調べ物をするときに、ツイッターやインスタグラムといったSNSで手軽に検索してしまう人たちがいる。「論破王」と呼ばれるひろゆきさんは「元来、世の中はアタマの悪い人のほうが多い。だから多くの人が集まるSNSなどには間違った情報が掲載されている確率も高い」という――。
※本稿は、ひろゆき『無敵の独学術』(宝島社)の一部を再編集したものです。
元来、世の中はアタマの悪い人のほうが多い
正しい情報をどうやって探し出そうかというときに、手っ取り早くネットで検索をする人が多いと思うのですが、最近はツイッターやインスタグラムを使って最新の情報を調べようとする人がいたりします。
でも、これは正しい情報を探し出す際の「間違い」の代表例。語弊があることを覚悟して言えば、基本、バカがすることです。
ツイッターやインスタグラムなどのSNSでは、ユーザーは基本的に自分の書きたいことしか書かないですし、アタマの悪い人でも誰でも好きなことを好きなだけ書くことができます。
元来、世の中はアタマの悪い人のほうが多いですから、多くの人が集まるSNSなどには間違った情報が掲載されている確率も高いです。
たとえば、僕が「毛糸の編み物」についてツイッターで発信していたとしても、単に酔っ払った素人が適当なことを書いているだけだし、そこに書かれていることなんて基本ウソです。
ツイートの9割は「素人の勘違い発言」
世の中のツイートの多くは「素人が間違ったことを言っているもの」と思ったほうがいいのです。
知りたい情報の種類、たとえば流行やトレンドを知るなどの意味では、利用できる部分も十二分にあります。ただ、正確な情報、とくに専門的な内容だったり、新型コロナウイルスのような未知の分野に関する情報というのは「信用できない」と思っておいたほうがいい。
仮に専門家が発言している情報だったとしても、その人の専門分野における正しい知識が1割あったとして、残りの9割は間違っていたりすることもあります。
SNSに掲載されている情報というのは「その程度のものなんだ」と思わないといけません。SNSで何か真実が見つかるんじゃないかと考えて調べものをする人は、たいていバカなのです。
信頼できるソースを見分ける方法
たとえばですが、正しい情報を調べたいのであれば、ドメインが「ac.jp」に掲載されているものは間違っている確率が低いです。このドメインは、大学などの高等教育機関や学校法人のホームページを意味しています。
こういう感じで、「どこの誰が発信をしているのか」で、それぞれのソースの信頼性について個別に判断することが大事だと思います。
よくわからない個人がつくっているサイトなどであれば、そこに載っている情報は基本、「怪しいな」と注意して見たほうがいいと思いますが、名の知れている出版社の本に書いてあることだったり、官公庁や大学、公の研究機関などが発信していたりする情報であれば、「真実である可能性は高いな」と予測できる。
こういった具合です。
信頼性の話からはちょっとズレますが、何がなんでも「活字」で情報を取り入れるのがベストかというと、それはちょっと微妙です。もちろん、活字を読むのはいいことだと思いますし、本を読むのが大好きですという人はどんどん読むといいと思うのですが、活字にこだわりすぎるのはちょっと時代遅れだと思います。
どんな情報をどのように把握したいかによっては、活字よりも映像のほうがわかりやすい場合もあります。
たとえば、「相対性理論」を理解しようというとき、活字で解説しているものから読み解いていくのはかなりハードルが高いです。
文章で読むよりも、アニメーションや図解されたものを見たほうが、パッと感覚的にイメージを把握できたりする場合があるということも忘れないでください。
ニュースは英語圏サイトを読んだほうがいい
情報収集は特定の媒体に限定せず、広くいろいろな方向から集めたほうが、結果的に正しい情報にアクセスできる割合は増えると思います。
だから、僕は「ニューヨーク・タイムズ」などメディアごとのアプリは使いません。
特定の新聞社のサイトを見るよりは、スマホだったらアイフォンやアンドロイドのOSがセレクトしているニュースを見たりしています(アイフォンだとホーム画面の左へスライドしたところに出てきます)。
「グノシー」などのニュースアプリも、入ってくる情報が日本のニュースばかりになるので使いません。もちろん日本語のサイトも見ますが、英語圏やフランス語圏のサイトを見るようにしています。
日本で言われていることが、英語圏だと全然違う話になっていることは、けっこうあります。
実際、日本国内のことは日本で決めますが、世界で起きている物事は日本以外の国にいる人たちによって決まっていくことが大半です。みなさんが想像している以上に、日本という国が世界に及ぼす影響力というのは小さいのです。
一方で、アメリカのバイデン大統領の発言であれば、世界に対して影響を及ぼすことが多い。昨今の中東問題でも、「菅さんが何を言うか」なんて、海外メディアはほとんど注目していないと思いますが、「バイデンさんがイスラエルとパレスチナの双方にどういうことを言うか」については世界が注目しているし、それによって世界情勢が変化することも多いです。
