『トップガン マーヴェリック』は、36年前の名作『トップガン』(1986)の要素を多く蘇らせた“胸アツ”な続編だ。『トップガン』に欠かせない名曲の数々も復刻されたが、実は新作に合わせてアップデートされたにも関わらず、残念ながら不採用になったトラックがある。配信もされているので、実際に聴いてみよう。
この記事には、『トップガン マーヴェリック』のネタバレが含まれています。
この記事には、『トップガン マーヴェリック』のネタバレが含まれています。
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ビーチバレーの場面の名曲「Playing with the Boys」リメイクしていた
『トップガン』(1986)では夕暮れのビーチで若きパイロットたちがビーチバレーで汗を流すシーンがあった。厳しい訓練から束の間だけ離れ、仲間たちと気持ちよくボールを追うこのシーンは、『トップガン』の青春と友情を爽やかに語る。
『トップガン マーヴェリック』でも、パイロットたちがビーチでスポーツに興じる展開は再現された。もっとも新作では、ビーチバレーではなくアメフトに変更に。その理由は、教官マーヴェリックが空中戦の感覚を養うドッグファイト式アメフトをさせたかったためとというきちんとした設定があるのだが、そちらの解説はこの記事に譲るとしよう。
さて『トップガン』では、ビーチバレーのシーンではケニー・ロギンスの「Playing with the Boys」という曲が流れた。ロギンスといえば主題歌「Danger Zone」も歌った盛り上げ役。「Playing with the Boys」は跳ねるような爽快ポップソングで、ビーチバレーのシーンにも伸び伸びフィット。映画を象徴する楽曲の一つとなった。
実は『トップガン マーヴェリック』でもロギンスは、この「Playing with the Boys」の現代アップデート版を製作していたのである。ロギンス自身が米Varietyに語るところによると、『マーヴェリック』ジョセフ・コシンスキー監督とハリウッド・ボウル(ハリウッドにある野外音楽堂)で会った際に、この「Playing with the Boys」のリメイクを直々に依頼されたのだそう。
『マーヴェリック』で描かれる新世代パイロットには女性の姿もある。これに合わせて、ロギンスはオーストラリアの若き女性パンク・ロッカー、バタフライ・バウチャーと共に新たな「Playing with the Boys」を録った。しかし、残念ながら「映画に合わなかった」ために採用されず。おそらく、ビーチアメフトのシーンに合わせて使用される案があったのだろう。劇場版では、ワン・リパブリックによる軽やかな口笛がチルな「I Ain't Worried」が使用されている。
ロギンスは新「Playing with the Boys」について「どこかでストリーミング配信されているでしょう」と話しているが、この曲は2021年時点でリリースされており、各配信プラットフォームで聴くことができる。YouTubeにも公式にアップロードされているので、ここで聴いてみよう。ちょっとアンニュイな空気が印象的だ。
ちなみにロギンスによると、なんと『トップガン マーヴェリック』ではあの「Danger Zone」リメイクも依頼されていたそうだ。実際に再録も行ってみたというが、けっきょく製作側がオリジナル版の雰囲気を求めたということで、こちらも使われることはなかった。
なおロギンスは『トップガン マーヴェリック』を鑑賞した感想を、「今作の方が良い」と語っている。
Source:Variety