将棋はもちろん、さまざまなメディアで活躍する香川愛生女流三段。今回は6月17日に、誰でも手軽に将棋が楽しめる、東京・高田馬場にある「将棋カフェ COBIN」で行われた「香川愛生女流トークショー」の模様を紹介。
登壇した香川女流三段は、4月に開設したばかりというYouTubeの「香川愛生チャンネル」でライブ配信を行いながら「COBINさんも最近オープンされたそうなので、お役に立てたらと思い、参加させていただきました」とあいさつ。その後、店内の壁に設置された大盤を使い、「将棋カフェ COBIN」のオーナーと対局を交えたトークを繰り広げた。
香川女流三段はハンデとして盤面を見ない「目隠し将棋」で指すルールを課され、自信がないと言いつつも「これはCOBINの覇権を懸けた戦いです」と意気込みを語り、トークで気をそらし、いい勝負に持ち込もうと考えていたオーナーをたじろがせて、会場の笑いを誘った。
トークは会場からの質問に、香川女流三段が答える形で進められた。YouTubeを始めたきっかけを聞かれると、「手の届くもので、皆さんに発信できるものを作るところから始めたいと思いました」と回答。最近のお気に入りゲームについては「リアルタイムバトル将棋」と答え、「将棋を題材にしたゲームや漫画が増えていることがありがたくて、一昔前だと考えられない夢のような環境です」と感慨深げに語った。
将棋を覚えたての、子供の頃のうれしかったエピソードについては「大の大人がすごく悔しそうに負けてくれたこと」と笑顔を見せ、「体の小さい子供が父親に勝てることはなかなかないので、普段見られない父親の悔しそうな顔を見られるのは、子供たちにとっては将棋の醍醐味の1つ。リアクションを感情豊かにしてあげると喜んでくれる」と、子供たちと対局する際のアドバイスを送った。
将棋の勉強をする際にコンピューターソフトを使っているかという質問には、「AIは使っています。女流でも使っている人はすごく増えました。今は強いソフトが手に入りやすく、自分が公式戦で対局した棋譜をコンピューターに解析してもらうことによって、効率アップを図っています」と明かした。
さらに香川女流三段は「お酒が好きで、日本酒のイベントのMCもさせていただきました。私が初めて取ったタイトルが女流王将戦で、焼酎メーカーさんがスポンサーだったので、それをきっかけにお酒に興味を持つようになりました」と告白。「苦手なスポーツは、この世にあるスポーツのすべてです(笑)。観戦の方では最近、サッカーの試合に連れて行ってもらい、すごく熱気があって楽しかったので、また行ってみたい」と、会場からの質問に次々と答えていった。
途中、持ち駒の数を聞かれると1つ多く答えてしまうも、すぐに訂正して正しい数を答えるなど、香川女流三段の頭の中では盤面が把握できている様子。攻めの姿勢を見せるオーナーに反撃の一手を指し、「プロっぽいでしょ?」とおどけて会場の笑いを誘う一面も。劣勢のオーナーが「この状態から入れる"保険"ないかな」と冗談を口にすると、「65手からでも大丈夫!」とすぐさま切り返すなど、対局は終始、和やかな雰囲気の中で行われた。対局後は、勝利を収めた香川女流三段がしっかりと感想戦も。
感想戦では「目隠し将棋」よりも話す方が頭を使うとし、「(トークは)得意じゃないので、何て答えるのがいいんだろうなと思います」と、イベントの司会なども務める香川女流三段からは意外ともいえる発言が飛び出すも、対戦者のオーナーの奮闘も称えてトークショーを締めくくった。その後もゲーム大会やサイン会など、ファンは香川愛生女流三段と楽しい時間を過ごした。
文=永田正雄