の技術に関してはまだまだ向上させていく必要がありそうだが、身長197cmの長身を生かしたハイボール処理の安定感は十分で、自慢の敏捷性と反射神経を発揮して繰り出すセービングは迫力満点だ。数年前まで所属クラブがなかったことでも知られる男は、今後もチェルシーのピンチを救い続けるだろう。
DF
リース・ジェームズ(イングランド代表/背番号24)
生年月日:1999年12月8日(20歳)
20/21リーグ戦成績:6試合出場/1得点1アシスト
6歳でチェルシー下部組織に入団したサイドバックは、昨季フランク・ランパード監督の下で本格ブレイク。特徴的なドレッドヘアーを靡かせながらサイドを疾走する姿は20歳とは思えぬほどダイナミックで、ドリブルでの推進力やクロス精度、フィジカルといったスキルもすでに高いレベルで兼ね備えている。
20歳の若きDFは今季リーグ開幕節のブライトン戦でいきなり1得点1アシストを記録。以降もコンスタントに出場機会を得て、サイドを活性化させている。しかし、チェルシーの右SBにはセサル・アスピリクエタという鉄人もいる。彼との競争に勝つためにも、背番号24はまだまだアピールを続ける必要がある。
クルト・ズマ(フランス代表/背番号15)
生年月日:1994年10月27日(26歳)
20/21リーグ戦成績:6試合出場/3得点0アシスト
昨季レンタル先のエバートンより復帰すると、アントニオ・リュディガーの負傷、クラブが補強禁止処分を受けていたことなどが重なり最終ラインのファーストチョイスに。今季はチアゴ・シウバ加入などもあってベンチ扱いかと思われたが、蓋を開けてみればここまでリーグ戦6試合に出場し、DFながら3得点を奪うなど、主力として奮闘している。
身長190cm・体重95kgという恵まれた体躯を生かしたフィジカルの強さが売りで、地上戦、空中戦問わず対人では抜群の破壊力を示す。巨体ながらスピードがあるのも特徴的だ。一方でビルドアップの質には改善の余地がある。とくに利き足ではない左足でのパスは不安定で、決定的な“事故”を起こしてしまうこともしばしば。
チアゴ・シウバ(ブラジル代表/背番号6)
生年月日:1984年9月22日(36歳)
20/21リーグ戦成績:4試合出場/0得点0アシスト
パリ・サンジェルマンを退団した百戦錬磨の守備職人がフリーでチームの一員に。怪我の影響で開幕2試合を欠場、デビュー戦となった第3節ウェスト・ブロムウィッチ戦ではミスを犯すなどスタートは順調ではなかったが、その後はさすがの安定感を発揮。軟弱だったチェルシーの最終ラインを見事に引き締めている。
今年で36歳となり、さすがに細かな怪我が増えてきたが、ピッチに立った際の存在感はやはりピカイチ。身体能力の高さと賢さが融合したディフェンススキルは健在で、強度の高いプレミアリーグの中でも見事に壁となっている。それに加えリーダーシップもあり、経験値も豊富。チェルシーにとって満足いく補強となったのではないか。
ベン・チルウェル(イングランド代表/背番号21)
生年月日:1996年12月21日(23歳)
20/21リーグ戦成績:4試合出場/1得点2アシスト
マルコス・アロンソやエメルソン・パルミエリが精彩を欠き不安となっていた左サイドバックの新たなファーストチョイスだ。レスターでメキメキと成長し、今やイングランド代表の常連にもなったレフティーは、ここまでリーグ戦4試合に出場。1得点2アシストの結果も残すなど、攻守両面でチームにとってプラスとなっている。
豊富なスタミナを駆使したサイドでの上下動を怠らず、ビルドアップの質も極めて高い。ここ最近はプレミアリーグという舞台に揉まれ、フィジカル面も着実に向上している。レスターが優勝した2015/16シーズンは1試合もピッチに立てなかったが、今度は主力としてプレミアリーグのタイトルを手にすることができるか注目だ。
MF
ジョルジーニョ(イタリア代表/背番号5)
生年月日:1991年12月20日(28歳)
20/21リーグ戦成績:6試合出場/3得点1アシスト
恩師マウリツィオ・サッリ監督とともにナポリからやって来て3年が経過した。その間にサポーターからの批判の的となることもあり、ユベントスへの移籍なども噂されたが、フランク・ランパード監督の下では現在ゲームキャプテンを担うこともあるなど、チームにおける存在感は決して小さくない。中盤の要と言っていいだろう。
最終ラインからボールを引き出して攻撃を組み立てる能力はワールドクラスで、パスの種類も抜群に豊富。ボールだけでなく指示を送り続けて味方も効果的に動かすなど、「ピッチ上の指揮官」としての振る舞いも見事である。ちなみにイタリア人MFはPKが上手いことでも知られているが、今季公式戦ではすでに2回失敗している。
エンゴロ・カンテ(フランス代表/背番号7)
