ジェイテクトSTINGS・浅野博亮インタビュー
バレーボールのV1リーグ男子が、10月17日に開幕する。昨シーズン、念願の初優勝を果たしたジェイテクトSTINGSが連覇できるか。20歳にして、日本代表エースに上り詰めた西田有志が、注目を一身に集めている。一方、復活が期待されるのが、浅野博亮(30歳)だ。
旧Vチャレンジリーグ(現V2、2部リーグ)時代にチームへ加入し、攻守の中心として引っ張ってきた。身長178センチながら、驚異の跳躍力と見事なテクニックで決めるスパイクは漫画「ハイキュー!!」になぞらえ「小さな巨人」とも称され、鋭い読みと日本屈指の技術力で魅せるレシーブは、日本代表でリベロとして起用されるほど。浅野のプレーには人々を魅了する華がある。
しかし、昨シーズンはシーズン途中でけがをし、コートの外からチームを支えることの方が多かった。10月6日に30代に突入したとはいえ、まだまだ老け込む年でもない。浅野のバレー人生初の優勝を経験した今、何を目指していくのか。
初優勝の舞台、コートには一度も立たず
2月29日、パナソニックパンサーズとのファイナル(決勝)、浅野は優勝の瞬間をコートの外から見守り、喜びを爆発させた。
「本当にこのチームで勝ててきたことが良かったなという思いが一番最初にきました。メンバーも色々変わりました。2013年に上がってから、内定時代をいれれば8シーズン、自分はそこだけを目指してきた。自身初の日本一だったので。(中学高校大学含めて?)はい、日本2位までにはなったことはありますが、日本1位にはなったことなかったので、感慨深いというか、嬉しかったです」
ただ、浅野は決勝で、コート内に一度も立つことはなかった。長年チームを支えてきた選手である実力者の不出場は、取材する側としては少し寂しさを感じる部分だった。
その一因は右肩のけがだった。昨シーズン開幕戦に出場し、1レグからレギュラーメンバーとして試合に出ていたが、1レグ最後のパナソニック戦で右肩を痛めてしまった。
1カ月ほど、練習ではスパイクも打たずにリハビリを行い、徐々に痛みは引いたが、到底万全とは言えない状態だった。
「自然と治るものではなく、ひどかったので、復帰というよりは無理矢理復帰したような感じでした。ゲーム形式の練習する時以外はスパイク打たず、ゲーム形式でやる時と、試合の日は痛み止めを飲み、あとは自分がアドレナリンが出た時じゃないと、痛くないくらい」
結果的にシーズン終了後、5月に右肩の手術を行った。
練習もままならない状態、セッターとも合わせる機会がない。試合ではなかなか思うようなプレーができなかった。
「自分の思ったようなスパイクがいっさい打ててないのに試合出てた時もありました。痛みと闘いながら、痛くない範囲でのスパイクの打ち方をしていたので。やはりチームには迷惑をかけている気持ちが強かった」
試合になかなか出られなくても、浅野は常にチームに貢献しようと務めた。
「プレーできるできないで、(やり方を)変えるっていうのは全くなかった。チームに若手が増えてきているし、アドバイスだったり、ちょっと厳しい雰囲気を出したり。自分自身の高いレベルのプレーをして、ジェイテクトの全体的に高い意識が保てたらなっていうことを常に意識しました」
浅野のポジションに入った、新人(内定をいれると2シーズン目)の藤中が入り、試合を重ねるごとに成長し、決勝でも活躍した。
「パナソニック戦から約1ヶ月間、スパイクを打てなかった。なので、藤中選手に(ポジションを)取られたというイメージよりは本当に藤中(優斗)選手がいて良かったなと思いました」