
お片付けコンサルタントとして活躍中の、のむらななえさん。都立小金井公園の近くのにあるご自宅にお邪魔し、のむらさんの暮らしぶりや片付け術に迫りました。
リビングに置きたいものは造り付け書棚に集中

のむらさん家族が暮らす賃貸マンションは2LDKで67平米、リノベーション済みだった部屋です。
「部屋は造り付け家具が設置され、使っている材質も仕上げも好きなものばかり。物件を探していた当時、私は生後3か月の長男を抱えて、狭いマンションの汚部屋で暮らしていたのですが(笑)、素敵なこの家に似合うように暮らしたい! と、入居を強く願いました」
リビングで目を引くのが、壁面を丸ごと使った書棚。一極集中型の収納にすることで、空間にメリハリをつけています。
「造り付け家具が整っているから、前の家から持ち込んだのはソファくらいなんですよ」

書棚の下には板を置き、その上に自然素材のかごを載せて収納にしています。次男の衣類もかごの中に入れていますが、すっぽりと隠れるため違和感はありません。板はキャスターつきなので、まとめて手前に引き出すこともできます。

棚板は可動式。本はもちろん、高さのあるプランツも飾れるのが魅力です。

リビングの一角には、のむらさんがデザインした衣類もさり気なくディスプレイしています。
自分が店のオーナーだと思って置くものを考える

お片付け塾では「収納のテクニックをあれこれ考える前に、心の整理をすること。何を大切にしたいか、好きか。それを知るのが最大のポイント」と話すことが多いとか。
「『好き』に囲まれて暮らす感覚、ですね。自分が店のオーナーだと思って置くものを考えるといい、とよくアドバイスします」
のむらさん自身が好きなのは、木やかご、布、陶器など土に還るもの。確かにキッチンの造り付け棚に収納されたものには統一感があり、おしゃれな雑貨店のようです。

ただ、小さい子どもがいると、実際の暮らしの中では難しい場合も。
「例えば、子どものプラスチックのコップなどは軽くて割れにくく、役立つのでOK。アイデアを生かし、さりげなくかごに入れて収納しています」
また、子どものものは、子ども自身で元に戻しやすい配置にするのもおすすめとか。のむら邸では、キッチン対面の棚が木製玩具の指定席になっています。

調理家電などはキッチンカウンターの下、LDからは見えない位置に収納しています。

生活感の出やすいガスコンロもLDとの間にある壁で遮られているため、来客時も安心です。
バスルーム兼洗面室には余計なものを置かずシンプルに

「この家が素敵だから、あまり外に出なくなりました」と話すのむらさん。玄関から伸びる廊下はタイルのヘリンボーン貼りの床が新鮮かつおしゃれで、ゲストが最初に魅了されるスペースにもなっています。廊下の右手に見えるのは、バスルーム兼洗面室です。

「多いときは子どもと1日何度も入浴するので、とても大切な場所」というバスルーム兼洗面室はガラス張り。

洗面コーナーは、広いカウンターが特徴的です。ガラスと木、陶器でまとめられた居心地のいい空間には余計なものを置かず、シンプルさを維持しています。
余計なものを暮らしの中に持ち込まない

靴は玄関収納に入るだけと決めているため、家族4人でこの量とか。

寝室がすっきりとして見えるのは、すぐ隣にWICがあるためです。
塾の参加者には、家は一見キレイなのに「隠れ汚部屋」のような空間を持っている人が多いといいます。片付けの最中に捨てるのがもったいなくなったり、あれもこれもしなくちゃと寄り道し、多くのことが未達成というパターンが多いそう。
「『思考の筋トレ』が必要。何が好きかも大事だけど、やらなくていいことをよく考えて、知ることも必要。それが分かれば時間ができてお金も使わず、家もすっきり」

夫のWICはオープン棚で見える化されていて容量も決まっているので、隠れ汚部屋になりにくいといいます。

こちらは、のむらさんと子どもたちのWIC。長年アパレル企業に勤めた経験もあるのむらさんですが、自身のワードローブは現在、全部で20着のみ。
「人と会うときは白っぽい服、家にいるときはジャージ、などと決めているんです。ストレスをためないように着心地も重視しています」
ちなみに、のむら邸にはテレビもなく「余計な情報を持ち込まない、それもお片付け」。何より自分を知ることが片付けの第一歩、と結ぶのむらさんでした。

のむらななえさん
1980年北海道生まれ。アパレルデザイナーなどを経て、育児の傍ら整理収納アドバイザー1級を取得。「こころとおうちの片付け塾」を主宰。家族構成は夫39歳、長男5歳、次男1歳の4人家族
撮影/山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.34」取材時のものです