長野佑紀さんが語るアリスを演じる上で難しいと感じたポイントは、純粋さと下心のバランス|冬アニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』声優インタビュー【連載】
WEBサイトへ投稿され、講談社 Kラノベブックスから書籍化を果たした人気ファンタジー『俺だけ入れる隠しダンジョン』。本作のTVアニメが、1月から好評放送中です。
その放送を記念して、アニメイトタイムズでは出演声優陣へのインタビューを掲載。第4回は、重度のブラコンであるノルの妹・アリスを演じる長野佑紀さん!
主人公・ノル(CV:逢坂良太)の妹であるアリスですが、そんな彼女を演じる上で長野さんが難しいと感じたポイントに注目です。
兄・ノルのためなら思い切った行動も取る女の子
――第7話がオンエアされましたが、ここまでの感想はいかがですか?
アリス役・長野佑紀さん(以下、長野):どのお話にもちょっとエッチなシーンがあるので、いつも一人でドキドキしながらリアタイ(リアルタイム視聴)しています。
実は、お色気シーンの多い作品に出演させていただくのは初めてで……。毎回、「自分の演じたシーンは皆さんにドキドキしていただけているかな?」と思いながら楽しんでいます。
――そうなんですね。やはり第一印象も、ドキドキする作品だと?
長野:はい! とてもドキドキしたので、オーディションはこの女の子たちを通して視聴者の皆さんにどうエッチな勘違いをしていただくか、そのためにどういう段階を踏んでいけばいいのかを考えながらお芝居をしました。
――アリスの第一印象はいかがでしたか?
長野:お兄様が好きすぎて暴走するのがかわいかったですし、同時になんて真っ直ぐな子なんだろうと思いました。
もともとは常識的な子なのに、「お兄様のため」となったときはなんの躊躇もなく思い切って行動できるんです。それはアリスのいいところだなと思います。
――アリスの気持ちは共感したり、理解したりできましたか?
長野:はい、私も欲にはわりと素直なほうなので……(笑)。思い立ったらすぐに行動したいタイプで、やらずに後悔するのが嫌なんです。
声優のお仕事も、なりたいと思ったなら一度はチャレンジしてみようと思えたからこそ今があります。そういう意味で、アリスの行動力は共感できる部分がありました。
――ここまで演じられてきて、アリスの印象に変化はありましたか?
長野:最初は自分の素直な心に従う、真っ白で純粋な女の子というイメージだったんですが、ノル君のまわりに女の子が増え始めてからは嫉妬心からの下心みたいなものが出てきたなと(笑)。
もちろん、純粋さは残しているんです。でも、目的を叶えるためにちゃんと道筋を考えられる子だとわかってきて、ただピュアなだけじゃないと思うようになりました。今後、さらにアリスの深い部分が見えてくるんじゃないかなと思います。
――確かに、ある種の下心みたいなものが感じられるときがありますよね。演じる上では、どうですか?
長野:その純粋さと下心のバランスがすごく難しいです! このシーンは何も考えず素でやってしまったのかなとか、わかってやっているのかなとか、判断に迷うところもあったので、そういうときは大西(健太)監督や音響監督さんに相談させていただきました。
――監督や音響監督からはどんなディレクションがありましたか?
長野:最初に監督から、「とにかくかわいくしてほしい」とのディレクションをいただきました。お色気シーンはけっこうあるんですが、アリスは純情ゆえにそういうシーンになることが多いから、本気のお色気を目指すのではないんだなとそこで理解して。
だったら妹キャラらしい、どこか癒しが感じられるかわいらしさを目指そうと思い、あざとくならないよう素直に演じるようにしました。
――現在もその素直さを意識されているんですか?
長野:最初は素直さやかわいさを意識して演じていたんですが、途中から「ここはわかっている体でお願いします」と言われるようになりました。具体的には、第6話の「アリス劇場」がそうですね。
――耳かきをしたところですね。
長野:そうです。お兄様への下心みたいなものが少しずつ混じってきて、その言葉の意味をちゃんと理解した上でノル君に迫るんです。
裏ではこんなことを考えているのかなと想像できるようになって、キャラクターに深みが出てきたなと感じました。ただかわいいだけじゃない、アリスの別の一面が今後も出てくるのでぜひ楽しみにしていただきたいです。
妹でもLPが貯まる関係性を築いているふたり
――ノルとの関係性についてはいかがですか?
