2020年5月に急逝した芸術家クリスト。
生前最後の大規模プロジェクトを記録したドキュメンタリー映画。
水の上を歩く――。
2020年5月に急逝した芸術家クリスト、生前最後の大プロジェクトの記録。
妻ジャンヌ=クロードと共にアートの枠組みを拡張するような芸術活動を行った異端の芸術家、クリスト。二人の作品は建築物を包んだり、郊外の景観を変貌させる環境芸術として知られている。日本でも1991年に茨城とカリフォルニアで同時に3,100本の巨大な傘を立てるプロジェクト≪アンブレラ≫を行い、当時大きな話題となった。それは大規模なアートプロジェクトであり、行政や住民との時間をかけた交渉によって実現されてきた。
『クリスト ウォーキング・オン・ウォーター』は、2016年にアルプスの麓にあるイタリアのイゼオ湖で実現したクリストのプロジェクト≪フローティング・ピアーズ≫(浮かぶ桟橋)をめぐるドキュメンタリー。2009年のジャンヌ=クロードの死後、クリストは1970年にジャンヌ=クロードと共に発想した作品の実現に向けて動き始める。それは湖上に敷かれた巨大な布の上を人々が歩くという夢のようなプロジェクトだった。本作はその発表から完成までに密着し、クリストの情熱や彼を支えるチームの奮闘ぶりから、行政との折衝の様子、市民の熱狂、そして予期せぬトラブルなど、大規模プロジェクトが実現されるプロセスをつぶさに捉えている。
クリストは2020年5月31日に死去。最晩年まで大きな情熱をもって夢を追い続けた彼が、生前に実現した最後の大プロジェクトの貴重な記録となった。
なお劇場公開を記念して12月20日(日)には40年以上にわたりクリスト&ジャンヌ=クロードの仕事を手伝ってきた柳正彦氏のトークショーの開催を予定している。
■公開記念トークショー
12月20日(日) 12:30の回上映後 ゲスト:柳正彦氏(アート・ライター/コーディネーター)
※当日 『クリスト ウォーキング・オン・ウォーター』をご鑑賞の方がご参加いただけます。
作品情報
監督:アンドレイ・M・パウノフ/出演:クリスト、ヴラディミア・ヤヴァチェフ、ウォルフガング・フォルツ/製作 イザベラ・ツェンコワ、ヴァレリア・ジャンピエトロ
2018年/アメリカ・ イタリア 104 分/カラー/ドキュメンタリー映画/配給:アイ・ヴィー・シー
photo: Wolfgang Volz ©Christo, 2016
2020年 12月19日(土)より 渋谷・ユーロスペースにて公開