平成を彩ったジュニアブランドと言えば、ナルミヤ・インターナショナルがその筆頭格だろう。
【写真】エンジェルブルーやメゾピアノなどの復刻グッズ。
「エンジェルブルー」「メゾピアノ」「デイジーラヴァーズ」「ポンポネット」のブランドの数々は、平成の少女の心をときめかせ、ファッション雑誌とともに賑わいをみせた。
ここ最近では平成時代に人気を博していたアパレルブランドが、当時学生だったミレニアル世代(20代前半から30代後半)をターゲットにして、洋服や小物などの「復刻モノ」を展開し、話題を呼んでいる。
その一方で、ナルミヤ・インターナショナルの復刻モノは、ミレニアル世代だけではなく、Z世代にも人気だ。なぜミレニアル世代だけではなく、Z世代にも人気なのか?今回はナルミヤ・インターナショナルに取材し、その人気の理由を探った。
人気キャラ、ナカムラくんのアカウント開設
平成ブームとともに、さまざまなアパレルブランドが復刻モノを発売し、SNSで話題を呼んだ。ナルミヤ・インターナショナルも、その1つだ。
同社の数々のブランドのうち、エンジェルブルーと、デイジーラヴァーズに関してはパーソンズデザインスタジオとライセンス契約を結び、メゾピアノとポンポネットに関してはナルミヤインターナショナルが商品展開を手がけている。
ナルミヤ・インターナショナルの復刻モノ(巾着)(写真:ナルミヤ・インターナショナル提供)
ナルミヤインターナショナルの中でも特に人気が特に高かった、エンジェルブルーは、2020年にインスタグラムで「エンジェルブルー&ナカムラくんリバイバル記念公式アカウント」を開設した。
インスタグラムでは、アパレルメーカーを筆頭とした企業とのコラボレーションアイテムや復刻アイテムの宣伝のほか、2000年頃に人気だった同ブランドの人気キャラクター、ナカムラくんのグッズや、当時のエンジェルブルーの写真、そして、エンジェルブルーファンのリポストであふれ、平成と令和をつなぐ1冊のアルバムを眺めているような気分になる。
2023年にはX(旧Twitter)でも、ナカムラくんの公式アカウントを開設した。また、インフルエンサーの峯りあな氏をPRモデルとして起用した動画は、TikTokやInstagramリールで再生回数が37万回、1万いいねにのぼった。
当時女子高生だったミレニアル世代だけではなく、Y2Kブームで平成に興味をもったZ世代からも関心を寄せられている。
「コメント欄には、『懐かしい』とか『グッズがほしい』、といった感想が多いです。『お姉ちゃんが使っていて、見覚えがあります』といったコメントもありました。また、『今見ても可愛い』といった、コメントを寄せてくださったり。多くの反響をいただいているのでとても嬉しいです」(ポンポネットジュニアデザイナー・佐野あゆみ氏)
さらにエンジェルブルーの35周年記念で開設された特設サイトも、Z世代に訴求力の高い作りで話題になっている。
「特設サイトのイメージ自体も、当時の雰囲気を大切に作ったのですが、トレンドのY2Kの雰囲気が表現できたこともあって、若い世代の方にも響いたのではと思っています」(佐野氏)
こうしたプロモーション活動も実を結び、エンジェルブルーのナカムラくんや、メゾピアノのベリエちゃんだけでなく、デイジーラヴァーズのルッキーや、ポンポネットのミントくんといったキャラクターグッズも、販売とともに売り切れになっているそうだ。
令和では「大人っぽい」デザインがはやる
エンジェルブルーは1989年に発表され、それまで「空白の市場」とまで言われていたジュニア世代のみをマーケットにしたことが成功し、平成では多くの小学生の憧れのブランドになった。
エンジェルブルーのグッズ(写真:筆者撮影)
現在ナルミヤ・インターナショナルでは、先に述べたように「メゾピアノ ジュニア」や「ポンポネット ジュニア」などのブランドを展開している。
ポンポネット ジュニア(写真:ナルミヤ・インターナショナル提供)
2000年初めと比べて、ジュニアブランドのトレンドや、アイテムにも変化はあったのだろうか。
「当時の特徴的なポップで派手なデザインからは、結構大人っぽいデザインに変化しています。実際に子供たちからも、そのようなデザインの洋服が好まれている傾向にあります。アイテムも10代のトレンドだけでなく、もう少し上の20代のトレンド要素も少しずつ取り入れ、おしゃれで大人っぽいようなイメージに変化していることが挙げられます」(ポンポネットジュニア責任者 上野圭司氏)
2000年初期のジュニアブランドの人気の背景には、ジュニア雑誌が盛んだったのも理由の1つにある。
当時は、シーズンごとに人気モデルが着こなすことで購買意欲をかきたてる雑誌は、重要な情報ソースだった。現在ではスマホを持っている小学生も多くなり、流行の情報ソースや商品作りにも変化が起こっている。
「TikTokやXなど、ファッションの情報もかなり早くなってきているので、大人っぽい格好をしたいっていう子たちがやっぱり増えてきている現状がありますね」(上野氏)
カプセルトイが人気の起爆剤に
復刻したエンジェルブルーのナカムラくんなどのナルミヤキャラクターズは、お菓子やサンスター文具とのコラボレーションなどアパレルブランドとのコラボレーションの枠を飛び出し、各キャラクターが活躍中だ。
ナルミヤキャラクターズの前髪クリップ(写真:ナルミヤ・インターナショナル提供)
その現状と反響について、エンジェルブルーとデイジーラヴァーズのライセンスビジネスを手がけているパーソンズデザインスタジオの板垣亜美氏にも話を聞いた。
「エンジェルブルーのインスタグラムを開設後、リットーミュージックさんとの復刻コラボやPRをさせていただき、この企画で著名人や芸能人の方に紹介いただく機会に恵まれたことで多くの反響があり、ライセンス許諾に関する問い合わせ件数が増えて、商品化が拡大していきました」
板垣氏は特にカプセルトイの人気が大きく拡大したことが、ミレニアル世代だけでなく、Z世代の人気にアクセルを踏んだように感じているという。
今では、企業の広告ツールとしても定番になったカプセルトイだが、ナルミヤ・インターナショナルも例外ではないようだ。
今年も引き続き人気は継続中だが、復刻というだけあって、やはり期間限定なのだろうか。
「今回の反響がとても大きかったので、継続してこれからもキャラクターのグッズは展開していきたいと思っております。ナルミヤキャラクターズのグッズ展開は今年も引き続き予定しています」(佐野氏)
ミレニアル世代のみならず、Z世代も虜にしている、エンジェルブルーをはじめとするナルミヤキャラクターズ。今年の展開も期待は高まる一方だ。
(Tajimax : ライター・コレクター)