アスペルガー症候群とADHDはどちらも発達障害のひとつです。どちらの発達障害も、学校や職場でうまくなじめず問題を抱えがち。そのため、それぞれの症状を理解して支援することが欠かせません。
そこで本記事では、アスペルガー症候群とADHDの特徴とその違いについて紹介しましょう。
アスペルガー症候群とADHDは発達障害
まず、アスペルガー症候群とADHDの共通点から紹介します。
生まれついての「特徴」といわれる
アスペルガー症候群とADHDは「うつ」などの精神疾患とは異なり、いずれも生まれついての「特徴」。小さいころからほかの子どもと異なるため、早い段階で両親が気付くことも多いでしょう。
学校や仕事に上手くなじめない状態
アスペルガー症候群とADHDに対する理解は少しずつ深まりつつありますが、ただ単に「変わった人」と捉えられることも少なくありません。そのため周囲にうまくなじめず、不登校になったり退職したりと問題を抱えてしまうことも。世間にうまくなじんでいるように見える人でも、実際には周囲に合わせる努力をして内心疲れていることも多いようです。
アスペルガー症候群とADHDの相違点
それでは、アスペルガー症候群とADHDはどのように違うのでしょうか。それぞれの特徴とその違いについて紹介しましょう。
アスペルガー症候群は自閉症のひとつ
アスペルガー症候群は広汎性発達障害のひとつで、自閉症の一部。自閉症のおもな症状のうち、知能や言葉の遅れがないものをアスペルガー症候群と呼びます。知能や言葉に問題はないため、学校での成績が良く大企業に勤めている人も珍しくありません。
アスペルガー症候群のおもな特徴
アスペルガー症候群のおもな特徴は次の3つ。
- 対人関係をうまく築くことができない
- 特定の物事に強いこだわりがある
- 日常生活や行動がパターン化される
アスペルガー症候群の人は、曖昧なコミュニケーションが苦手です。人の顔色を見たり心情を察したりすることができず、場の空気が読めないといわれる人も多いでしょう。相手の考えていることがわからないため、意図せず他人を傷つけてしまうこともあります。
また、ある物事や分野に強いこだわりを持ち、とことんのめり込んでしまうのもひとつの症状です。そのこだわりから、特定の分野で秀でた才能をみせることも。
強いこだわりは日常生活や行動にも現れます。自分の決めた生活パターンにこだわり、そのパターンが崩れるのを嫌がることも多いようです。
ADHDとは注意欠如・多動性障害のこと
一方、ADHDとは注意欠如・多動性障害のことで、その行動に特徴があります。ADHDは大人になってから診断がつくことの多い病気です。長い間、本人もなぜミスや不注意が多いのかと悩むケースも少なくありません。
ADHDのおもな特徴
ADHDのおもな症状は次の3つです。
- 多動性
- 不注意
- 衝動性
社会生活のなかで、重要な期日が守れなかったり忘れ物が多かったりすることで問題を抱えがちです。またじっと座っていられなかったり、深く考えず衝動的に行動してしまったりといった特徴があります。
周囲の人はついイライラしがちですが、本人も行動をコントロールすることができないという点を理解することが大切です。
アスペルガー症候群とADHDは併発も
世間ではアスペルガー症候群やADHDに対する理解は深まりつつありますが、それでも家族や本人は悩むことが多いものです。しかしながら、専門家にきちんと診てもらいサポートを受けることで日常生活を送りやすくなります。病気をなくすのではなく、病気とうまく付き合うといった姿勢が大切でしょう。