今回は西村知美さんが、骨盤底筋を鍛えることが大切な理由について婦人科医の松峯先生にお話を伺っていきます。
1.尿もれのカギはここが握っている「骨盤底筋」
尿道、腟、肛門。この周辺の筋肉が緩むと、3つの穴も緩む
西村 ところでなぜ、骨盤底筋を鍛えることが大切なのでしょうか?
松峯 女性の体には3つの穴が開いています。尿道の穴、腟の穴、肛門。この3つの穴は縦一列に並んでいて、似たような筋肉で守られているんですね。だからこの周辺の筋肉が緩むと3つとも全部緩む。尿道が緩めば尿失禁になりますし、腟が緩めば子宮脱になります。ただ肛門だけは二重、三重の筋肉に囲まれた収縮しやすい構造のため、便失禁する人はあまりいません。なので残りの弱いふたつの穴を集中的に強化したいわけです。アワエイジ世代から始めても十分間に合いますよ。
西村 食事はどうでしょう?
松峯 やはりお肉ですね。赤身肉や鶏肉。体の中で筋肉を組成する際に最も重要なのはタンパク質なので、一日一度は食べたいところです。
西村 あと私は、トイレに行きたくなるのがイヤで、極力水分をとらないようにしています。家にいるときなど、5分おきに行きたくなるものの、行っても少ししか出ないんですよね…。
松峯 水分はちゃんととるべきです。細胞が乾燥すると臓器が痩せてしまい、ますます尿道の筋肉が緩くなる。そうすると下から菌が入りやすくなり、膀胱炎を招いてしまいます。
西村 私、膀胱炎の経験もあります。
松峯 特に膀胱炎の初期は、水かお茶を一日1.5ℓ飲み、おしっこで膀胱の中を洗い流すことが大切。あとは我慢する訓練も必要です。そうすることで、徐々に膀胱が大きくなってきますから。家事などで気を散らしながら、3時間は我慢したいところです。
西村 さっそく今日から始めます!
西村知美さん
Tomomi Nishimura
1970年生まれ。’85年に第1回ミス・モモコグランプリで優勝。’86年の映画『ドン松五郎の生活』で主演デビュー。’97年に西尾拓美さんと結婚、2003年に長女が誕生した。現在はバラエティ番組を中心に、幅広い分野で活躍中
松峯寿美さん
Hisami Matsumine
1970年、東京女子医科大学卒業。医学博士(婦人科)。特に不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぐ。’80年に東峯婦人クリニックを開業、院長に就任。女性専門外来の先駆けとなる。著書に『50歳からの婦人科 こころとからだのセルフケア』(高橋書店)などがある
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西村知美さんのコラムです。
「私もです!」と、同世代の女性から反響をいただいて
芸能界に入ってから、緊張したり、薄着で体を冷やす機会が増えたせいか、トイレに頻繁に行くように。特にロケの際などは「行けるときに行かないと!」という強迫観念めいた思いもあり、余計に行きたくなって困っていました。
にもかかわらず、身近に頻尿や尿もれに関する情報がなく、助言を求めてカミングアウトしたところ、大きな反響をいただいて。同年代の女性からの「私もです」という声も多く、「自分だけじゃなかった。デリケートな問題だけれど思いきって口にしてよかった」と、しみじみ思いました。
今回、松峯先生にお会いして、きちんと対処すればアラフィフ世代でも尿トラブルを改善できることがわかりました。私には今のところ更年期症状はありませんが、生理の日数も5日間から2日間程度へと短くなってきています。体が変わっていくこの時期、先生のアドバイスを参考に、しっかりと自身の体調と向き合っていきたいと思います。
次回は、松峯先生直伝!骨盤底筋トレーニングをご紹介します。
撮影/織田桂子 ヘア&メイク/営野 充(STUDIO KUMU)〈西村さん〉 スタイリスト/三上しろえ〈西村さん〉 イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子