サーフィンをするうえでワイプアウトは始めに身に着けておきたいテクニックです。ワイプアウトを簡単に言うと、乗っているサーフボードから落ちることです。
実はワイプアウトは、ただ落ちるだけでは危険です。意識的に行うことができないと怪我や事故の原因になるのです。
今回は正しいワイプアウトのやり方、ワイプアウトが起きてしまう原因と対策方法を解説します。特にサーフィン初心者はボードの上に立つのもやっとでしょうから、ワイプアウトの回数も多いはずです。ワイプアウトを繰り返すと体力の消耗も激しいので練習効率も悪くなります。正しいワイプアウト法を学べば体力の消耗も減るのでぜひ参考にしてくださいね。
ワイプアウトの危険性
ワイプアウトは乗っているボードから落ちることを指します。では何故サーフィンでボードから落ちると危険なのでしょうか?海中では危険性も少ないのでは?と考えてしまうでしょう。
確かに小さい波にライディングしているときにワイプアウトしても、あまり危機感を覚えることはありません。しかしそれが大きく勢いのある波になると話は違います。正しいワイプアウト法を身に着けていないと、怪我や事故に繋がります。以下では、ワイプアウトによる危険性を紹介します。
【波に飲まれて深い場所まで体が沈む】
波の前に落ちるワイプアウトは、波に飲まれて深う場所まで体が沈みます。呼吸が荒い状態で波に飲まれて深い場所まで沈み、浮き上がるまでに呼吸ができず苦しい思いをします。
これはノーズダイブワイプアウトによく見られる現象です。必死にパドリングをして波の速度に合わせ、ランディングした瞬間に波の前から落ちてしまうので、呼吸が荒い状態のまま深い場所まで沈んでしまいます。
【リーフによる接触】
リーフとは岩礁地帯、あるいは海中に急遽出現する岩のことを指します。
サーフィンのポイントは海底が岩礁地帯の” リーフブレイク “と海底が砂の”“ビーチブレイク”の2種類あります。本州ではリーフブレイクのサーフポイントは極端に少ないですが、沖縄やハワイではリーフブレイクのポイントが多数あります。
リーフブレイクのポイントでは、海底が岩なので自分の思うようにワイプアウトができないと激突して怪我を負ってしまいます。
【ボードに接触】
ワイプアウトで特に多く、危険性が高いのが、サーフボードと一緒に波に巻き込まれて海中で接触してしまうことです。特にフィンで体を切ってしまうケースが多く、大変危険性が高いです。サーフィンはウェットスーツを装着するので体はある程度守られますが、頭部には何も装着しません。
ワイプアウトによる怪我で最も多く危険なのが、頭部にフィンが当たって負傷することです。
[特に危険なノーズダイブワイプアウト]
ワイプアウトの中でも特に危険なのが、ボードのノーズが海面に突き刺さり、テールが上がって体が前に放り出される“ノーズダイブワイプアウト”と呼ばれるものです。
ノーズダイブワイプアウトは波に飲まれて深い場所まで体が沈みやすく、ボードも一緒に巻き込んでしまいます。特に初心者がテイクオフするタイミングでノーズダイブワイプアウトをすることが多く、初級の壁として初心者サーファーに立ちはだかります。
正しいワイプアウト方法
ワイプアウトで怪我をしないためのコツを解説します。
海面に落ちる瞬間は手足を広げて深く沈まないように抵抗します。そうすれば深い所まで体が沈むことはありません。その後の水中では、ボードとの衝突を防ぐために手で頭を覆って体を丸めます。
浮き上がるときは片手を海水面に突き出すようにして、上に漂うボードと頭がぶつからないようにします。
周りにほかのサーファーがいなければ、意図的にサーフボードを蹴るような感覚で距離を保つようにします。落ちるときは頭や肩からではなく、おしりから水面にダイブするようにしましょう。
ワイプアウトの原因と対策方法
ワイプアウトに悩んでいる方は以下のポイントを見直してみましょう。初心者がワイプアウトの原因になっていることが多いポイントです。
【サーフボードの重心をつかめていない】
サーフボードの乗る位置がずれていると、海面にノーズが刺さりやすくなるのでワイプアウトに繋がります。
サーフボードと体の適切な位置関係は、パドリングをするときにノーズが水面ギリギリで沈まずに、テールが浮かない所に体の重心を置くと適切です。初心者の場合は浮力の大きいボードを使うので、重心が多少ずれていてもボードの補助でテイクオフが楽になります。しかしボードと体の最適な位置関係が分かっていないと、ワイプアウトに繋がります。波のない場所で自分のポジションを見直してみましょう。
【テイクオフのタイミングが遅い】
波に乗る瞬間のテイクオフが遅れると、テールが波にめくられてノーズが海面に突き刺さり体が前方に投げ出されて、ノーズダイブワイプアウトに繋がります。
テイクオフでワイプアウトしてしまう人は、いつもより一呼吸早めにテイクオフしてみるとボードが前のめりになるのを防げます。
【パドリング力が足りない】
パドリングは腕で水を漕いで前方の推力を得るものです。上記で解説した“テイクオフのタイミグが遅い”と関連性があるのですが、パドリングができていないと波のスピードと自分のスピードを合わせられずに乗り遅れるので、結果的にテイクオフのタイミングが遅くなってしまう場合があります。
パドリングは水中の深い場所まで手を入れて、体全体を使って推力を得ます。初心者は水面の浅い部分だけを漕いでることが多いので、正しいパドリングを身につけましょう。
【目線を進行方向に向ける】
目線は姿勢に大きく影響します。テイクオフするタイミングでは特に目の前の海面、もしくは自分の手元を見てしまいます。しかい自分の体から近い場所に目線を向けていると、体が縮こまって猫背になり、姿勢が悪くなります。
テイクオフのタイミングでは目線を進行方向の先へ向けてみましょう。すると自然と体も開いて大きく使うようになるので、バランスを維持しやすくなるのです。
初心者に一番多いワイプアウトの原因は目線の位置である場合が非常に多いです。目線はワイプアウトタイミングに限らず、常に進行方向の先へ向ける意識を忘れないようにしましょう。
始めは難しいかもしれませんが、クセをつけることでワイプアウトの数は激減します。ワイプアウトだけでなく、サーフィン全体のパフォーマンスが向上するので、進行方向の先を見るクセは意識してつけてみてください。
ワイプアウトの対策方法まとめ
ワイプアウトの原因と対策方法を解説しました。
初心者は特にテイクオフのタイミングで体が投げ出されることが多いでしょう。今回解説したポイントを意識して改善すれば、ワイプアウトの悩みは激減します。ワイプアウトが減るだけでなく、サーフィン全体のパフォーマンス向上にもつながるので、必ず見につけておきたいですね。
もしワイプアウトしそうになった時は以下のポイントを忘れずに実行してください。
・ボードから落ちる時は手足を広げて深い場所に沈まないようにする。
・水中では巻き込まれたボードと接触しないように手で頭を保護して体を小さく丸める。
・水面に上がるときは、片手を海面方向に上げて頭とフィンが接触しないようにする。
・周りに人がいなければボードを蹴るようにして距離を取る。
これらを意識して、ワイプアウトによる怪我を未然に防いでサーフィンを楽しんでください。