超人気Youtuberが若者向けキャンペーンに起用
メルペイは、「メルカリ」アプリ内で招待コードを発行し、コードを伝えられた人がメルペイの本人確認を完了すると、それぞれに1000ポイントが付与される「友達招待キャンペーン すすメルペイ」を9月16日まで開催していました。
さらに「すすメルペイ特別企画 HAJIKINチャレンジ」と題して、人気動画クリエイターHIKAKINさんと、はじめしゃちょーさんとのタイアップも実施。特別招待コード「HAJIKIN」を入力して本人確認を完了させると、1000円の企画費用が積立。その金額が10万人分(1億円)貯まると、HIKAKINさん、はじめしゃちょーさんの2人がファンと交流する特別イベントを後日開催すると発表されました。
メルカリ自体の利用者は10・20代が多いものの、メルペイのローンチ当初は一般的な決済サービスと近い30代・40代が中心だそうです。そこでメルカリの顧客基盤を活かすだけでなく、プロモーションにおいても若年層への普及に的を絞ったのが今回の施策だそうです。
その結果、HAJIKINチャレンジは大成功。10万を動かすHIKAKINさんと、はじめしゃちょーさんの影響力には恐れ入る次第です。
出典:https://twitter.com/htkty25/status/1172857737845194752
そこで今回は、2大Youtuberと言うべきHIKAKINさんとはじめしゃちょーさんが、消費者のどんなインサイトを捉えて、ここまで有名になったのかをソーシャルデータから分析してみます。
「ヒカキン」「はじめしゃちょー」の定量調査を実施
インサイトを探るため、ホットリンクが提供されているソーシャルリスニングツール「クチコミ@係長」 を使って、「ヒカキン」「はじめしゃちょー」に関するソーシャルデータに目を通しました。
(ソーシャルを眺めると、「HIKAKIN」より「ヒカキン」が多かったのでこちらを採用しています)
「ヒカキン」のトレンドは以下のように推移しています。
一方で「はじめしゃちょー」のトレンドは以下のように推移しています。
【参考】
グループ1:「ヒカキン」(@hikakinのTweetは除く)
グループ2:「はじめしゃちょー」(@hajimesyacho と@duelhajimeは除く)
※調査期間:2019年08月01日~08月29日
「クチコミ係長」によると、「ヒカキン」「はじめしゃちょー」に関してTweetしているユーザーの年代は、半数が20代未満、20代を含めると4分の3を超えるようです。
(左:ヒカキン、右:はじめしゃちょー)
もしかしたら、普段テレビに出ている芸能人よりも、HIKAKINさんや、はじめしゃちょーさんの方が10代20代から見れば有名かもしれません。
「HIKAKIN」が人気の理由は?
ソーシャルデータを比較すると、それぞれに際立った特徴があると分かりました。
HIKAKINさんの場合、「ドッキリ」「子供」「女の子」などのTweetが数多く含まれました。その理由として8月8日にアップロードされた、HIKAKINファンの女の子の家に本人がドッキリで登場して、女の子が大号泣する動画の影響が考えられます。
ファンの反応も極めて高く、すぐにまとめサイトに転載され、多数のTweetが発生しました。
出典:https://twitter.com/crew032/status/1159661157193437184
出典:https://twitter.com/BQxXix15Cxv54kx/status/1159449659670056960
HIKAKINさんに関するTweetの特徴として、「感動」という単語がはじめしゃちょーさんより多く含まれる点が挙げられます。登場頻度は35倍です。調査期間内に”感動を呼ぶ動画”がアップロードされた影響もありますが、言い換えればそういう動画を作れるのがHIKAKINさんらしさなのだと思います。
実際、HIKAKINさんはこれまで「大炎上」を起こしていません。ソーシャルデータの中には「炎上」が含まれるTweetも散見されましたが、それは自身のぬいぐるみ「ハチキン君」を3000個用意し、日本財団を通じて難病の子どもに届けることを表明した動画が「ヒカキンさん、ゴミを難病の子どもに送り付け炎上」と評され拡散したからです。
ファンのみならず賛否が分かれており、炎上というより何をしても何らかの理由で叩かれる有名税みたいなもんだと思います。
出典:https://twitter.com/keippe1/status/1157655095120547840
これまでのデータから、HIKAKINさんが充たそうとしている消費者のインサイトは、以下ではないかと推察します。
- ネットも現実も、傷つけられるリスクでいっぱいだけど、ヒカキンの動画を観ているときだけは何の心配もなく平和な気持ちになる
- どんな悲惨な状況でも、動画の中では必ず「笑顔」で凄いと思える
- 絶対的にブレない「いい人」を感じれて、見ていて安心できる
誰かを悪く言って笑いをとるのは簡単ですが、そんな内容では親が安心して子どもに見せれません。見ている側も、後味が悪いものです。HIKAKINさんが提供する動画は明るく楽しく、親も子どももそろって見ることができる。「笑って泣ける日テレ的バラエティ要素」がHIKAKINさんの人気の秘訣なのではないでしょうか。
「はじめしゃちょー」が人気の理由は?
