写真:平野美宇(日本生命・写真左)・石川佳純(全農・写真右)/撮影:ラリーズ編集部
東京五輪個人戦代表 残り1枠をかけたデットヒート
写真:すでに代表選考基準を突破した伊藤美誠/撮影:ラリーズ編集部
東京五輪の卓球競技、個人戦に出場できる選手は各国2名とされている。
日本卓球連盟は、この個人戦に出場する選手の選出基準を2020年1月時点の世界ランキング上位2名と規定している。
この2つの枠を巡ってのランキングレースが佳境を迎えている。中でも熾烈なのは女子の石川佳純と平野美宇の争いだ。伊藤美誠が先陣を切って代表選出基準を満たし、残りの1枠をこの2人で争っているのだ。
2020年1月時点で有効なポイントで比較すると、現在は平野が65ptリードしている。同級生の伊藤に続き平野が勝ち切るか、経験豊富な石川が逆転を飾るか、大きな注目が集まっている。
T2は両者初戦敗退、残すは2大会
シンガポールで開催されたT2ダイヤモンド、石川と平野はともに初戦敗退となった。
写真:伊藤美誠に敗れた石川佳純(全農)/撮影:ラリーズ編集部
石川は伊藤美誠と対戦し、1-4で敗戦。平野は田志希(チョンジヒ・韓国)と対戦、過去の対戦成績3勝0敗と得意にしていた相手にフルゲーム3-4で敗れた。
平野は試合後「どうしても勝ちたいという気持ちが強く出て試合をしすぎている。残り2大会あるので、それに向けてどれくらいできるかが勝負になる。卓球に死ぬ気で頑張りたい」とコメントした。
写真:平野美宇(日本生命)/撮影:ラリーズ編集部
両者初戦敗退となったため、ポイント差は65ptで変わらず平野が優勢だ。代表争いは後2大会、12月4日からカナダで開催されるノースアメリカンオープンと、12月12日から中国で開催されるグランドファイナルを残すのみとなった。
残り2大会、両者の突破条件をチェック
世界ランキングの規定は、直近1年以内に出場した大会で獲得したポイントのうち上位8大会の合計(一部大会を除く)とされている。そのため、2人が今以上にポイントを積み上げるためには、残りの2大会で一定の結果を残す必要がある。
例えば、ノースアメリカンオープンは優勝で1100pt、準優勝で880ptが獲得できるが、石川、平野ともにポイント上位8大会で各900pt以上を獲得しているため、準優勝以下ではこの大会のポイントは加算対象にならない。優勝して1100ptを得ることで、ようやくノースアメリカンオープンでの獲得ポイントがランキング反映対象となる。
これを踏まえて、両者の代表権獲得条件を確認してみよう。
図:石川・平野の突破条件/作成:ラリーズ編集部
①ノースアメリカンオープンで石川が優勝した場合ノースアメリカンオープンで石川が優勝すると、石川が平野を逆転。135pt差をつける。
この場合、
グランドファイナルで石川が平野と同等以上の成績(平野=石川)を残せば石川が代表権獲得。
平野が石川を上回る成績(平野>石川)を収めれば平野が再逆転する。
②ノースアメリカンオープンで平野が優勝した場合平野が優勝すると、ポイント差は265ptに広がる。
この場合、平野が大きく優勢となる。
石川はグランドファイナルでベスト4以上が必須、尚且つ平野より勝ち進む(石川>平野)ことが条件となる。
③ノースアメリカンオープンで両者が準優勝以下に終わった場合この場合は、グランドファイナルでより勝ち進んだ方が代表権を獲得する。
両者同等の成績(平野=石川)ならば、ポイント差は変わらず平野が代表権を得る。現状、わずか65pt差とはいえ平野にとって有利といえるだろう。
最後の大会であるグランドファイナルは中国選手も多数参戦するワールドツアーの集大成。平野、石川といえども勝ち上がるのは容易ではない。初戦から中国選手とあたる可能性もある。それを踏まえると、ノースアメリカンオープンで優勝できるかどうかが鍵になるかもしれない。
かつてないハイレベルな戦いとなった五輪出場権争奪戦、決着の時は近い。熱戦の先には夢の五輪が待ち受ける。この熾烈な代表争いを勝ち抜いた選手ならば、五輪の大舞台でも華々しい活躍を見せてくれるのではないだろうか。
文:石丸眼鏡