生年月日:1991年3月29日(29歳)
20/21リーグ戦成績:7試合出場/0得点0アシスト
2015/16シーズンにレスターの奇跡の優勝に貢献し、2018年ロシアワールドカップではフランス代表を頂点に導くなど、小柄なMFは世界最高の輝きを放ち続けてきた。しかし、これまでのフル稼働が響いてかここ最近は負傷に苦しんでいる。昨季はリーグ戦出場数がチェルシー加入後もっとも少ない22試合に留まってしまった。
それでも、今季はここまでリーグ戦全試合で先発入り。ピッチの幅広いエリアをカバーできる無尽蔵のスタミナ、そしてワールドクラスのボール奪取能力はやはり健在と、トップコンディションを取り戻している。対戦する相手からすると、厄介な男が復活してしまったと言えるだろう。この状態を維持し、シーズンを駆け抜けたい。
カイ・ハフェルツ(ドイツ代表/背番号29)
生年月日:1999年6月11日(21歳)
20/21リーグ戦成績:7試合出場/1得点2アシスト
8000万ユーロ(約96億円)という金額を費やし射止めたドイツのスーパータレントだ。高度なボールコントロールと多彩なパスで違いを生む華やかさ、身長189cmの体躯を生かした力強さ、そしてインテリジェンスのすべてが備わっており、単独で特大のインパクトを放つことができる。フランク・ランパード監督もこの男には大きな期待感を持たざるを得ないようだ。
トップ下やサイドハーフのみならず、CFやインサイドハーフも担うことができる柔軟性も若きドイツ代表戦士の特徴。事実、チェルシーでもここまでウイング、トップ下、そしてインサイドハーフと幅広いポジションで起用されている。その中でリーグ戦では1得点2アシストをマークしているが、まだまだできるだろう。引き続き注目していきたい。
FW
ハキム・ツィエク(モロッコ代表/背番号22)
生年月日:1993年3月19日(27歳)
20/21リーグ戦戦成績:3試合出場/1得点1アシスト
オランダの名門であるアヤックス躍進の原動力となっていたレフティー。右サイドから切り返して放り込むクロスはまさに絶品で、視野の広さを生かしたサイドチェンジの質も世界トップレベルだ。また、複数人に囲まれてもボールを失わない足元の柔らかさも特筆に値。ボールを受ければあらゆるプレーで攻撃のグレードを引き上げる、そんな選手と言えるだろう。
膝の怪我による影響でシーズンのスタートに出遅れたが、復帰後はハイパフォーマンスを継続。チャンピオンズリーグのクラスノダール戦で1得点をマーク、リーグ第7節バーンリー戦では1得点1アシストと、フランク・ランパード監督の前で堂々たるプレーを披露している。今後もチェルシーに勝ち点をもたらし続けるだろう。
ティモ・ヴェルナー(ドイツ代表/背番号11)
生年月日:1996年3月6日(24歳)
20/21リーグ戦成績:7試合出場/3得点2アシスト
ブンデスリーガ4年連続二桁得点を記録するなど、RBライプツィヒで評価を爆上げさせチェルシーへやって来たストライカーだ。厳しいマークを一瞬で無効化する類稀なスピードとオフ・ザ・ボール時の巧みな動きが武器で、単独での仕掛けもお手の物。様々なパターンからゴールを脅かすことができる恐ろしいFWである。
新エースとして期待されたドイツ人FWは開幕4試合でノーゴールと苦戦したが、第5節サウサンプトン戦で2得点を叩き出すと、第7節バーンリー戦でもゴールゲット。着々と調子を上げてきている。引き続き、CFや左ウイングとして高質なプレーを発揮しながら、よりゴールを大量生産してほしいところだ。
メイソン・マウント(イングランド代表/背番号19)
生年月日:1999年1月10日(21歳)
20/21リーグ戦成績:6試合出場/1得点2アシスト
フランク・ランパード監督率いたダービー・カウンティで経験を積み、その恩師とともに昨季チェルシーへ復帰。トップチーム1年目ながらチーム内最多のリーグ戦37試合に出場し、7得点5アシストを記録と見事にブレイクを果たした。そして今季もランパード監督からの信頼は失われず、ここまでリーグ戦6試合に出場。強力なライバルが多く揃う中、21歳の若者は存在感を示している。
ファイナルサードで決定的な違いを作り出すテクニックとアイデアに長け、パスやシュート、ドリブルの技術も高水準。守備面では身体を張るタイトな対応をみせるなど、フィジカルもプレミアリーグで十分通用するレベルにある。昨季ブレイクしたことで求められるものはより大きくなったが、果たしてどこまで結果を残せるだろうか。
フォーメーション
▽GK
エドゥアール・メンディ
▽DF
リース・ジェームズ
クルト・ズマ
チアゴ・シウバ
ベン・チルウェル
▽MF
ジョルジーニョ
エンゴロ・カンテ
カイ・ハフェルツ
▽FW
ハキム・ツィエク
ティモ・ヴェルナー
メイソン・マウント
監督
フランク・ランパード