『東京ミュウミュウ』を原作とした完全新作アニメ『東京 ミュウミュウ にゅ〜♡』の制作が発表された。主人公・桃宮いちご役を決めるオーディションが実施され、3000人以上の応募の中から天麻ゆうきが選出。その後ほかメインキャスト4名が決定。それだけでなく、キャストユニット「Smewthie」としての活動が決定。スタートアップシングルが3月22日に配信開始した。そのリリースを記念して、今回は桃宮いちご役・天麻ゆうき、藍沢みんと役・日向未来、碧川れたす役・十二稜子、黄歩鈴役・戸田梨杏、藤原ざくろ役・石井萌々果のメンバー5人に現在の率直な感想を語ってもらった。
――まず『東京ミュウミュウ』という作品に対するみなさんの印象をお聞きしたいです。天麻さんは元々作品がお好きだったんですよね?
天麻:はい。私が5歳の時にアニメが放送されていたんですが、その時はまだ小さくて猫ちゃんが戦っているアニメであることと、エンディングの「恋はア・ラ・モード」がすごく可愛い!という印象でした。でも何年後かに見直した時に可愛い女の子が戦っているだけじゃなくて、環境問題をテーマにしていたり、いちごちゃんから見たら敵にあたる存在でも敵なりに考えや正義があったりと、色んな発見がある深いアニメだなと思いました。
――みなさんはいかがでしょうか?
石井:私はアニメが大好きなのですが、昔のアニメって今の画風と違うので、少し苦手意識があったんです。でも『東京ミュウミュウ』はコスチュームもシンプルでキャラクターの顔も可愛いくて。それにいちばんびっくりしました。それに環境問題も描かれていたり、敵役のキャラクターも魅力的で面白かったです。
日向:私は幼い頃はたくさんアニメを見るタイプの女の子じゃなかったんです。でも、女の子がひたむきに戦うアニメはすごく好きだったので『東京ミュウミュウ』を初めて見たときは心がゾクゾクっとするのを感じました。しかも、ただ可愛いとかかっこいいとか面白いだけじゃなくて、絶滅危惧種のことが取り上げられたりして考えさせられる作品になっているのがとても魅力的だなと思いました。
十二:私もみなさんが言ってくれた印象を受けました。自分が演じるということもあって今見返している最中なんですが、どうしても最後の結末を万全のコンデションで見たいので最終話の前でずっと止まっています(笑)。そんな気持ちにさせてくれる作品だと思いました。
戸田:……みんなすごい! 私は正直みんなが言っているような深いテーマを扱っているという印象よりも、力を合わせて頑張って戦っていくという印象で止まっていた気がします。これから私たちが演じていく立場になるのでたくさん勉強していこうと思います!
――今回みなさんはオーディションで配役が決定しました。合格通知がきた時はどんな気持ちだったんでしょうか?
天麻:合格通知は電話でくると伝えられていたので「電話が来なかったらどうしよう」という不安でいっぱいでした。なので、2002年にいちごちゃんを演じられていた中島沙樹さんから「いちご役は天麻ゆうきさんに決まりました!」と伝えられた時にはいろんな気持ちがめぐっていました。全てが溢れ出るような、叫び出したいような気持ちが爆発しました。
石井:声優としてのオーディションを受けるのは2~3回目で、初めて行った時に「手を振る動作を声に出して」というオーダーをいただいたんですがうまくできない後悔がありました。でも今回のオーディションは本当に楽しかったので、マネージャーさんに「(結果)きてないですよね、まだですか?」と何度も聞いていたんですが結局3ヶ月結果が来ませんでした。「落ちてもしょうがない、また次頑張ろう」って思い始めた所に合格通知がきて「ええ!?」って。本当に嬉しくて、泣いて喜びました。まさか自分がキャラクターに命を吹き込めるなんて……!アニメが大好きなので本当に嬉しいです。
日向:私も3ヶ月間結果がきませんでした。変な話なんですが、今まで受けてきた中で1番自分が楽しく受けることができたオーディションだったので、ちょっとだけ自信もあったんです。でも連絡が来ない日が増えるにつれてどんどん後悔が湧いてきました。れたす役で受けていたんですが、実はみんと役も受けたかったな、言えばよかったかなと思っていたんです。なので、「藍沢みんと役でお願いしたいです」と連絡がきた時には本当に驚きました! でもその反面、大きい作品でもあるので新たなアニメ化のプレッシャーも感じました。でも私らしく藍沢みんとちゃんを作っていけたらという強い意志も湧いてきました。
戸田:私は学校帰りにマネージャーさんから急に「事務所来れる? ちょっとすごいことになっちゃった」って電話がかかってきたんです。なんだか怖い感じだったので「私何かやらかしちゃったかも?」って不安になって急いで事務所に行ったら個室に通されて1年間のスケジュールを置かれて……。お母さんにも「何かわからないけどやらかしちゃったかも」って連絡してたので初めはもう頭が真っ白でした。怒られると思っていたので、安心感と嬉しさで号泣しちゃいました。今まで生きてきた中で1番嬉しいんじゃないかってくらい喜びました!
