チームの上位進出の鍵となるのが助っ人外国人選手の存在だ。近年では、メジャーリーグ経験のある選手も数多く来日し、1軍登録の上限である4枠を巡って競争も激しくなっている。今回は、各球団の歴代助っ人外国人選手をランキング形式で振り返り、活躍した選手の傾向を探っていきたい。【ソフトバンク・投手編】
※成績はチーム在籍期間の通算成績、ランキングはこれを基準に作成。
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第5位 ロドニー・ペドラザ
右投右打
在籍期間 4年(1999〜2002)
成績 187試合(196回)、11勝11敗117セーブ、126奪三振、防御率2.71
ダイエーの絶対的守護神としてチームを支えたペドラザ。速球は140キロ台ながら、精密なコントロールで打者を翻弄。与四死球率の低さも特徴的だ。
アメリカ合衆国出身、身長186センチ、体重98キロ。テキサス大から、1991年のMLBドラフト2巡目でモントリオール・エクスポズ(現ワシントン・ナショナルズ)に入団。その後、コロラド・ロッキーズやテキサス・レンジャーズの傘下などでプレーするも、メジャー昇格は叶わなかった。
1999年シーズン序盤にホークスに入団。当初は先発要員として期待されたが、リリーフ適正を見出され、経験のないクローザーに大抜擢。これが功を奏し、27セーブ、防御率1.98の成績でチームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献し、入団1年目で胴上げ投手となった。
その後もクローザーとしてマウンドに立ち、2000年(35セーブ)、01年(34セーブ)には2年連続で最優秀救援投手(現最多セーブ投手)のタイトルを獲得。中でも00年には、50回1/3を投げて与四球はわずかに4つ。「K/BB」は10.00と驚異的な数値をたたき出している。2002年には当時史上最速のスピードとなる162試合で100セーブも達成した(2020年終了時点では史上2番目の試合数。1位は2003年にギャラードが記録した148試合)。
2002年シーズン終了後には、読売ジャイアンツへ移籍。しかし、巨人では7試合の登板に終わり、防御率12.00と期待された働きはできなかった。
第4位 リバン・モイネロ
左投左打
在籍期間 5年目(2017〜)
成績 226試合(220回)、15勝8敗11セーブ114ホールド、298奪三振、防御率2.29
ソフトバンクの「8回の男」。最速158キロの速球に緩急の効いた投球術で打者を幻惑する。凄まじい奪三振率の高さで、現状球界最高の「ドクターK」と言えるだろう。
キューバ共和国出身、身長178センチ、体重69キロ。エイデデピナールデルリオ高から、キューバリーグのピナールデルリオに入団。2015年2月のカリビアンシリーズで初のキューバ代表に名を連ねた。2017年3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の代表にも出場したが、ソフトバンクスカウト曰く「2017年2月のカリビアンシリーズの時点ではもう獲得に動き出していた」という。
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2017年の5月に育成選手としてホークスに入団。ファームで持ち前の奪三振能力を披露し、わずかひと月で支配下へと移行。シーズン途中からにもかかわらず、34試合に登板し、15ホールド、防御率2.52と高い安定感を見せ、リーグ優勝、チーム2年ぶりの日本一に貢献した。
2018年こそ、防御率4.53と崩れる場面もあったが、2019年には60登板で防御率1.52と圧巻の成績で飛躍。2020年も短縮シーズンで50試合に登板し、防御率1.69と抜群の投球を披露し、最優秀中継ぎ(38ホールド)にも輝いた。両リーグ最高となるシーズン奪三振率14.44という数字そのままに、日本シリーズでは主戦場の“8回”に3度登場し、無安打無失点8奪三振という圧巻の投球だった。2021年も33試合の登板だったが防御率1.15と隙はなかった。
前述のスカウトも、「ブレイクした後も常に真面目で謙虚な人柄はそのままなので、そういう彼のパーソナリティも成功の要因の一つ」と語る。ソフトバンクが誇るドクターKはこれからもまだまだ成績を残しそうだ。
第3位 ジョー・スタンカ
右投右打
在籍期間 6年(1960〜1965)
成績 236試合(1314回1/3)、94勝59敗、818奪三振、防御率2.90
南海のエース格として活躍したスタンカ。長身から投げ下ろされる速球と、切れ味鋭いシュートで特に右打者を得意とした。
アメリカ合衆国出身、身長196センチ、体重96キロ。オクラホマ大から、1950年にブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス)と契約。59年にシカゴ・ホワイトソックスでメジャーデビューし、2試合にリリーフ登板。1勝、防御率3.38の成績だった。
