昨年から世界1位に君臨! 強さと色香が同居する男
実力、実績、ポテンシャル。今や、どれをとっても頭ひとつ以上抜きん出ている、バリバリの世界トッププレーヤー。日本が誇るバドミントン王子、それが桃田賢斗選手だ。
桃田賢斗さん
バドミントン選手
(ももた けんと)1994年、香川県生まれ。三豊市立吉津小学校1年生のとき、姉の影響でバドミントンを始める。小学校時代は野球もやりながら、6年生で全国小学生選手権優勝。中学からは県の方針としてバドミントンを強化していた、福島県富岡町に親元を離れてスポーツ留学。富岡高校時代に日本人として初となる世界ジュニア選手権優勝を果たし、高校卒業後に社会人のNTT東日本に入社。身長175cm、体重68kg。左利き。血液型はA。趣味はdTVでドラマを観ること。
強烈なスマッシュで相手をコート後方に押し込んだかと思えば、意表を突くネット前の攻撃で敵を翻弄する。武器はネットすれすれに羽をかすめて、ポトリと落とすテクニカルショット。「ヘアピン」と呼ばれるこの技術を勝負どころで駆使して、相手を揺さぶるのが桃田選手流だ。
だが、魅力はそれだけではない。そこはかとなく男性の色香が漂っているのが彼の特徴だ。最近は東南アジアなど世界中で人気が急上昇中。
とりわけバドミントンが盛んなインドネシアでは、桃田選手が試合中にコートサイドでシャツを着替えるだけで興奮度はマックス。冗談抜きに、「キャー!」という歓声で耳が痛くなるほどなのである。
一方で、「しくじり経験者」として知る人ぞ知る存在でもある。飛ぶ鳥を落とす勢いで世界2位まで上がっていた’16年4月。リオデジャネイロ五輪開幕の4か月前というタイミングで、違法カジノに出入りしていたことが発覚。日本バドミントン協会から無期限の試合出場停止処分を受け、リオ五輪は不出場だった。
しかし、そこで己のバドミントン愛に気づいた桃田選手は十分に反省し、身も心もすっかり入れ替えた。処分が明けた’17年5月以降は、カジノ事件前の金髪やアクセサリーの重ねづけはもう辞めて、今では試合会場でスリッパを並べ、ゴミを拾うなど、功徳を積む毎日を送っている。
現在は’18年9月から就いている、世界ランキング1位の座を1年以上キープ中。この飛び抜けた強さに対し、オリンピックのメダル予想で有名な米国のデータ分析専門会社「グレースノート」はこのほど、東京五輪のバドミントン男子シングルスの金メダル候補ナンバーワンとして桃田選手を取り上げた。
名前の由来は『スーパーマン』の主人公クラーク・ケントだという。両親が「世界でいちばん強い人になるように」と名付けてくれたとおり、競技力も人間力も向上させながら東京五輪へ突き進んでいる。
矢内 由美子さん
スポーツライター
(やない ゆみこ)取材歴25年のスポーツライター。オリンピック種目などをカバー。日本スポーツプレス協会会員。「サッカー取材で2年ぶりの上海。街も空気もさらにきれいになり、中国はどんどん変貌中!」
※本記事は2019年10月7日時点での情報です。