5月23日、ひとりの若き女子プロレスラーがこの世を去りました。
人気リアリティ番組『テラスハウス』に出演していた木村花さん、22才。番組内での彼女の言動に対してSNSなどで誹謗中傷が相次いでいたことを苦にして、自ら命を絶ったとされています。
それにしても、なぜこんな形で犠牲者が出てしまったのでしょうか。
匿名での卑劣な行為。ネット上とはいえ、彼女を精神的に追い詰めた加害者らは罰せられるべきです。その一方で、花さんがバッシングを受けて苦しい目に遭っていることを知りながらも〝視聴率のため〟に放置していた番組側の責任も同時に追求していかなくてはなりません。
〝テラハ〟という愛称で人気コンテンツだったこのシリーズは、Netflixのオリジナル作品で、制作はフジテレビ。
花さんの死を知った番組関係者は開口一番「台本? そんなものは存在しなかった」と否定しましたが、「データ解析に基づく大まかな脚本を作り、出演者の演技や恋愛の成り行きを巧みに誘導していたのはほぼ間違いない」と声を潜めるのは放送作家某氏。
「番組としてはその回の見せ場を、毎回作らないとならない。つまり、ドラマティックな展開だったり、おどろおどろしい人間模様を制作陣からしてみれば必ず欲しい訳です。ご存知のように設定として、若い子たちが恋愛するために一つ屋根の下で暮らすというのがあります。でも、いくらなんでも毎回視聴者がハラハラするような展開なんて、自然に生まれる訳がないんです。ある程度の作り込みは必要ですし、それに照明だったりカメラワークだってドラマ並に機能してる。いわゆる台本というものは出演者に与えられていなかったのかもしれませんが、相談という形でスタッフの方から出演者に歩み寄り、助言または誘導、こうしたらどうかな? などの入れ知恵は絶対にあったはず。そうじゃないと番組が成り立ちません」(放送作家)
番組内で見せた花さんの言動を間に受け、彼女に言葉の暴力をぶつけていた視聴者。少数派にせよ、なんの疑いも持たずにリアリティ番組=一切のヤラセなし、という解釈をしていたことにも驚きます。
考えてみれば、あれだけの恋愛ドラマは日常でだって次々と起こりません。そもそも視聴者を楽しませる「番組」という根本的なことさえ、加害者たちは忘れていたのかも…。
参考記事:加藤紗里 自身を『日本一の嫌われ者』と称し、またも誹謗中傷の嵐! みんな「中傷したくて」見に来てる? | TABLO
「業界関係者を驚愕させたのは、現役の放送作家までもが間に受けて、ハッシュタグ付きで花さんをバッシングしていたことです。しかもそこそこ名のある人物ですよ。同業者なのになんて馬鹿なことを! と呆れましたし、逆に番組を盛り上げるべく、わざと花さんを叩いていたのかなとも思ったり。それにしても、演者が悲しい死を遂げたというのにフジテレビもNetflixもある意味、冷静ですよね。まるで身を縮ませて嵐が通り過ぎるのをジッと待っているかのような状態。僕個人としては、番組の司会進行を務めていた南海キャンディーズの山里亮太さんには、心底がっかりしましたね。訃報を聞いた直後は悲しみに暮れている風でしたが、翌日にはケロッとしていた。切り返しの早さ! さすがにツイッターも暫くは更新しないと思ってましたけど、わずか数日で平常運転ですからね。鋼の心臓、恐れいります」(同上)
山里は番組の顔ともいうべき存在と立ち位置で、一つ屋根の下で繰り広げられる男女の人間模様を観察。切れ味の良い物言いで番組を盛り立てていました。
そんな中、花さんに対してはとくに当たりが強かったことが知られており、視聴者へ誹謗中傷を焚き付けていたという声も上がっています。
「現役出演者もツイッターで吐露していましたが、山里さんの発言には影響力がありすぎた。YouTubeのNetflix公式チャンネルに番組のスペシャル解説『山チャンネル』が公開されていたのですが、『花が鼻につく』という動画のタイトルがあったんです。まずいと思ったんでしょうね、花さんの死後、誰の指示があったのか真っ先にその動画を削除したんですよ。わざわざ名指しで出演者を叩いたのは紛れもない事実で、心のどこかで花さんの自殺に繋がる一端を担っていたのかもしれないという自覚があったから削除した。そう思われて仕方ないんじゃないでしょうかね。もし、山里さんの一言一句全てが台本ありきの演出だったというのならばそう世間に伝えるべきだし、もしそうだったとしたら花さんをヒール役に見立てて出演させていたことも認める形になっちゃいますよね? いずれにせよ、人がひとり亡くなっているのに山里さんの切り替えの早さの不自然さ、そして制作陣の腑に落ちない釈明、本当に卑怯だなと感じてます」(某民放テレビ局・制作部)
自身のラジオで声を詰まらせながら花さんを追悼した山里。言いたくても言えない事情がなにかしらあるのかもしれませんが、だとしても、若い女の子が不本意な中で命を絶ったという事実はとても重い。
彼女の死を悲しむだけでなく、制作する側に問題がなかったのか、山里の立場だからこそ昨今の番組のあり方に一石を投じることが出来たのではないでしょうか?
「山里さんは今や吉本を代表する売れっ子芸人。美女と野獣婚などと揶揄されましたが人気女優と結婚して人生バラ色のはず。業界での評判は、良くも悪くも怖い人。言いたいことをズバッとサラッと笑いを交えて話せる強さもあるし、逆に山里さんを敵に回したら終わりと言われてる。相手を潰すまでとことん粘着するのが持ち味ですからね(笑)。例えば、品川庄司の品川さんから若手時代に言われたことをずっと根に持ち続け、自分が売れてからラジオで暴露しました。〝あの人とは共演NG〟とまで言ってのけ、ああ山里さんは何年も言うタイミングを見計らっていたのか、計算高い人だなと。それから元相方に関しても、当時自分が受けた酷い仕打ちを売れてから暴露して、嫌な話を蒸し返しました。品川さんも元相方も、それらのせいで最悪なレッテルを貼られることとなり、言葉は悪いですけど再起不能にまで追い込まれました」(放送作家)
「ずっと子供の頃からいじめられっ子だった」と、よく話している山里は、どうやったらいじめる側にダメージを与えられるか熟知しているのかもしれません。
何をされた訳でもないのに「相方の静ちゃんが大嫌いだった、理由は売れていたから」という性格の悪さも、今一度ここに記しておきたい。
業界にはこんなことわざがあります。
「毒舌で名をあげた人は、単に運が良かっただけ」
公私共々、順風満帆の山里亮太ですが、安泰とされていたアンジャッシュ渡部が一夜にして奈落の底へ落ちてしまったように、これから先のことはどうなるのかまったく予想は出来ません。
木村花さんの死で、山里のキレ味の悪さと逃げ足の速さがバレてしまい、それが今後の芸能生活にどう影響を及ぼすのか? 老婆心ながら、相手の人生をも狂わしかねない毒舌は控えた方がいいですよ。【文中敬称略】(取材・文◎那目鯛子)