十二:私はみんなより少し遅いタイミングでオーディションを受けました。その時は藤原ざくろ役で受けていたんですが「碧川れたす役もやってください」と言われたんです。事務所に入って1年経って自分ができるキャラクターはこれかな? というのを何となく見つけ始めたんですが、れたすもざくろも私ができると思っていたキャラクター像とは全然違っていて。今まで受けたオーディション同様に、正直これは落ちるだろうと思っていました……(笑)。経験としてオーディションを受けられたことは良かったと思っていたところに連絡が来たので「なんで!?」という気持ちと「初挑戦のタイプのキャラクターだけど頑張らなければ」という使命感と勉強していこうという強い意思が芽生えました。あとは、受けて1週間くらいで合格通知がきたので「早いなあ」って(笑)。
――配役が決定したあと初めてメンバーに会った時の印象を教えてください。
日向:それこそてんてん(天麻ゆうき)はオーディションをYouTubeで見ていたからみんなに知られていたね! 私はオーディションを受けていた人の中でもすごく努力家でストイックな人なのかなと感じました。
石井:(天麻の)第一印象は手の動きがすごいなって。それで目立ってたもん。
一同:(笑)
――逆に天麻さんから見たみなさんの印象はどうでしたか?
天麻:私は一般公募で入ってきて、一般じゃない人たちと会うのが初めてだったので、ドラマとかでよく見る「あんた何よ?」みたいな芸能の世界だったらどうしよう怖いなって思っていました。でも、みんな喋ったらちょっとずつおかしいというか、他の人とは違う個性がすごく光ってるなって思いました!
石井:会って1回目の時に「なんかおかしい人たちで良かった!」って一緒に帰ってる時に言われました(笑)。
日向:1番毒舌ですよ!
十二:私も芸歴が長い人たちがたくさんいてどうしようって思いました。でもそんな人たちと一緒にできる私すごくない? っていう気持ちも同じくらいありました。普通、声優は声優同士でユニットを組んで行くことが多い中、モデルや女優として経験を積んできた方たちと一緒にアニメに関わって仕事をしていくという機会を持てる人ってあまりいないと思うので、とても貴重だなと思いました。
日向:そんな! 私はりょうちゃん(十二稜子)に初めて会った時「THE声優さんだ!」って思いました。声を出すところが違うんです。レコーディングの時にみんなの歌声を聞いたんですけど次元が違うと思いました。
十二:嘘だあ!
日向:声優さんとして引っ張ってってもらいたいなって思ってるよ!
――元々いろんな活動をされていた方が多いからこそ、色んな見方ができてすごく面白いユニットだなと思います。次は楽曲についてもお聞きさせていただきます。「bitter sweet darling」はオーディションの課題曲でもありました。楽曲をもらった時の印象を教えてください。
天麻:初めて聞いた時は本当に『東京ミュウミュウ』の世界を表している曲だと思いました。何に対しても全力でぶつかって、心の中には悩みがあるかもしれないけれど頑張れちゃうという心のエネルギーを感じました。オーディションの時は1番だけだったんですけど、フルで聴いた時には楽しい、元気というだけじゃなくて、ミュウミュウたちの心の中の気持ちが入っていて物語が完成された楽曲だと感じました。
戸田:聴くだけで元気をもらえる曲です。
――「bitter sweet darling」は今回各メンバーのソロver.も収録されています。他の人が歌っている曲は気になりましたか?
日向:一人ひとり背負っているキャラクターがあるので、それぞれどんな思いで、声で歌うんだろうって気になりました。聴いてみるとすごいな、なるほどって思う部分がたくさんあって、その後に自分の歌声を聴くと足りない部分もわかることがあったので周りにみんながいることは本当に大切だなと思いました。
――「Resolution of colors」はどうだったでしょうか?
戸田:強い意思がぎゅっと詰まっている曲だなと思いました。これからこのユニットを続けていくうえで、良いコメントだけが貰える訳じゃないと思っていますし、みんなで乗り越えていかなきゃいけない壁もあるのかなと思っています。そんな挫けそうな時が来たらこの曲を聴いて自分自身を勇気付けたいって思う曲です。
天麻:タイトルの意味でもある「決意」とミュウミュウたちが敵や色々な問題と諦めずに戦っている重みをすごく感じました。私たちもひとつになって頑張るという思いが曲調やリズムに合わさって強さになっていると思います。
――歌やダンスにも挑戦されていますが最初からお話はあったんでしょうか? その辺に関して緊張はありましたか?
