楽待新聞に自らコラムを投稿し、「25歳までに大家デビュー」を公言していた楽待スタッフ・新卒3年目の鈴木。あれから数カ月後、めでたく1物件目を購入し、大家デビューを果たしました。何でも遠隔地にある超格安の戸建て物件を現金買いしたのだとか…。いったいどんな物件なのか、じっくり話を聞いてみました。
楽待スタッフ・鈴木
1994年生まれ。青森県から上京し、2017年にファーストロジックに入社。実家が所有するアパートを将来スムーズに引き継げるよう、大家として実績を積んでいきたいと考えている。昨年には宅建試験に合格。今年は行政書士試験にも挑戦する予定。
20万円のワケあり物件
─ついに1件目を購入したそうですね! しかも超格安の物件だとか…。
鈴木 そうなんですよ。木造2階建ての、いわゆる築古戸建です。出張で和歌山に行ったとき、ある不動産会社さんに営業で訪問したのですが、その時に店舗に張り出されていた物件でした。売り出し価格は50万円でしたが、土地値が100万円を超えていて興味を持ったんです。そこから指値をして、最終的には20万円で購入できました。1年以上売れ残っていたみたいです。周辺は住宅街で、歩いて30分くらいのところに海があって、駅までの距離は車で20分くらいで…そんな感じの物件ですね。
─その価格、いわゆるワケあり物件ですね
ええ、まず接道要件を満たしていないので再建築は不可です。検査済証はなく築年数は不明、駐車場もありません。境界も未確定です。もちろん、瑕疵担保も免責。内外装はあちこち傷みが出ているのでリフォームは必須です。たぶんこういった点が敬遠されて、1年以上売れ残っていたんだと思います。
玄関部分。板張りの外壁はあちこちに塗装のはがれがみられる
─売主さんはどんな方だったんでしょう
相続で物件を受け継いだものの、和歌山には縁もゆかりもなく手に余っていたみたいですね。どうしていいか分からないから、そのまま地元の不動産会社に売却を依頼した、ということのようでした。お仕事の関係で「不動産投資家」の存在自体は知っていたようなのですが、私が買ったことを知って「本当にそういう人が買うんだ」と驚いたみたいです。
─それにしても、1物件目にしてはけっこうクセが強いですね
ワケありなうえ、物件まで片道4時間半ですからね(笑)。それでも買おうと思ったのは、とにかく「価格が安かった」から。築古とはいえ、首都圏でこの値段の物件を探すのは至難の業だと思うんです。あとは物件価格が免税点以下(課税標準額が一定の金額以下)だったので固定資産税がかからないという点も決め手になりました。物件価格20万円に対して土地値が出ており、ランニングコストもかからないということで、リスクが低いと判断しました。
─賃料はどのくらいを想定してますか?
月額3万円です。周辺に近いスペックの戸建て賃貸がいくつかあるんですが、そこは3万円台前半で入居が付いています。主なターゲットは生活保護受給者の方。このあたりの家賃支給額の上限が3万4000円なので、それも目安にして設定しています。地元の不動産会社さんや、仕事で知り合った投資家さんにもヒアリングして、リフォームさえすればこれでいけると。周辺にはワンルームのアパートが多いんですが、やっぱりちょっと狭いんです。母子家庭や父子家庭の方などに、少しゆとりを持って住んでもらえる物件にしたいなと思っています。
キッチン。大きな破損箇所はないが、交換を考えている
─リフォームの予算はどれくらいを考えてますか?
今僕の出せる限界の額ということで…100万円を上限に設定しました。この予算内でできるところまでやろう、と。仮にリフォームに100万円かけても表面利回りで30%は出ます。目安として表面利回りで20%は切りたくないな、という思いがあったので。20%を切る物件ならそんなに珍しくないですから、わざわざ遠くにクセのある物件を買った意味がなくなっちゃうと思いました。
─売買契約を交わしたのが今年の6月末、そして今は9月の半ばですけど、リフォームはどこまで進んでいますか?
