『ゴーストバスターズ』シリーズ待望の続編『ゴーストバスターズ/アフターライフ』では、往年のファンが喜ぶようなオマージュや、細かすぎて初見では気づけないような小ネタで溢れている。
本記事では、一挙に30個のイースターエッグ&小ネタをご紹介。何個気が付くことができたかな?
この記事には、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のネタバレが含まれています。本編鑑賞後にお楽しみください。
この記事には、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のネタバレが含まれています。本編鑑賞後にお楽しみください。
イヴォ・シャンドアの鉱業会社
フィービー(マッケナ・グレイス)たちは屋敷の近くにある鉱業会社「Shandor Mining Co. 」を訪れる。「Shandor」といえば、「イヴォ・シャンドア」という名の設計者・医者が『ゴーストバスターズ』(1984)で言及されている。イゴン・スペングラー博士(ハロルド・レイミス)によると、第一次世界大戦後、世間に絶望したシャンドアは1920年にゴーザ崇拝の為の秘密結社を組織。門の神・ズールに取り憑かれたディナ・バレット(シガニー・ウィーバー)が住む高層マンションを設計したシャンドアは生前、このマンションの屋上で100人以上の信者と共に世界の終わりが来ることを祈る儀式を行った。その“世界の終わり”が、『ゴーストバスターズ』での出来事である。そして『アフターライフ』で、再び“世界の終わり”が到来することになった。
J・K・シモンズのカメオ出演
『アフターライフ』では、そのイヴォ・シャンドア本人が登場。『セッション』(2014)や『スパイダーマン』シリーズで知られるJ・K・シモンズが演じた。カメオ出演という役割だからか、復活したゴーザに瞬殺されている。(詳しくはこちら)
Photo by ABC/Image Group LA https://www.flickr.com/photos/disneyabc/21147400500/
机に積まれた本
フィービーたちが祖父のイゴンから相続した屋敷では、机の上にきっちりと山積みにされた本が目を引く。第1作『ゴーストバスターズ』の序盤でも、イゴン・スペングラー博士たちがゴースト検知の為にニューヨーク公共図書館を訪れた際、通路のど真ん中に見上げるほど高く積まれた本が登場した。ビル・マーレイ演じるピーター・ベンクマン博士は「こんな積み方をする人間はいない」と呟いていたが……?
階下に行くためのポール
屋敷では、イゴンが研究室として使っていた地下室に繋がるポールが設置されている。消防署跡に構えられたゴーストバスターズの基地にも、同じ構造のポールが備わっていた。もしかするとイゴンはこれを気に入って、DIYでポールを設置したのかもしれない。
ジャニーンの登場
『アフターライフ』では、イゴン・スペングラー博士の財産管理人を務め、相続の件でキャリー(キャリー・クーン)たちに連絡を取ってきた女性が登場する。「ジャニーン・メルニッツ」と名乗ったこの女性、オリジナル版のファンにはおなじみ、ゴーストバスターズの秘書を務めたジャニーンだ。演じたアニー・ポッツは2016年のリブート版『ゴーストバスターズ』にホテルのフロント係役でカメオ出演したものの、ジャニーン役の再演は33年ぶりとなった。本編での出演はわずかとなったが、エンドロール後のおまけ映像で再登場している。
イゴン・スペングラー博士の趣味
フィービーたちは祖父のイゴンが研究室として使用していた地下を訪れる。机の上に物が散在する中、何やらきのこ類が保存されたペトリ皿が確認できる。第1作『ゴーストバスターズ』では、読書が好きだというジャニーンに趣味を聞かれたイゴンが「趣味はカビと細菌の収集(I collect spores, molds, and fungus.)」と答えていた。その趣味を、イゴンは最期まで続けていたようだ。
チェスを通した祖父との会話
超常現象が起こる屋敷で、フィービーは自室にあったチェス盤を通して幽霊とコミュニケーションを取る。最終的にチェスの対戦相手が祖父であるイゴンのゴーストだったことが判明するのだが、アニメ「リアル・ゴーストバスターズ」(1986-1991)ではイゴンがチェス好きであることが明かされている。