こういう感じなので、日本語のサイトよりも英語圏のサイトのほうが、結果的には世界の状況について正しい情報を得られる確度が高くなると思います。
あえて「偏ったメディア」もチェックする理由
というようなことを踏まえたうえで、僕はあえて「右向き」といわれる人たちのツイッターなどを意図的にフォローしていたりもします。
それは正しい情報を得ようとしているわけではなくて、たとえば自民党のネット部隊が運営しているのではないかと目されているアカウントが、果たしてどんな情報を上げていて、どういう層がそれを見ているのか、どんなリアクションをしているのか、というようなことを情報として拾っておくためです。
ほかの例も挙げておきます。
2020年の米大統領選のときに、僕は「コロナウイルスへの感染対策を勝因として、バイデンさんが勝つんじゃないか」という予測を立てていたのですが、その際によく見ていたのが米FOXニュースでした。
なぜFOXなのかというと、ほかの多くの米メディアはわりと賢い人が運営していて、民主党候補のバイデンさん推しの人も多く、結果としてバイデンさん推しの報道をしがちだったからです。
「トランプ推し」の報道で見えてきた事実
とくに、CNNなど民主党寄りのメディアの報道は、「こうなってほしい」という「中の人」たちの願望が反映されていて、それがアメリカの真実に合っていないところもあった。それで、4年前の選挙では大半のメディアの予想をひっくり返して、トランプさんが勝ったわけです。
でも、FOXニュースは「ガチ」で共和党のトランプ推しです。なのでバイデンさん側のメディアの報道は話半分に聞いておいて、FOXがどういうことを報じているかを押さえておいたほうがいいなと思っていました。
20年の選挙では、FOXニュースでさえも「トランプ大統領はこんなことを言っているけど、この発言のこの部分はガセ。間違いですよ」と報じていたのを見て、「あ、FOXニュースでもここまで言うということは、さすがにアメリカの人たちもトランプのウソは見抜いているんだな」ということが見えてきました。
「自分が何を知りたいか」ということに合わせて、あえて反対の方向から情報を拾う。正しい情報を得るためには、こういったテクニックもわりと大切なんだと思います。
真面目な人ほど陰謀論にハマりやすい
逆に、「自分が信じたい情報だけを一生懸命に集める」というようなことをしていると、陰謀論にハマる人たちみたいになってしまいます。
トランプさん支持者のなかにも、陰謀論にハマっている人たちがたくさんいました。日本でも、作家の百田尚樹さんやそのお友達の有本香さんなど、「米大統領選では本当はトランプが勝っていたんだ」というようなことを、選挙が終わったあともずっと言い続けている人たちがいました。
そういう人たちというのは、実はけっこう真面目なタイプが多いのです。
「世の中はこうあるべきだ」と考えて自分の理想を追求しようとする。結果、そのために都合のいい情報を一生懸命集めてしまったりするわけです。
真面目ではない人は、よくわからないものは「よくわからん」と言って、よくわからないままにしておきます。
でも、陰謀論にハマる人は「思った以上に世界は悪くなっている」「ディープ・ステートという金持ち連合の組織が世界を悪くしているから、それを退治すれば世界はよくなるんだ」というようなわかりやすいストーリーを組み立てて、「世界をよくするためにどうすればいいか?」と考え、情報を集める。
日本でも、悪いことはなんでもかんでも安倍晋三元首相のせいにする人たちがいました。「安倍さんさえ辞めさせることができたら、日本はよくなるのに……」というように、スケープゴート的に単一の原因を求めてしまう。
「いい子」ほど陥りやすい情報の罠
当たり前ですが「特定の悪い人が世界を悪くしている」などというのは、時代劇とかゲームの世界での考え方で、現実の社会はそんなシンプルな構造では成り立っていません。でも、複雑な物事を複雑なまま理解することができないので、なんでも簡略化してとらえようとしてしまう。
「いい子」であればあるほど、こういう陰謀論にダマされやすかったりします。
世の中をもっとよくしたいというモチベーションがあるので、一種の使命感のようなものに突き動かされて調べものに没頭し、自分が信じたいと思う理論にはまる「証拠」を必死になってかき集めてしまうのです。
2020年の米国大統領選では「バイデン陣営による不正投票があった」なんていう主張とともに、トランプ陣営が裁判を起こしたりもしましたが、証拠がなくてすべて却下されました。それでも「いや、本当は不正があったんだ」と信じ続けてしまう人たちがいます。
僕が最近上梓した『無敵の独学術』(宝島社)では、このような「アタマの悪い人の残念な特徴」のほか、「絶対にマネしたほうがおトクな、優秀な人の思考パターン」などを紹介しています。
そもそも、クズな人は「世の中をよくしよう」なんて思っていませんから、陰謀論にもハマりにくいです。
世の中は、単一の原因だけで悪くなるほど単純ではない。なので、複雑な物事は複雑なまま理解していくしかないのです。
[2ちゃんねる創設者 ひろゆき]