6月19日に開幕したプロ野球は、シーズンの3分の1以上を消化。開幕延期に伴って、クライマックスシリーズが、パ・リーグは1位と2位のみ、セ・リーグは中止となり、レギュラーシーズン首位の座を巡って、例年以上に熱い戦いとなっている。
過密日程も相まって、勝利の鍵を握るのはやはり打線だ。開幕の大方の予想を覆し、昨年まで超強力打線を形成していた埼玉西武ライオンズは、8月13日時点でチーム打率両リーグ最下位に甘んじていた。
過去に一世を風靡した強力打線を振り返る本企画。第5回は、「山賊打線(獅子おどし打線)」を振り返る。(今季成績は8月20日時点)
2018年の打線
2018年の打線は抜け目のない攻撃力で、大量得点を生み出した。1番に稀代のヒットメーカー秋山翔吾。卓越したバットコントロールで、高い出塁率はもちろん、相手先発投手の立ち上がりを挫く打撃をみせた。
そして2番の源田壮亮。アベレージ以上のしぶとい打撃に加え、塁上では最も厄介な選手となる。34盗塁の数字だけでなく、一塁にいるときから足を意識させることにより、後に続く浅村栄斗、山川穂高の120打点コンビの打撃を助けた。
3、4番は打点王の浅村と、本塁打王の山川。5番にはこのシーズン捕手として初めてフル回転した森友哉、6番には飛躍のシーズンとなった外崎修汰が座る。いぶし銀の栗山巧、不振ながらも28本塁打を記録した中村剛也が7、8番、そして1番の攻撃へとつなぐことができる俊足の金子侑司が9番打者を務めた。
このシーズン、チーム得点は日本プロ野球史上歴代3位となる792得点を記録。森、山川、浅村、源田、秋山、菊池雄星の6人がベストナインに選出され、西武勢がリーグを席巻した。
2019年の打線
ベストナインの菊池、浅村が抜けた2019年の西武。打点王の移籍は得点力を大幅にダウンさせる可能性もあったが、終わってみれば756得点を挙げリーグ連覇を達成。打ち勝つ野球は、このシーズンも継続して威力を発揮した。
1,2番は前シーズンと変わらず秋山、源田。3番には、森が天才的なミート力を武器に飛躍し、リーグ首位打者に輝く活躍をみせた。4番には、前年主に後ろの方の打順を打っていたベテランの中村。山川が不振に陥ったときに、チームを支え、打点王のタイトルも獲得した。
外崎はさらに長打力に磨きをかけ、主軸として大きく成長。山川は好不調の波がありながらも、2年連続40発をクリアした。8番には、投手出身の木村文紀がレギュラーの座をつかみ、2桁本塁打を放つなどパンチ力をみせた。
2019年は、最高出塁率以外の打撃タイトルを西武勢で独占。首位打者の森、最多安打・秋山、本塁打王・山川、打点王・中村、盗塁王・金子と、それぞれの持ち味をいかんなく発揮し、浅村が抜けた穴を上手くカバーした。
2020年シーズンのここまで
そして秋山翔吾が抜け、1番打者不在となった今季の西武。新型コロナウイルス感染症の影響でシーズン開幕がずれ込んだこともあり、自慢の得点力が鳴りを潜めた。主軸となるべき森、外崎らが不振に、秋山からキャプテンマークを引き継いだ源田も6月の10試合は打率1割台と精彩を欠いた。山川も本塁打こそでるものの、本調子とは言えない状態が続いている。
ひとり気を吐いているのが、ベテランの栗山だ。西武で唯一規定3割をクリアし、4割近い出塁率を誇る。昨季7本だった本塁打も、今季は既に6本。不振のチームを鼓舞するように、好調をキープしている。
そんな西武打線だが、8月に入り、主力にようやくエンジンがかかってきた。森と外崎は8月の打率3割台と状態を上げ、打率を2割7分台へと乗せた。今後は長打力がついてくれば、山賊打線の復活が見込めそうだ。
8月13日時点でリーグ最下位だったチーム打率も、1週間でリーグ2位まで上がってきた。5位に沈むチームは、ここから巻き返すことができるだろうか。
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