長野:自分の気持ちに素直になりながら、鬱陶しいと思われない適度な距離感で接しているのがすごいなと思います。兄妹間でベタベタ絡むと「あっち行けよ」と言われそうなものなのに、アリスとノル君はそういう感じになっていないんです。
どこまで距離感を詰めていいのか感覚的に理解できていると考えると、本当に聡い子なんだろうなと。ベタベタしすぎない、でも行動自体は積極的。その姿勢をしっかり意識して、お兄様への愛を表現できたらいいなと思いながら演じていました。
――そのアリスにノルが反応してLPが増えてしまうのが面白いですよね。
長野:確かに、「妹なのにワンチャンあると思っているのかな」、「満更でもないのかな」と思ってしまいます(笑)。それぐらい普通にLPが貯まるので、もしかすると心のどこかで攻略対象になっているのかもしれないですね。
――長野さんからご覧になったノルの印象はいかがですか?
長野:オーディションのときに原作を読ませていただいて、とてもしっかりしたいい子だなと最初は思ったんです。でも、読み進めていくと、いい子すぎてちょっとやきもきしてしまって。誰にでも優しくするのではなく、一人の子に決めればいいのに~と思いながら読んでいました。
――アリスに近い感覚ですね。
長野:いろんな女の子が集まってきて、大切な仲間になっていくのはいいことですし、その優しさはノル君の長所でもあると思うんです。でも、よく言いますよね?
みんなに優しすぎるのは、みんなに興味がないって。ノル君もそう思える節があったので(笑)、そうならないようにこれから誰を選ぶんだろうと思いながら読んでいました。
――ちなみに、ノルとヒロインたちの関係性についてはどうご覧になりましたか?
長野:ノル君が素直すぎて、ちょっと笑ってしまいました。意外と欲望に忠実で、ローラさんにパンツを見せてもらうくだりは(第2話)、「あ、それ本当に言っちゃうんだ」とツッコミを入れたくなりました(笑)。
素直に従っちゃう女の子たちもすごいです。きっと、ノル君は悪い人じゃなくて、とてもいい人なんだという大きな信頼があるんでしょうね。その上で、女の子たちもいい子たちばかりだから成り立っている関係性なのかなと思いました。
――特に気になるヒロインはいますか?
長野:ルナさんの【弱気癖】に共感しました。私は「何事もチャレンジ」という精神なんですが、食べ物に関してはすぐ弱気になってしまうんです。食わず嫌いな食べ物が多いので、弱気という点ではルナさんに似ているのかなと思います。
――では、キャストの皆さんへの共通質問ですが、ノルに【創作】【付与】【編集】してほしいご自身の能力やスキルを教えてください。
長野:私、ポーカーフェイスがすごく苦手なんです。例えば、お腹がすいたりすると「お腹すいてそうだね」って、隠していることがすぐバレてしまって(笑)。感情が全部、顔に出ているとよく言われるので、感情をうまく隠せるようにスキルを【編集】してほしいです。
――ありがとうございます。では、第8話以降の見どころについても聞かせていただけますか?
長野:第7話でルナさんに乗っ取られたアリス劇場ですが、第8話以降、きっと戻ってきますので、アリス推しの方は期待してお待ちください!
私はアリス劇場にめちゃくちゃ力を入れておりますので、ノルたちの物語はもちろん、アリスの発言、行動も楽しんでいただけたら嬉しいです。
[取材・文/岩倉大輔]
次回放送 第8話「幼女のお願い」先行カット&あらすじを紹介
脚本:猪原健太
絵コンテ:吉川博明
演出:佐々木達也
総作画監督:上武優也
作画監督:西田美弥子、Chunyao Gai、Zoulei、Wang jiahan、Ge huan、Jiang yong、Li Dong Yi、Long Gen、Shi Geng Xin
■あらすじ
隠しダンジョンの7層に着いたノルは、幼い頃のエマに似た謎の精霊に遭遇。彼女は“いやらしいモノ”に魔力を奪われているといい、ノルは宝と引き換えに討伐を依頼される。