登場する3本のホラー映画
サマースクールの教師グルーバーソン(ポール・ラッド)は、生徒たちに映画を見せて、自分は街で頻発する地震の研究にあたっていた。その時、グルーバーソンが生徒に見せていた映画は、スティーヴン・キング原作のホラー映画『クジョー』(1983)とチャッキーでおなじみの『チャイルド・プレイ』(1988)。さらに3本目は、地元の映画館Summerville's cinemaの看板に登場している。アイヴァン・ライトマンの監督デビュー作『Cannibal Girls(原題)』(1973)である。約50年ぶりのリバイバル上映でも行われていたのだろうか。
Tobin's Spirit Guide
フィービーやポッドキャスト(ローガン・キム)は心霊現象の歴史を調べるために、「Tobin's Spirit Guide」というタイトルの本を手に取る。第1作『ゴーストバスターズ』でも、依頼人第1号のディナ・バレットとのミーティング中、イゴン博士が「Tobin's Spirit Guide(字幕では、“霊界ガイド”と表記)」を用いて調査を進めてみると話している。
制服ポケットのクランチスナック
地下室でゴーストバスターズの制服を発見したフィービーは、胸ポケットにネスレのクランチスナックの包み袋を見つける。第1作『ゴーストバスターズ』の序盤、ゴースト退治を決意したイゴン博士に感心したベンクマン博士は、“ほうび”として全く同じネスレのクランチを手渡している。疎遠になってしまった旧友たちを思い出すよすがとして、イゴンはネスレのクランチを食べていたのだろうか。
この記事には、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のネタバレが含まれています。本編鑑賞後にお楽しみください。
キャリー・クーンの実夫、カメオ出演
本作には、キャリーを演じるキャリー・クーンの実の夫、トレイシー・レッツがカメオ出演している。演じている役は、キャリーが訪れる日用品店の店主。まさに夫婦共演が実現した。
トラック&乗用車のプレートに注目
本編に登場する2つの乗り物に、シリーズ生みの親であるアイヴァン・ライトマン監督の存在を感じることが出来る。1つは、冒頭シーンで道を走るトラック。ナンバープレートを見ると、「IVAN BUILT EST 1946」とある。1946年はライトマン監督の生まれた年だ。さらに、街を走る乗用車のナンバープレートにも注目だ。「48IRG91」という文字列を入れ替えると「IRG 1984 」となり、「Ivan Reitman's Ghostbusters(アイヴァン・ライトマン監督の『ゴーストバスターズ』)」というメッセージが浮かび上がる。
一人がけソファにはご注意を
『ゴーストバスターズ』では、一人がけのソファに座ったら何かが起こる。『アフターライフ』冒頭、探知機を手に持ちソファに腰掛けている生前のイゴンの背後にはゴーストの姿。このあと、ソファの中から手が飛び出し、イゴンを押さえつける。また、屋敷にいたフィービーに後ろからソファが疾走。ドサッと座り込んだフィービーは猛烈に回転させられる。そういえば第1作『ゴーストバスターズ』でも、一人がけソファに座っていたディナ・バレットも襲われていたな。
ECTO-1のトゥインキー
ECTO-1を復活させたトレヴァー(フィン・ウルフハード)たちだったが、少々飛ばしすぎてしまい、パトカーに止められてしまう。そこでトレヴァーがグローブボックスを漁ると、「トゥインキー(Twinkie)」という菓子パイを見つける。これは、第1作『ゴーストバスターズ』でイゴン博士が、これからやってくる心霊エネルギーの量を説明するための比喩として使っていた菓子パイと同じ種類である。
警察署での「Who You Gonna Call?」
