ストーブリーグも佳境を迎えているメジャーリーグ。2月28日(日本時間3月1日)からは、スプリングトレーニングゲームが始まる。60試合制となった2020年シーズンは、ダルビッシュ有(現サンディエゴ・パドレス)、前田健太(ミネソタ・ツインズ)両投手の活躍が光った日本人メジャーリーガー。ダルビッシュは8勝を挙げて日本人初の最多勝を受賞、前田はメジャートップ、歴代でも2位となるWHIP0.75をマークし、ともにサイ・ヤング賞まであと一歩まで迫った。
メジャー屈指の成績を残した両投手は、エース格としてチームを牽引。多大な貢献をもたらした。米分析サイト『FanGraphs』によると、同年のチームへの貢献度を表すWAR(Wins Above Replacement)(※)はダルビッシュがWAR3.0、前田がWAR2.1を記録した。
では、これまでに海を渡った日本人選手はどれだけチームに貢献してきたのだろうか。今回は歴代日本人メジャーリーガーの通算WARランキングを紹介したい。(WARは『FanGraphs』を参照。)
※WAR(Wins Above Replacement):統計学的に分析したデータで選手を評価する”セイバーメトリクス”の指標の一つで、同じ出場機会を与えられた代替選手と比較してどれだけチームの勝利数を上乗せしたかを示す。
<1〜5位>
<6〜10位>
<16〜20位>
15位 吉井理人
通算WAR 6.5
キャリアハイ 1.6(2000年)
通算WAR6.5を記録した吉井理人。キャリアハイはロッキーズに所属した2000年の1.6となった。
1998年から2年間はニューヨーク・メッツでプレーした吉井は、先発ローテーションの一角を担い、98年は6勝8敗と負け越すも、防御率は3点代。99年は防御率4.40となったが、31試合(174回)を投じて12勝8敗で4個の貯金を作った。
オフにはロッキーズへトレード移籍。同年はシーズン最終盤に離脱したが、先発として29試合(167回1/3)を投げ、WARはキャリアハイの1.6を記録した。しかし、6勝15敗と大きく負け越し。防御率5.86、被本塁打数は32本と打ち込まれる場面が目立った。
14位 井口資仁
通算WAR 6.6
キャリアハイ 3.3(2005年)
通算WAR6.6を記録した井口資仁。キャリアハイはシカゴ・ホワイトソックスに所属した2005年の3.3となった。
メジャーデビューとなった同年は2番打者としてチームの象徴となった「スモール・ベースボール」を体現。レギュラーシーズンでは135試合出場で打率.278、15本塁打、71打点、15盗塁をマークし、チームの地区優勝に大きく貢献した。その後、ポストシーズンを勝ち抜いてワールドシリーズに進出。井口も存在感を発揮し、1年目でワールドチャンピオンとなった。
ホワイトソックスでは07年途中までプレーした。06年は138試合に出場し、打率.281、18本塁打、67打点、11盗塁をマーク。チーム打撃に徹しながらも前年を上回る打率、本塁打数を残した。また、同年は対右投手に好相性で、左投手に対しては打率.252だったが、右投手に対しては打率.298とした。
13位 斎藤隆
通算WAR 8.2
キャリアハイ 3.1(2006年)
通算WAR8.2を記録した斎藤隆。キャリアハイはロサンゼルス・ドジャースに所属した2006年の3.1となった。
メジャーデビューとなった同年はマイナー契約からのスタートだったが、開幕直後にメジャー契約。リリーフで好投を続けたことで評価は急上昇し、一気にクローザーまで登り詰めた。最終的に72試合に登板し、6勝2敗24セーブ7ホールド、防御率2.07、WHIP0.91をマーク。特に対右打者に強さを発揮し、左打者に対しては防御率3.09、WHIP1.14となったが、右打者に対しては防御率1.25、WHIP0.72に抑え込んだ。
07年は開幕から守護神を担い、オールスターゲームにも選出された。シーズン終了までクローザーの座を守り、63試合登板で2勝1敗39セーブ1ホールドをマーク。防御率1.40、WHIP0.72と抜群の安定感を誇った。09年にはボストン・レッドソックスと契約。以降はアトランタ・ブレーブス、ミルウォーキー・ブリュワーズ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスに1年ずつ所属した。
12位 松坂大輔
通算WAR 8.4
キャリアハイ 2.9(2007年)
通算WAR8.4を記録した松坂大輔。キャリアハイはレッドソックスに所属した2007年の2.9となった。
メジャーデビューとなった同年は順当に開幕ローテーション入りを果たし、レギュラーシーズンでは32試合(204回2/3)を投じて15勝12敗、201奪三振をマーク。左打者に打ち込まれる傾向が見られ、防御率4.40だったが、先発として地区優勝に貢献した。ポストシーズンを勝ち抜き、迎えたワールドシリーズでも勝利投手に。1年目でチャンピオンリングを手にした。
08年は29試合(167回2/3)を投げ、18勝3敗と15個の貯金を作り、防御率2.90をマーク。しかし1試合の平均投球回、与四球率は悪化。WHIP1.32は前年と同値となった。09年以降は懸念されていた制球難を露呈し、成績が低迷。10年こそ9勝を挙げてWAR2.1を記録したが、11年は8試合登板で3勝、12年は11試合登板でわずか1勝に終わった。
11位 青木宣親
通算WAR 9.6
キャリアハイ 2.4(2012年)
通算WAR9.6を記録した青木宣親。キャリアハイはブリュワーズに所属した2012年の2.4となった。
メジャーデビューとなった同年の下馬評は高くなく、開幕直後は控え選手の位置付けだったが、シーズン序盤にレギュラーへ定着。最終的に151試合に出場し、打率.288、150安打、10本塁打、30盗塁をマークした。
以降も打撃面で安定した成績を維持した青木。シアトル・マリナーズでプレーした16年は、前年に苦しんだ目眩の影響も心配されたが、118試合出で打率.283をマーク。真ん中のゾーンと外角のベルト付近から高めの球に高打率を残していた。
外部リンク