『君の名は。』や今も大ヒット中の『天気の子』で知られる新海誠監督ですが、「昔話も万葉集も民話も、昔からの風習も、映画を作る上ですごく大事なインスピレーションの元」と語ります。
新海監督の作品と、日本最古の歌集「万葉集」の関係とは、どのようなものなのでしょう?
『天気の子』にちりばめられた古典
『天気の子』の中には、四季の移り変わり・天気・神社など、日本人の身近に昔から存在していたものが巧みにちりばめられています。
「季節の移り変わりとか、たとえば雨とかに気持ちをずっと寄り添わせてきた風土は、日本人の中にあるんだと思う」と語る新海監督。

「その時の気分というのは、なんとなく千年後、二千年後の僕たちにもわかるわけで、そういうものが物語の水源になっていったりします」と、物語が生まれる源に、日本の人々が古来より感じてきた思いがあることを教えてくれました。
『君の名は。』では、万葉集の歌がヒントに
大ヒットを記録した『君の名は。』では、万葉集の歌が主人公の二人が初めて出会う重要なシーンのヒントになっています。
その歌とは、
「誰そ彼と(たそかれと) 我をな問ひそ 九月(ながつき)の 露に濡れつつ 君待つ我を」
というもの。

“誰そ彼と”とは、目の前にいる人がよく見えず「あなたは誰?」と呼びかける夕暮れの時間帯=“黄昏時”のこと。
つまり、夕暮れ時、「そこにいるのはあなた?」と恋人に呼びかける歌です。

万葉集の歌が、『君の名は。』の重要なシーンのヒントになっていたとは驚きですね。
千年経っても人間の形は変わらない

令和の時代になり、あらためて注目を集めている万葉集。
そのことについて新海監督は、「令和になっても万葉集が人々を魅了するというのは、やっぱり人間の形っていうのは千年ぐらいの単位だと根本的には変わらないんだなと思う」と話します。

また、「天皇が恋をする歌とかがあるわけですよね。それが今、僕たちが感じている片思いの苦しさと一緒なんだっていう驚き。片思いは苦しいんだよ、昔から苦しいんだよっていう風に言ってもらえれば、自分の今の苦しさが…完全に孤独ではないんだっていう風に教えてくれる」とも。
令和の時代も、万葉集の時代も、人の根本的な部分は変わらない。
昔から変わらずにある人の心を物語に映し出しているからこそ、新海監督の映画は多くの人の心を捉えているのかもしれません。
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