text & photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:BH AUCTION
写真9枚 NA1Rは走行860km
新型NSXが登場したことにより、初代NSXの評価が高まっている。バブル期に登場したスポーツモデルに共通する徹底的な拘りと、ホンダが持つテクノロジーを余すことなく投入して製作された当時の最先端のクルマだからだ。
その中でも絶大な人気を誇るのがスポーツモデルのタイプR(後期型ではNSX-R)で、生産台数が少ないことからほとんど出回らないため、今では高額で取引されている。そんな貴重なNSX-RがBH東京オークションに出品されたのである。それも前期型のNA1と、後期型のNA2が!
当初はモノグレードで登場したNSXだが、1992年に待望のリアルスポーツとして「タイプR」が追加される。エンジンは手作業でバランス取りが行われた特製ユニットが搭載され、車体も120kgにも及ぶ軽量化が成され、愛好家を魅了する特別なNSXとなった。しかし手作業で製作されることから量産できず、その生産台数は464台に留まる。
今回出品されたのは1995年のNSX タイプR。ボディカラーはグランプリ・ホワイトでレカロ製のシートはレッドという組み合わせ。この個体のセールス・ポイントは860kmという、ほとんど新車といえるコンディションだ。もともと特別に扱われてきた個体が多いNSX タイプRだが、新車同様となると皆無といえるだけに、今回のオークションの目玉となったのもうなずける。
事前の予想落札額は2500~3000万円と発表されていたが、オークションがスタートすると入札が続き、最終的に2800万円(手数料込で3080万円)で決着がついた。額が今ひとつ伸びなかったのは、後期型Rと競合してしまったように思える。
後期型 4000万円超え
2002年に登場したNSX-Rは空力性能をさらに磨き上げ、各部は完成の域に立っていたことから究極のRとして認められている。しかしその生産台数はわずか140台。ほとんどが愛好家のガレージに収まり、マーケットでその姿を見付けるのは困難といえる。
BH東京オークションの主役として用意されたシャシーナンバー、NA2-200077はR専用色のチャンピオンシップ・ホワイトのボディカラーでシートはレッドのアルカンターラという組み合わせ。注目したいのは走行距離だ。オドメーターに刻まれるのは560km。今となってはこれ以上のコンディションのNSX-Rは存在しないと思われる。
ちなみにその貴重さから事前の予想落札額は3800~4800万円と発表されていた。
それだけに入札は激しい応酬の末、4400万円(手数料込で4840万円)で決着がついた。このコンディションを考えれば順当な落札額といえよう。