1960年に南海ホークス(現ソフトバンク)に入団し、先発の一角として活躍。初年度から240回を投げ、11完投4完封、防御率2.48と結果を残した。1964年には26勝を挙げ、シーズンMVPを獲得。日本シリーズでは、第3戦こそ打ち込まれたものの、第1、6、7戦で完封勝利をマーク。外国人選手初の日本シリーズMVPを獲得し、チーム日本一の立役者となった。
在籍6年間で2桁勝利を5度記録し、同時に51完投18完封とイニングも稼いだ。また、打撃も得意とし、通算7本塁打を放った。66年に大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)移籍後、NPB通算100勝も達成している。
第2位 ブライアン・ファルケンボーグ
右投右打
在籍期間 5年(2009〜2013)
成績 223試合(227回)、10勝9敗44セーブ95ホールド、299奪三振、防御率1.51
セットアッパーとして圧倒的な成績を残したファルケンボーグ。独特なフォームから繰り出される150キロ後半のストレートとスプリット、縦に大きく割れるカーブを駆使し、奪三振を量産。制球力にも優れており、与四死球、被本塁打も少なかった。
アメリカ合衆国出身、身長200センチ、体重106キロ。レッドモンド高から、1996年MLBドラフト2巡目(全体51位)でボルティモア・オリオールズに指名され入団。99年に同球団でメジャーデビュー後、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、セントルイス・カージナルスなどを渡り歩いた。MLB通算成績は、64試合のリリーフ登板で、3勝5敗、防御率5.59となっている。
ソフトバンクには2009年に入団。初登板から16試合連続無失点を記録するなどいきなり圧巻のパフォーマンスを披露し、首脳陣の信頼を得た。試合終盤に訪れる盤石のリリーフ陣の一角として活躍し、摂津正、馬原孝浩とともに勝利の方程式「SBM」と呼ばれた。
2年目の2010年には、60試合に登板し、39ホールド、83奪三振、防御率1.02(いずれもキャリアハイ)をマーク。相手チームの戦意を喪失させるほどに支配的な投球を続け、同僚の攝津と最優秀中継ぎ投手のタイトルを分け合った。
2011年には20ホールドに加え、馬原に代わってクローザーを務めた時期もあり、19セーブをマーク。MLB時代から抱えていたけがとの戦いもあったが、セットアッパーとして好成績を残し続けた。退団後は、東北楽天ゴールデンイーグルスで1年間クローザーとしてプレーした。
第1位 デニス・サファテ
右投右打
在籍期間 8年目(2014〜)
成績 265試合(267回1/3)、15勝11敗180セーブ27ホールド、382奪三振、防御率1.31
今シーズンで在籍8年目を迎えたサファテ。160キロ近い威力抜群のストレートと、落差の大きいフォークで驚異の奪三振率を誇る。また、打者のタイミングを外すカーブやスライダーなど持ち球全てが一級品だ。
アメリカ合衆国出身、身長193センチ、体重102キロ。アリゾナ州大から、2001年MLBドラフト9巡目(全体268位)でミルウォーキー・ブリュワーズに指名され入団。06年に同球団でメジャーデビューし、その後ヒューストン・アストロズ、ボルティモア・オリオールズでもプレーした。MLB通算は92試合の登板(4先発)で、5勝4敗、7ホールド、防御率4.53の成績だった。
2011年に来日し、広島東洋カープ、埼玉西武ライオンズでも主にクローザーを務め、ホークスでは2014年からプレー。この年にはNPB史上初となる両リーグで30セーブを達成するなど、64試合の登板で防御率1.05と圧巻の成績を残し、チームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。
以降も不動の守護神としてチームの躍進を支え、15年からパ・リーグタイ記録となる3年連続セーブ王を獲得。特に圧巻だったのは2017年で、前人未到の54セーブをマークし、シーズンMVP、日本シリーズMVP、外国人選手としては初めての正力松太郎賞も受賞するなど大車輪の活躍を見せた。2018年からはけがに苦しみ、2019年以降は、1軍登板ゼロ。そして2021年ついに引退を決めた。
第6位 リック・バンデンハーク
右投右打
在籍期間 6年(2015〜2020)
成績 84試合(509回1/3)、43勝19敗、543奪三振、防御率3.68
質の良い速球と、落差の大きいナックルカーブを武器に高い奪三振率を誇る。モイネロのランクインで6位とした。
2014年にKBOで最優秀防御率と最多奪三振のタイトルを獲得する活躍を見せ、ホークスに入団。初登板から破竹の勢いで勝ち星を量産し、2シーズンにまたいで14連勝を記録。初登板からの連勝記録を50年ぶりに更新した。
2017、18年には1年間先発ローテーションを守り抜き2桁勝利をマーク。チームの連覇に大きく貢献した。2021年シーズンからは東京ヤクルトスワローズでプレーする。
他にも、デニス・ホールトンらが劣らぬ活躍を見せた。
福岡ソフトバンクホークス、歴代助っ人外国人選手ランキングトップ5<野手編>
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