日向:ありました。歌やダンスにみんなで最初に取り組めたことで、みんな優しいし、面白いし、変わってるしといった面を知ることができて、思った以上にみんな打ち解けられていて仲良くなれました。今後演技をしていくうえでも、リアルな仲が作品にも生きてくるのかなと思っているので、それが楽しみでもあります。
――2021年2月22日に行われたオンラインイベント『1st MEW♡ting』も拝見しました。ダンスの振りも個性が出ていたように思います。
戸田:最後のポースは自由演技だったんです。なので私だったら元気な感じで終わったりそれぞれ考えて作っていきました。ダンスだけでもどういうキャラクターかわかると思います。
日向:5人でのパフォーマンスは初めてだったのですごく緊張しました。多分みんな緊張していて、始まる前の秒数の声かけでドッキンドッキンで! レッスンも結構追い込んでやってもらったこともあって、歌って踊るのってとてもハードだと実感していたんですけど、やっぱり息が上がっちゃうんですよね。だけど緊張しているから息の仕方がわからない!(笑) 息した記憶が無いっていうのが印象ですね。
十二:本当にそう! 肺が縮んでしまって全然空気が入ってこないから、ちゃんと歌いたいのにっていうもどかしい気持ちもありました。
戸田:始まる前まではあとちょっとしかないっていう感じでしたが、始まってからは本当にあっという間でした。
石井:5人でよかったって思いました。ひとりだったらワタワタしちゃってたけど、大丈夫だよっていってくれたり、目を合わせたりしている間に緊張もほぐれてきて、メンバーがいるってこんなに心強いことなんだなって思いました。
――お話を伺っていてちょっと気になったんですが、「Smewthie」のリーダーって誰なんでしょう?
全員:一応てんてん……?
天麻:一応!(笑)
日向:正式に決めてはいないんですが、みんなの中では何か言う時はみんなてんてんを指します(笑)
天麻:私が頼りないので、突っ込んでくれたりして、みんなが助けてくれるんです。なのでみんなそれぞれがリーダーだ!(一同笑う)
――では、リーダー認定された天麻さんに聞きましょう(笑)。今後作品を背負って活動を続けていく中で、やってみたいことはありますか?
天麻:5人でできることはどんどんやっていきたいし、大人気作品を背負っているので、キャラクターと共に、例えばいちごちゃんが成長するにつれて私も新たな発見や成長をしていきたいし、自分を高めていきたいというのがあります。
日向:具体的に言ったら叶えてくれたりしますかね……? 私は幼い頃見ていて憧れていたことのひとつにおもちゃのCMに自分たちの武器のおもちゃが発売されて、そのCMに私たちの声が乗るというのがあります。そしてユニットとしてもっともっと知ってもらって大きいステージでみなさんと向かい合って歌ったり踊ったりしたいです。
――ライブをしたい場所もあるんでしょうか?
日向:それはやっぱりドームツアー!
一同:大きい大きい大きい!(笑)
戸田:もう一個大きいことを言うと、『東京ミュウミュウ』って海外でも愛されている作品なので海外ツアーに行きたいです!
十二:行きたい!
天麻:海外進出!
日向:言うだけじゃなくて叶うように努力もしたいです。
戸田:なので英語ペラペラになれるように勉強します!
十二:私もたくさんやりたいことがあるんですけど、映画館で自分の声が流れたらいいなって思っています。大きいところで見たいなって思います。
日向:わー、確かに!
石井:私は逆に今でいっぱいいっぱいで先が考えられないです……。ライブだけで泣きそうで、精一杯で、帰ってママに抱きつきたいってずっと思ってました。
日向:そう見えないんだけどね。
戸田:余裕そうに見えてたけどね。
石井:本当にだめなの、なんかもうやばい……やばい!(一同笑う)
――最後にこのインタビューを見て興味を持った、もしくは『東京ミュウミュウ』のことが好きで興味を持ったファンに向けてのメッセージをお願いします。
天麻:『東京ミュウミュウ にゅ〜♡』を今回私たち5人が責任を持ってやらせていただくことになりました。2000年にはじまった原作や、2002年に放送したアニメからずっとミュウミュウを応援してくださっているファンの方もいらっしゃいますし、今回のオーディションをきっかけでミュウミュウってなんだろう、おもしろそうだなって知ってくれた新しいファンの方もいらっしゃると思います。その全員、国内外問わずみなさんに「私たちがやってくれてよかった」「この5人じゃなかったらダメだった」って思ってもらえるくらい最高の作品にしていきたいと思いますのでこれからもずっと応援してくださると嬉しいです!
インタビュー:波多野彩花 加東岳史 文・構成:波多野彩花 撮影:池上夢貢