一方で、はじめしゃちょーさんの場合、「繋がる」「担」などのTweetが数多く含まれました。担とはもともとジャニーズファンが使っていた用語で、「○○担当」すなわち一番好きという意味です。アイドルを推すファンのノリと同じように「はじめしゃちょー担」が大勢いて、同じ人と繋がりたいというニーズが多数あるようです。
失礼かもしれませんが、単に「顔」だけなら、はじめしゃちょーさんよりイケメンは大勢います。それでも、ここまで多くの「はじめしゃちょー担」がいるのはなぜでしょうか?
ソーシャルデータを調べてみると「おにぎり」「ライオン」など、一見はじめしゃちょーさんと関係なさそうなTweetが数多く含まれていると分かりました。どうやら、ライオン(タレント動物)を自宅に招いたそうです。
出典:https://twitter.com/hajimesyacho/status/1165226585491824640
かと思えば、「コンビニおにぎりの米粒はどこが1番多いのか検証」するなど、企画の動と静というか規模の大と小が半端ない。
出典:https://twitter.com/kinisoku/status/1164073571699720193
良い意味で「悪ふざけ」「悪ノリ」精神を感じます。ただ、度が過ぎると「炎上」してしまいます。はじめしゃちょーさんも、これまで数々の炎上を経験し、そのたびに謝罪し、時には活動休止してきました。
この感覚はどこか懐かしい…と自分の過去を振り返ると、男子高校生時代に教室の皆から好かれていたイケてるグループがやっていた「悪ふざけ」にテンションが似ていると感じました。やり過ぎると職員室で先生に叱られていた風景が目に浮かびます。同じような声もチラホラ上がっています。
出典:https://twitter.com/canontANakA/status/1089520442023456768
これまでのデータから、はじめしゃちょーさんが充たそうとしている消費者のインサイトは、以下ではないかと推察します。
- 大人が押し付ける常識が邪魔をしてバカな遊びをできないけど、はじめしゃちょーの動画を観ていると度を越えたノリの良さで楽しい気分になれる
- みんなからの「愛されているオーラ」を感じられて、見ていてホッとする
社会人になって、大人はみんな「バカ」をやらなくなりました。でも大人が真面目に金かけてバカなことするって、最高じゃないでしょうか。はじめしゃちょーさんが提供する動画は度を越えたノリの良さで、隠れてでも見たくなる。「楽しくなければテレビじゃない!フジテレビ的バラエティ要素」がはじめしゃちょーさんの人気の秘訣なのではないでしょうか。
なぜか好かれる「HIKAKIN」「はじめしゃちょー」の共通項は?
2大Youtuberと言うべきHIKAKINさんとはじめしゃちょーさんに共通しているインサイトは「人柄が気に入っている」だと考えました。ファンの皆さんも、動画の内容が面白いというのもあるでしょうが、何より2人の人柄が気に入っているのだと推察します。
昨今は企画の良し悪しより、人柄の良し悪しでYoutuber(もっと範囲を広げればインフルエンサー)が消費者に選ばれる時代なのだと言えるでしょう。
出典:https://twitter.com/twinkle815199/status/1158719290318577665
恐らくお2人とも、そうしたインサイトを理解した上で、「人柄」が伝わる動画を何年も欠かさず毎日アップロードしていると思います。それは本当に尊敬できます。
1度、皆さんもHIKAKINさんや、はじめしゃちょーさんの動画を見てみてはいかがでしょうか?
・HIKAKIN
・はじめしゃちょー