「おなら」「教科書」「浴衣」。これらはすべて「略語」というが正式名称は分かるだろうか。11月22日(木)に放送された「コトノハ図鑑」で、身の回りの「略語」について徹底調査した。イマドキの若者世代の「略語」から、「略語」とは知らずに使っていた言葉をMBSの武川智美アナウンサーと近藤亨アナウンサーが取材した。
「おなら」って!?
冒頭の「おなら」「教科書」「浴衣」の正式名称だが、「おなら」は、平安時代「屁を放る(ひる)」と言われていた。しかし宮中に務めている女性は、そういう下品な言葉は使わないので、「鳴らすもの」に「お」をつけて「お鳴らす」→「おなら」に。そして、「教科書」は「教科用図書」で、「浴衣」は平安時代、お風呂に入るときに着ていた「湯帷子(ゆかたびら)」が省略され今の漢字にあてはめられたという。古代民族研究所の大森亮尚先生によると「日本ではずっと言葉を略して表現していた。古い時代は文字を持っていなかったため、記録に残すことができなかったので全部頭で暗記する。そのため、できるだけ短く省略され七五調のリズム感で覚えた」と話す。
海外では通じないかも!?
次に「食パン」の正式名称は分かるだろうか。「食事用パンの略だと思う!」と武川アナは張り切って答えるが、正解は「主食用パン」の略。パンは外国では主食なので「主食用パン」から「食パン」になった(諸説あり)。また、「ペペロンチーノ」だが、正式名称は「アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ」という。アーリオはにんにくで、オーリオはオイル。ペペロンチーノは唐辛子のことを意味するので「イタリアでペペロンチーノを注文すると、唐辛子しかが出てきません」と大森先生。このほか、「ソフトクリーム」は柔らかい状態で提供するアイスクリームという意味なので、正式には「ソフト・サーブ・アイスクリーム」。海外で「ソフトクリーム」をいうとソフト(柔らかい)クリーム→ハンドクリームのことをイメージするという。
「カラオケ」「演歌」「電卓」...正式名称は?
雑学クイズなどでよく出題される「カラオケ」は、「空(から)オーケストラ」の略。元々は、バンドマンが歌手抜きで練習することを「空(カラ)オケ」と言っていたことが語源といわれる。また、「演歌」もある言葉の略語というが、分かるだろうか。答えは「演説歌」。大森先生は「明治時代、自由民権運動が起きて人々が演説して政府を批判したことから政府の弾圧により『演説はダメ』となり、歌に切り替えて『演説歌』になったという説があります」。さらに、身近にある「シャーペン」や「電卓」も略語だという。「シャーペン」は、いつも尖っている鉛筆「エバー・レディー・シャープペンシル」。実は大正初期に早川徳次さんがこのシャーペンのもととなるものを発明し、後にこれが大ヒットしたことで会社を設立。このペンの名前からとってあの家電メーカー「シャープ」が誕生したというから驚きだ。
また、「電卓」は「電子式卓上計算機」の略。この正式名称を聞いた武川アナは「一番大事な"計算機"って言葉が抜けてる!"電卓"ってひどくない!?」と言うと「略すにも程がある!」と近藤アナも同意していた。
このほか、「①ワンチャン、②かまちょ、③フロリダ、④イケボ」。これらはすべてイマドキの若者が使っている略語だが、分かるだろうか。①は「1(ワン)チャンスある」で、②は「かまってちょうだい」、③はメールやLINEのやり取り中に「お風呂に入るから離脱する」の略。④はイケてるボイスのことをいう。
驚愕!「ピカソ」の本名は......
「略さないニュース」と題し、武川アナと近藤アナがニュース原稿を読み上げて「ニュースの中に隠れた略語」を探し出すクイズを出題した。
・武川アナ編「軍手をはめたサックス奏者がSNSで人気となっています。その人気に便乗し、軍手をはめたピアノ奏者も現れ話題となっています」。このニュース原稿の中には4つの略語があるのだが分かっただろうか。答えは「軍用手袋(軍手)をはめたサクソフォーン(サックス)奏者がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で人気となっています。その人気に便乗し、軍用手袋をはめたクラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ(ピアノ)奏者も現れ~」。
・近藤アナ編「コトノハ美術館で開催されるピカソ展を記念して、切手が発売されました。なお、この展覧会には、およそ50万人の来場者が見込まれ、経済効果が期待されます」。こちらの原稿には3つの略語が隠されている。
1つ目は「ピカソ」。ピカソは「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピアノ・デ・ラ・サンテシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」の略。2つ目は「切手」は「切符手形」で3つ目の「経済」は「経世済民」の略という。最後に、武川アナが「略語があったからこそ、アナウンサーしてはちょっと楽してるのかも!」とコメントしていたが、文章を書くことを生業にしている者からしても、かなり「略語」に助けられていると痛感した。ちなみに、ピカソの本名を軽快に読み上げた近藤アナは、この長い名前を丸暗記して原稿読みに挑んだと明かした。NG無しの1発OKだったという。
「コトノハ図鑑」(MBS 毎週木 よる0時59分放送)は、MBSのアナウンサーが「コトノハ図鑑」の編集者として様々な分野の"言葉(コトノハ)"の世界を取材。「アナウンサーが言葉を学ぶこと」を通して、視聴者にも発見を届ける。"コトノハ"を深く知れば、『人生が少し豊かになる』をコンセプトに知的好奇心をくすぐる番組。
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