精悍なマスクに甘い眼差し、ダジャレも得意で親近感も抜群。西城秀樹、郷ひろみとともに「新御三家」と呼ばれ、1970年代のトップスターとして活躍した野口五郎が、今年5月からデビュー50周年イヤーに突入する。
野口は幼い頃から抜群の歌唱力を持ち、11歳の時にはテレビ番組「日清ちびっこのど自慢」で荒木一郎の「今夜は踊ろう」を歌って優勝するほどだった。中学生になって本格的に歌の勉強を始め、1971年5月、15歳の時に演歌歌手として「博多みれん」でデビューを果たした。しかし苦労も多く、年齢を偽ってキャバレーなどで歌ったこともあったという。
だが2枚目となる「青いリンゴ」で、ポップス調の曲でアイドル路線に転向。これがスマッシュヒットとなった。翌年末には当時最年少の16歳で紅白歌合戦に出場し、トップスターへの階段を駆け上がっていく。
1973年には「オレンジの雨」がオリコン週間チャートで初のベストテン入りし、1974年発売の「甘い生活」は初の1位となった。1975年には「私鉄沿線」が大ヒット。この曲で第8回日本有線大賞のグランプリ、第17回日本レコード大賞の歌唱賞、第6回日本歌謡大賞の放送音楽賞など数々の賞を受賞した。またこの時から5年連続で、日本歌謡大賞の放送音楽賞を受賞するといった快挙も成し遂げている。
ムードたっぷりに歌う姿や、出演していたバラエティー番組「カックラキン大放送!!」で多くの視聴者を笑わせた野口の姿を、当時を知る人はよく覚えているだろう。そして50周年イヤーを迎えた今、特に注目していただきたいのがギタリストとしての野口五郎だ。
野口がギターに触れたのはなんと6歳の時。エレキギターを始めたのは10歳で、優勝を飾った「日清ちびっこのど自慢」でもエレキギターを抱えて出演したという。
ギターと野口といえば、強く印象に残っているのが1979年4月にリリースされた「真夏の夜の夢」、同年7月の「女になって出直せよ」のステージだ。この曲で野口はギターを演奏しながら歌っていた。また1982年には『FIRST TAKE』、1993年には『1013hPa ~ANOTHER WAVE~』とギターのインストアルバムを発売するなど、ギタリストとしても大いに活躍しているのだ。
歌にタレント、そしてギタリストと、豊かな才能をもって一時代を築いた野口五郎。その50周年イヤーに合わせ、歌謡ポップスチャンネルでは5月6日を「ゴローの日」としてスペシャルプログラムを放送予定だ。
「ザ・スター 野口五郎」(全4話)では1981年に放送された音楽番組から、激しいロックや甘いバラード、コメディなど、テーマに沿って当時25歳の野口の姿を映し出す。もちろんギターを弾く姿も見られる。
ひとつの時代を駆け抜けた野口の姿はファンのみならず、多くの人の心に響くことだろう。
文=堀慎二郎