痛みや変形など、OurAge世代に増える足のトラブル、それらの根本的な原因のほとんどは「足の骨格構造が崩れているためです」ときっぱり言うのは足専門のドクター、桑原靖先生。いったいどういうことなのでしょうか?
先生にくわしくうかがいました。
その前に「足の仕組み」をご覧いただきましょう。
【足の仕組み】
もともと構造が崩れやすい!
多数の骨が組み合わされた足。たわんで衝撃を吸収できるよう、あえて中心軸がずれた不安定な構造になっています。この複雑な構造ゆえに、足はもともと歪みやすいのです。
足の歪みの原因を理解して トラブルの進行を食い止めたい!
患者の8割が女性で、しかも40 代、50 代が多いという足専門外来「足のクリニック表参道」。院長の桑原靖先生は言います。
「ヒトの体は200以上の骨でできていますが、その4分の1が足首から下の部分に集中しています。実にパーツが多い。ということは構造も複雑で不安定になりやすい。しかも女性は靱帯や腱が柔らかい傾向にあるので、トラブルを抱えやすいのです。
ハイヒールなど、足に負担のかかる靴を履く時間が長い人はなおさらです。『ハイヒールを履いているほうが、ぺたんこ靴より楽』という人がいますが、それは全然いいことではありません。裸足で立つと扁平足であることが多いですね。
多くの悩みは足を形作っているアーチの崩れが発端です。アーチが落ちることによって、土踏まずのない扁平足に近づく。扁平足は病気じゃないと思っている人もいますが、人間は誰でも生まれたときは扁平足で、大人になるにつれ土踏まずができるのが正常。
アーチが崩れる(次回参照)ことはさまざまなトラブルにつながります」
足首から下には、予想以上に大きな負荷がかかっていて、歩行時は片足に 体重の1.5倍、走ったときに受ける荷重は体重の3倍といわれます。
足のアーチ構造は、それらの衝撃をやわらげる役目。アーチが崩れて扁平足になれば、足は強烈な衝撃にさらされることに。痛みが出るのも当然です。さらには膝、股関節、腰にまで負担が及ぶことは想像に難くないでしょう。
「日本は足に関する専門医学が遅れています。アメリカではポダイアトリー(足病学)という学問やポダイアトリスト(足病医)という国家資格もある。目が悪くなれば眼科、歯が痛いから歯科、と同じように足のトラブルに 対しては『足科』があるのが普通です。 日本も早くそうなって、大きなトラブルが起こる前に予防できる知識がもっと広まればいいなと思っています」
足のトラブル・ランキング
「足のクリニック 表参道」2013年4月~2016年9月の患者総数14,100名の疾病、上位ランキング。
女性の外反母趾、男性の足底腱膜炎が特徴的です。5位以下の疾病はわずか数%ずつで多岐にわたります。
足のクリニック 表参道
東京都港区南青山5-6-24 南青山ステラハウス3F ☎03-6434-1082
診療内容:足の一般外来(保険適用あり/足の検診メニューあり)
診療時間:月~土曜/10:00~13:30、15:00~19:00
日曜/一部診療 休診日:祝日
次回は、「アーチの崩れ」についてさらにくわしいお話をうかがいます。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子