偉人たちが語る言葉には、生き方が投影され魂が宿る。そんな核心を突いたひと言に出合うことで考えが変わることもあるだろう。今こそ、先人たちの語った名言から学ぶ時だ。
富士山は西からも東からでも登れる。
西の道が悪ければ東から登ればよい。
東がけわしければ西から登ればよい。
PHP文庫『道をひらく』より
パナソニックグループ創業者 松下幸之助
1894年和歌山県生まれ。経営についての見方を富士山に喩えて語ることが多かった。格言のひとつに「目的は同じでも、到達するまでの道のりは人それぞれ」がある。
自然は征服するものではなく、学ぶものである。
ポプラ社『この人を見よ!歴史をつくった人びと伝3 植村直己』より
登山家・冒険家 植村直己
1941年兵庫県生まれ。’84年没。世界初の五大陸最高峰登頂者。冒険を始める時は、まずその地に長期滞在し、人々の生活に触れ現地に溶けこむことを信条にしていた。
登る山を決めずに歩くのは、さまように等しい。
『GOETHE』2014年4月号より
ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長 孫 正義
1957年佐賀県生まれ。会社の在り方を登山に喩え「1 人で登る山も素晴らしいが、一緒に登る山はさらに大きくて楽しい」と、志を共有できる仲間の大切さを語る。
ビジネスは永遠に続く山登りだ。
青山学院創立140周年記念トークセッションより
楽天代表取締役兼会長兼社長 三木谷浩史
1965年兵庫県生まれ。毎年の恒例行事として、会社の社員とともに登山に行く様子を自身のツイッターで公開。登山を通して、社員との結束力を高めている。
賢者は自然の富を熱心に求める。
哲学者 モンテーニュ
1533年フランス生まれ。’92年没。自然が持つ真理の尊さを説いた。「自然はやさしい案内者である。賢明で、公平で、しかもやさしい」という言葉を残している。
漁師は釣れなければ、狙う魚を変え、
道具を変え、場所を変える。
いつも同じところにじっとしていて、
”魚がいない”と嘆いているだけではダメだ。
PHP文庫『人を動かし、時代を変えた心を揺さぶる名経営者の言葉』より
セコム創業者 飯田 亮
1933年東京都生まれ。船を走らせながら釣糸を垂らすトローリング(流し釣り)が趣味。80歳を迎えても、船に特注で手すりを設置してまで出航するという海の漢(おとこ)だ。
顔のヘンな魚ほどうまいものだよ。
人間もおなじさ。
醜男、醜女ほどおいしいのだよ。
新潮文庫『夏の闇』より
小説家 開高 健
1930年大阪府生まれ。’89年没。小説『裸の王様』で芥川賞受賞。釣師としても知られ、アマゾンでの釣り紀行をまとめた『オーパ!』など、釣りに関する作品は多数。
雨を感じられる人間もいるし、
ただ濡れるだけの奴らもいる。
レゲエミュージシャン ボブ・マーリー
1945年ジャマイカ生まれ。’81年没。母国の政治的混乱から、音楽を通して自由を訴え、レゲエの神様と称される。自然を題材に「NaturalMystic」という楽曲を制作。
Illustration=藤井 進