修理したECTO-1に乗り込み、ゴーストとの追跡劇を繰り広げたトレヴァーとフィービー、ポッドキャストの3人は、勾留所に閉じ込められてしまう。そこで、トレヴァーが思いを寄せるラッキーの父親でもあるドミンゴ保安官(ボキーム・ウッドバイン)が「Who you gonna call?(誰を呼ぶ?)」と一言。これは言わずもがな、「Who You Gonna Call? Ghosutbusters!(誰を呼ぶ?ゴーストバスターズ!)」という映画のキャッチフレーズへのオマージュだ。
レイのオカルト書店
第1作『ゴーストバスターズ』の後、かつての人気も衰え、仕事を失ったゴーストバスターズの面々。『ゴーストバスターズ2』(1989)では、それぞれ違うキャリアに進んでおり、ダン・エイクロイド演じるレイモンド・スタンツ博士は「オカルト書店(Ray's Occult Books)」という風変わりな本屋を開業していた。『アフターライフ』では、この「オカルト書店」のサイネージが登場しており、『ゴーストバスターズ2』以降もレイが書店を営み続けていたことが分かる。
ジョシュ・ギャッドのカメオ出演
『アフターライフ』には、実写版『美女と野獣』(2017)ル・フウ役や『アナと雪の女王』シリーズのオラフ役で知られるジョシュ・ギャッドがカメオ出演している。演じた役は、シリーズ新登場となったブチャイクなゴーストのマンチャー。どうやら吹替版でもマンチャーの声はギャッドのままみたいだ。ちなみにギャッドといえば、2020年6月に『ゴーストバスターズ』のリユニオン番組を主催していた。
ポール・ラッドのバスキン・ロビンス
ポール・ラッドが演じるグルーバーソン先生は、スーパーマーケットを訪れる。この時、彼が向かったのは日本ではサーティーワンでお馴染みの「バスキン・ロビンス」が並んだアイスクリームコーナー。バスキン・ロビンスといえば、マーベル・シネマティック・ユニバース映画『アントマン』(2015)でポール・ラッドが演じるスコット・ラングが出所後のバイト先として選んでいた。これは単なる偶然?
ミニマシュマロマンたちの悲しいバックストーリー
2016年刊行の読み切りコミック「Ghostbusters: Deviations」では、『アフターライフ』に登場した可愛いミニマシュマロマンたちのちょっぴり悲劇的な出自が描かれている。同コミックによると、ミニマシュマロマンたちは、映画『ゴーストバスターズ』の最後にも登場した巨大マシュマロマンから生まれた「知能を持った排泄物」なのだそう。しかし、『アフターライフ』のミニマシュマロマンたちは袋詰されていたから、同コミックとの関連性は無いと思われ、何より清潔だ。ちなみにミニマシュマロマンが初登場したのは、Marvel UKとNOW Comicsから共同発行されたコミックシリーズ「The Real Ghostbusters」(1988-1992)。
2394264 - GHOSTBSUTERS: AFTERLIFE
ミニマシュマロマン、グレムリンから影響
大量のミニマシュマロマンたちは、とある映画のとあるキャラクターたちにインスパイアされていたという。第1作『ゴーストバスターズ』と同じ1984年に公開された『グレムリン』に登場する不思議な生物「ギズモ」が凶暴化したグレムリンだ。ある条件下で分裂してしまうグレムリンたちは、ミニマシュマロマンたちと同じように屋内で大暴れしていた。詳しくはこちらの記事を参照。
この記事には、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のネタバレが含まれています。本編鑑賞後にお楽しみください。
2394264 - GHOSTBSUTERS: AFTERLIFE
リック・モラニスへのオマージュ
フィービーがイゴンの地下室を探っている際、散らかった部屋にはボウルを改造して作られたヘルメット装置がある。これは、『ゴーストバスターズ』シリーズに登場したルイス・タリーが被っていたモノとしてお馴染みだ。演じたリック・モラニスは役者業から遠のいている。もしかするとヘルメット装置は、製作側からモラニスに捧げられた粋なオマージュとして意図的に置かれたものなのかもしれない。
YouTubeに出演した幼い頃の監督
フィービーは、1984年にニューヨークを熱狂させたゴーストバスターズの過去映像をYouTubeで漁る。その動画に映っている母親と手を繋ぐ少年に注目だ。この少年は、『アフターライフ』でメガホンを取ったジェイソン・ライトマン監督本人。この映像は、第1作『ゴーストバスターズ』でカメオ出演するはずだったライトマン親子のカットシーンだ。