それが…実はこの2カ月間まったく動けてないんですよ。正直、「大家さんデビューが叶った」という事実に満足してしまった部分もあるように思います。あとはキャッシュで買っているのでランニングコストが一切かからないというのも理由かも。もちろん空室期間中は機会損失にはなりますが、手出しの恐怖がない分、どこか必死になれていない自分がいます。
若くして不動産投資を始めるメリット
─今回の物件、20万円だと仲介手数料も微々たるものですよね。不動産会社の方は嫌がりませんでしたか?
いいえ、全然。むしろ他の物件の情報とか、入居付けのコツとか、規模拡大までの道のりとか、いろいろ親切に教えてくれました。その担当者の方も物件を持っていて、すごく不動産が好きな方だったんです。僕みたいな20代前半の若者がこういう物件に興味を示したのが珍しかったみたいで、可愛がってくれました。今時の若いやつにしては、ガッツがあるって(笑)。
─そのあたりは、若くして不動産投資を始めるメリットの1つかもしれませんね
そう思います。仕事で知り合った地元の投資家さんにもすごくよくしてもらって。物件の購入を決めたときも、20万円とはいえやっぱり直前になると悩んだんですよ。本当に大丈夫かな、とか、この物件を買って意味があるのかな、とか。でもそういう時、「24歳で築古の戸建に挑戦した」という事実、それから若くして大家という肩書きを得られることのメリットは大きい、と話してくれたその投資家さんの言葉が背中を押してくれました。
売買契約書への捺印について「知識としてやり方は知っていたが、自分事となるとやはり緊張した」と振り返る。力みすぎて印鑑がうまく押せず、3度やりなおした
─実際に一歩を踏み出してみて、何か変わったことは?
まだリフォームもしてないし入居付けもこれからなのでなんとも言えないのですが、「物件を買ったことがある」という経験自体が貴重だなと感じています。これから別の物件を買うとき、心理的なハードルはかなり下がりそうです。あと、今回はキャッシュで買いましたが、不思議と借金に対する恐怖心みたいなものはなくなった気がします。融資を受けて物件を買う、という自分がイメージできるようになったからかもしれません。
それと、不動産会社の方や投資家の方との距離が縮まりました。これまでは楽待の社員、として接していたのですが、物件を買ってからは「何か遠いところに変わった物件を買ったヤツ」とか「若いのに頑張ってるヤツ」とか、投資仲間として見てもらえるようになった気がするんです。話の流れで「ユーチューバーになってみたら?」とか言われたり(笑)。話のネタが増えましたね。
─同年代の友人の反応はどうですか?
投資用に物件を買った、という話をすると「それってどういうこと?」という感じの反応が多いですね。ただ、中にはやっぱり将来のために投資を、と考えている人もいて、「不動産投資のやり方を教えてくれ」みたいに頼まれることもあります。もちろん、全部断ってますよ。そもそも僕はまだ経験が足りないし、再現性のある投資ノウハウみたいなものは持ち合わせていません。だから自分で考えてほしい、と伝えるようにしています。
─今後、どこまで規模を拡大していきたいですか?
月に純利益で20~30万円ぐらいあれば不自由なく生きていけるし、それで十分かな、と思ってます。仕事が好きなのでこれからもサラリーマンをやめるつもりはないですし。とにかくお金持ちになりたい! というよりは、ストレスなく生きていたいなと思っています。何人かの投資家さんには「考えが甘い」って怒られましたけど(笑)。
─最後に、今回の物件のリフォームをいつまでに終わらせるか、目標を教えてください
実は今度の11月10日に行政書士の試験を受けようと思っています。だからそれが終わったあとかな…と。遅いですかね? いや、やっぱり放っておいても出て行くお金がないという状況は危機感がなくてダメですね。あとは距離を言い訳にしたくはないんですが、片道4時間半は遠いです。でも、ここまで来たからには絶対に入居を付けるところまでやりたいです。そうしないと「大家デビュー」になりませんから!
(楽待新聞編集部)