脱・人間! と話題を呼んだインフルエンサーデュオの「フィーカル・マター(FECAL MATTER)」。グロテスクで妖艶なルックスの彼らが、洗えるシリコン製の「人肌グローブ」を発売した。奇妙なほどにリアルな肌感のグローブとは一体……?
Photo: Instagram/@matieresfecals/Fecal Matterまるでエイリアンのようなメイクと奇抜すぎるファッションを武器とする、魅惑的で現実離れしたインフルエンサーデュオの「フィーカル・マター(FECAL MATTER)」。カナダのモントリオールを拠点とする2人、ハンナ・ローズ・ダルトンとスティーブン・ラージ・バスカランは、およそ6年前に突如インターネットに現れ、そのグロテスクな美しさがたちまち話題に。シグネチャーアイテムである人間の脚にツノが生えたようなシリコン製のブーツは、彼ら自身の脚を型取り、制作費におよそ100万円かかったそうだ。
この隔離期間中でもその独特な世界観は健在で、緊急の外出時でもフィーカル・マター流のフル装備ができる「人肌グローブ」を生み出した。これは彼らのウェブサイトで購入ができる。
Photo: Instagram/@matieresfecals/Fecal Matter本物の手に見えるシリコン製の手袋は、50年代のオペラグローブから着想を得たそう。「僕たちは50年代のディオール(DIOR)のようなクラシカルなスタイルに未来的な捻りを加えたかった。結果、エレガントなオペラグローブのようなシルエットなんだ」とスティーブンは電話インタビューに応じた。実際のグローブはクラシカルはに程遠く、ちょうど上腕三頭筋のある位置に、彼らのブーツと同様のツノが生えている。そして、指先には恐ろしく長く生えた爪があしらわれ、シリコンは血管が浮き出ているようなリアルな肌感が演出されている。指のシワや爪の曇った透明感も忠実に再現されたこのグローブは、痛みを伴うことなく身体を変形させたように見せてくれるのだ。
Photo: Instagram/@matieresfecals/Fecal Matter販売を開始したグローブのルックブックでは、ハンナが洗剤を片手にクリーニングに励む、従順な妻のようなポーズを披露している。ブロンドのウィッグをわざと後頭部にずらし、SM具を医療用マスクとして代用。そしてウエストをぎゅっと絞ったコルセット姿で、このグローブが今の状況下にぴったりなことをアピールした。
このアイディアは、新型コロナウイルス感染が拡大する前の、2019年6月に思いついたという。2人は当初、今年の5月末にニューヨークで開催するはずだった展示会でグローブを発表することを予定していたが、「今の状況を考えて発表を早めた」とスティーブンは説明した。
Photo: Instagram/@matieresfecals/Fecal Matterブーツを製作したのは人体のシリコン複製を専門にするアーティストのサラ・シトキンだったが、今回のグローブはフェティッシュ業界の大手メーカーの「ラバードーリング」が製造している。
「ラブドールの製造を専門とするこの会社は、すでに私たちのようなサブカルチャー向けに人肌に見えるシリコングローブを作っていたから、このプロジェクトには最適だった。グローブがどう見えるかを気にする人なんてほとんどいないけれど、私たちはもっと異質で人間を超えたものにしたかった。だからツノが生えているんだ」
ブーツと同様にグローブもカスタマイズが可能で、さまざまな肌の色、タトゥーや毛を追加することもできる。約100万円の製作費を要したシューズに比べてグローブはかなりお手頃で、価格は両手で約16万円。着用するのも簡単だ。
「グローブをはめるのはシューズにくらべてだいぶ楽だけど、効果はとても似ているんだ」とスティーブは言う。「一定のサイズ感が保たれているブーツに対して、グローブは伸縮性があるから本当にリアルな肌に見える。製造プロセスも格段にシンプルだから、今回のグローブはたくさん作ることができるんだ」
Photo: Instagram/@matieresfecals/Fecal Matter2人はこのグローブがどれほど実用的なのかを証明すべく、スーパーでのショッピング風景をインスタグラムに投稿した。すぐに洗い流せるシリコン製だから、今の隔離生活に適しているのだという。
「僕たちは外出するときには、必ずグローブを着用しているんだ。洗えて再利用ができるから、本当に実用的。今はドレスアップしてファッションを楽しむのは、自宅内に限られてしまっている。だからこそ、唯一の外出のスーパーへの道のりには気合いを入れなきゃ」
彼らは自由な発想とファッションを楽しむ情熱で、強力なコミュニティをインターネット上で作り上げた。世界中にいるファンの中には新型コロナウイルスの感染拡大に影響されている人も多くいる。
「イタリアや中国の子どもたちなど、世界中から今の状況が綴られたメッセージが届くんだ。この状況下でも今のスタイルを貫くことが、僕たちのファンの些細な励みになると感じているよ。今こそ、クリエイティブな表現で人々を繋ぐ手段を見つけなきゃいけない」とスティーブンは語った。「グローブを発売すれば、みんなを笑顔にできるかもしれない──もちろん、驚きも一緒にね」
グローブの購入はこちらから。
Text: Liana Satenstein
From VOGUE.COM
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