映画『ゴジラvsコング』は、ワーナー・ブラザース&レジェンダリー・ピクチャーズと東宝が展開してきた「モンスターバース」の最新作。ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』シリーズと『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)に続く、一大ユニバースの集大成とあって、ファンの間では“ユニバースもの”でおなじみのポストクレジットシーンに早くから注目が集まっていた。
監督のアダム・ウィンガードは、米国メディアにて、本作のポストクレジットシーンについて自ら解説している。本作にエンドクレジット後のお楽しみはあるのか、ないのか。そこに込められた制作秘話や監督の思いとは……。
この記事には、映画『ゴジラvsコング』のネタバレが含まれています。
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© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
『ゴジラvsコング』ポストクレジットシーン解説
結論から述べて、『ゴジラvsコング』にポストクレジットシーンは存在しなかった。ゴジラとコングは対決を終え、ゴジラは海に帰り、コングは地球の空洞に戻るのだ。その後の展開を予想させるような新たな情報は示されないまま、映画は幕を閉じる。したがって、この記事では「なぜポストクレジットシーンが存在しなかったのか」を解説していくことになる。
もっともアダム・ウィンガード監督は、本作の撮影段階で、ポストクレジットシーンを撮影していたことを明かしている。米Colliderのインタビューにて、監督は「実際にポストクレジットシーンを撮りましたが、最終的に使いませんでした」と述べているのだ。さらに、米Deadlineではその詳細が語られている。
「どんな大作映画でも、毎日のように予想外の課題や問題は発生するものです。本撮影の中でポストクレジットシーンは撮りましたが、編集中に(本編の)エンディングが良くないことに気づいたことがありました。きちんと満足のいく形でまとめられていなかった。しかし、もう新たに撮影する予算はありませんでした。その時にひらめいたんです。ポストクレジットシーンを調整して、少し文脈を変えればそのまま使えるぞって。規模の大きい、オーストラリアで撮ったジャングルの素材でした。その映像を別の文脈で使っています。映画を観ても、違う目的で撮られたとは気づかれないと思いますよ。」
すなわち本作の場合、ポストクレジットシーンが存在しなかったのではなく、ポストクレジットシーンは形を変えて本編に組み込まれたのである。監督はこの判断について、「低予算映画での経験が役立ちました。インディーズの頭を使って、映画の最後を救ったんです」ともコメント。ちなみに、予定されていたポストクレジットシーンは「何かを特別に準備するもの、たとえば“次のモンスターバースはこれだ”というような場面ではなかった」という。
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また脚本家のマックス・ボレンスタインは、米CinemaBlendにて、同じく実現しなかった“もうひとつのポストクレジットシーン”について語っている。それは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)のポストクレジットシーンとして構想されていた、東京でモスラの卵が発見され、チャン・ツィイー演じるアイリーン・チェン&リン博士と双子の少女が登場する場面だ。ボレンスタインいわく、「『ゴジラvsコング』で同じことをやろうとしていました。その可能性はあった」とのこと。しかし前作に続き、今回も実現は見送られている。
惜しくもポストクレジットシーンなしとなった『ゴジラvsコング』だが、ウィンガード監督はこの最終形に納得しているようだ。「特別に準備をするものではなかった」と言いつつ、監督は「何かをやっていれば、きっと自分たちを追い込むことになっていたと思う」とも話しているのである。
「モンスターバースは、続編を観たいと思ってもらえるかどうかの岐路に立たされていたと思います。[中略]今後、(モンスターバースは)独自の道を進むべき。だから、ある意味では、自分たちを追い込むようなことをしなくて良かったんでしょうね。ポストクレジットシーンがないことは理にかなっていると思います。」
映画『ゴジラvsコング』は公開中。
Source: Collider, Deadline, Cinema Blend