ディナ・バレットのドレスオマージュ
ズールに取り憑かれたフィービーたちの母キャリーは、テカテカなオレンジ・ゴールドのドレスに身を包んでいる。これは門の神・ズールに取り憑かれた者のドレスコードなのか、第1作『ゴーストバスターズ』でズールに憑依されたディナも、色の濃さには若干の違いこそあれオレンジのドレスを着用していた。
オリヴィア・ワイルドのカメオ出演
物語最大の敵ゴーザを演じたのは、『トロン:レガシー』(2010)や『リチャード・ジュエル』(2019)などで知られ、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019)では監督デビューを果たしたオリヴィア・ワイルド。しかし、エンドクレジットにはワイルドの名前はなく、カメオ出演という形で参加したようだ。
「お前は神か?」再来
『アフターライフ』では、第1作『ゴーストバスターズ』で降臨した破壊神・ゴーザが復活。そのゴーザは、フィービーたちの援護に駆けつけたレイモンド・スタンツ(元)博士に「お前は神か?(Are you a God?)」と問いかける。実はゴーザとの初対面時、同じことを聞かれていたレイは「いいえ」とバカ正直に答えたことで、殺されかけていた。あの時の苦い経験を教訓に、二度目の質問にレイは「はい」と答えたのだった。
レイ・パーカー・ジュニアの「Ghostbusters」
『アフターライフ』本編が終了した直後に流れるのは、オリジナル版のテーマ曲として知られるレイ・パーカー・ジュニアの「Ghostbusters」。ちなみに、エンドロールの開始と共にかかるのは、フィービーを演じたマッケナ・グレイスの歌手デビュー曲「Haunted House」である。
ディナ・バレットのカメオ登場
『アフターライフ』には、本編終了後のおまけ映像が2つ登場。その1つ目では、本編でも活躍したビル・マーレイ演じるベンクマンのその後が明かされる。そのベンクマンが話していた女性は、オリジナル版2作に登場したディナ・バレットだ。映像が始まる直前に表示されたクレジットの通り、シガニー・ウィーバーが再演している。色々あった2人の関係の続きはそれまで明かされていなかったが、どうやら一緒に暮らしていたようだ。『ゴーストバスターズ2』では生贄にされかけたディナの息子・オスカーは、今頃どんな生活を送っているのだろう。
ESP(超感覚的知覚)実験用のカード
再登場したディナは、ベンクマンに対してカードを使ったテストをしているようだ。実はこれ、第1作『ゴーストバスターズ』の冒頭、若かりしベンクマンが学生を口説くために使っていた超感覚的知覚の実験である。「これで学生を動揺させてたのが信じられない」と呆れ顔のディナにとぼけるベンクマンは、しっかりとお仕置きを受けている。
ウィンストンの「今」
おまけ映像の2つ目は、ビジネスに成功し富豪となっていたウィンストンと、かつてのゴーストバスターズの秘書ジャニーンとの会話シーン。ここで、ウィンストンが廃墟と化したゴーストバスターズの基地にECTO-1を入庫している姿が確認できる。さらにその後、かつてゴーストたちを一斉開放するきっかけとなった「危険(Danger)装置」のボタンが明滅するカットも登場するが、これはもしかして……?
「ハロルドへ捧ぐ(For Harlod)」
エンドロール中、スクリーンには「ハロルドへ捧ぐ(For Harlod)」とのテロップが表示される。これは、オリジナル版でイゴン・スペングラー博士を演じ、脚本も手掛けたハロルド・レイミスに捧げた言葉である。レイミスは2014年に他界。亡くなる前、オリジナルキャストで『ゴーストバスターズ3』も企画されていたが、ハロルドの死により叶うことはなかった。
ここまで列挙した小ネタの幾つかは、本作の米公式YouTubeアカウントより投稿されている解説動画で確認することが可能。劇中シーン付きなので、答え合わせができる。
『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は全国公開中。