小学校の校庭や牧場の片隅にたたずむ「トーテムポール」。見たことはあっても、その意味をご存知の方は少ないでしょう。じつは、単なる芸術作品として建てられたのではありません。なぜ創立から長い小中学校の校庭に限ってトーテムポールが並んでいるのか、謎に迫ります。
「トーテムポール」って何?
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「トーテムポール」とはそもそも、北アメリカの先住民(インディアン)に由来するもの。動物や人の顔などが積み重なるように彫刻された、インパクトのある柱です。とても芸術的な作品ですが、これは先祖代々伝わる神話・伝説などから、その家に深く縁のある人や動物をモチーフにして刻んだ「紋章」だと言われています。
ただし北アメリカの先住民にとっては、日本の仏教における仏像のような崇拝の対象ではなかったようです。
トーテムポールの種類
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トーテムポールにはたくさんの種類があり、ひとつずつに意味があります。代表的なものをご紹介しましょう。
家屋柱・入り口柱家を支える大黒柱で、現在でいうところの「表札」です。場合によっては入り口の役割も果たす「入口柱」として、家屋に入る人の体を清めるとされていました。
家柱住宅の四隅を支える重要な柱です。先住民たちのなかでも位が高い族長の家では、部屋の奥にある台座のそばに「家の歴史を刻む紋章」として置かれていました。
記念柱子どもが成人したとき、結婚したとき、新たな族長が誕生したときなど、おめでたいときに建てる柱です。戦に勝利した証として造られることもありました。
日本のトーテムポール、じつは元々……
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そもそも日本古来の文化にはないトーテムポールが、なぜ学校にあるのでしょうか?諸説ありますが、最も有力な説は以下ようなものです。
その昔、日本の電柱は木製のものが一般的でした。しかし、昭和30年代あたりからコンクリート製の電柱が主流となりはじめ、木製の電柱が大量に廃棄されることに。それらを「うまく再利用できないか」ということで、日本のトーテムポールが誕生したといいます。
実際に見たことがある方ならイメージがつくかもしれませんが、トーテムポールはかなり背の高い柱です。わざわざトーテムポールを作るために柱を購入するとなれば、莫大なお金がかかるでしょう。このため古電柱を再利用したトーテムポール作りは、理にかなっていると言えるのです。
学校にトーテムポールがあるのはなぜ?
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その当時の流行として、小・中学生の卒業制作に「トーテムポール作り」が盛んに行われていました。「あり余った木製の古電柱の再利用」と「卒業の記念に長い間残るもの」、このふたつと大人数で作れるトーテムポールがうまくマッチングしたのでしょう。
もし母校にトーテムポールがあるという方は、卒業生たちの感傷に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
家族でトーテムポールを見に行こう!
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パパママの母校にも、子どもが通う学校にもそれらしきものがないという場合、「日本一トーテムポールがある公園」へ足を伸ばしてみてはいかがでしょう。千葉県流山市にある「流山市総合運動公園」です。
1991年、この公園で「流山トーテムポール国際大会」というイベントが開催されました。海外からも多くの職人さんを招き、トーテムポールのコンテストが実施されたのです。ユニークな作品も多く、「桃太郎」をモチーフにした柱には桃太郎や犬が見事に彫刻されています。かなり高度でアートな作品も多く見られるため、気になる方はぜひ見学に行ってみてください。