普段、なにげなく遊んでいるトランプだが、「どうしてジョーカーを含めて54枚という枚数なのか?」と疑問を抱いたことはないだろうか。今回は、トランプのマークに隠された意味など、トランプにまつわる「知れば誰かに話したくなるような知識」を歴史的背景も含めながらご紹介する。
1. トランプの枚数が54枚である理由
トランプの起源は、インドのタロットとする説や中国の数札とする説などがあるが、いずれにしても、アジアが起源であるようだ。諸説あるものの、トランプは暦と深い関係があるといわれている。では、トランプと暦との関係について見ていこう。
トランプではスペード、ハート、クラブ、ダイヤのマークのことを「スート」と呼ぶ。このスートは四季を表しており、クラブは春、ダイヤは夏、ハートは秋、スペードは冬を意味している。なお、黒色のスート(クラブとスペード)は太陽が沈んでいる「夜」を、赤色のスート(ダイヤとハート)は太陽が出ている「昼」を意味している。
スートごとに13枚の札があるが、1枚が1週間を司っている。たとえばクラブの1(エース)は春の第1週を、ダイヤの13(キング)は夏の第13週を表すという具合だ。季節(スート)ごとに13週あるので、4つのスートの合計は52週となる。これは1年間の週数と同じである。
ただし、1週間を7日間とした場合の52週では、7日×52週=364日にしかならず、1年=365日に1日足りなくなる。
ここで登場するのがジョーカーである。ジョーカーが1日を補うことで365日となるというわけだ。さらに、ジョーカーは1組のトランプに2枚入っている。1枚は「ジョーカー」、もう1枚は「エキストラ・ジョーカー」と呼ばれるのだが、このエキストラ・ジョーカーによって閏年を表すことができるのだ。
2. トランプの絵柄の意味
トランプが現在の形に近づいたのは14世紀後半であるといわれており、トランプの絵柄には中世後期のヨーロッパ文化が反映されている。
スートは季節と昼夜を表すとご説明したが、実はそれだけしか意味を持っていないわけではない。14世紀後半のヨーロッパの状況を反映した職業や道具も表しているのだ。また、スートにそれぞれを象徴する意味を持たせており、それぞれのスートは火・地・水・風といった四元素も表現している。
下記にそのマークが表す意味を挙げよう。
クラブ
夜、春、農民、棍棒、知、火
ダイヤ
昼、夏、商人、お金、富、地
ハート
昼、秋、聖職者、聖杯、愛、水
スペード
夜、冬、騎士、剣、死、風このように、1枚のカードがさまざまな意味を持っていることが、世界中でトランプゲームが数多く発案され、多くの人に親しまれるようになった理由の1つであるといえるだろう。
3. 海外のトランプいろいろ
トランプ1組を「デッキ」と呼ぶ。1デッキの枚数は日本では52枚だが、実は国や地域によって異なっていることをご存知だろうか。また、絵札やスートにも違いが見られる。いろいろな国のトランプの特徴を挙げてみよう。
イタリア
イタリアのトランプは1デッキが40枚で構成されているのが普通だ。また、地域によってはスートがコイン、剣、カップ、棒となっていて、1~7までの数字と女性、馬、王様の絵札という組み合わせになっているものもある。
スペイン
スペインのトランプ「ナイペス」は48枚1デッキのものと、40枚1デッキの2種類がある。スートは貨幣・聖杯・剣・棍棒で、48枚デッキは1~12まで、40枚デッキは48枚デッキから8と9を抜いたものである。
スイス
スイスの「ヤス」は2~5までの数札を抜いた36枚1デッキだ。ヤスというゲーム用のトランプで、スートは鈴・盾・花・どんぐりとなっている。
結論
普段なにげなく使っているトランプだが、その歴史や暦との関係性、絵柄の意味などがわかるとトランプゲームもより楽しくなる。子供と遊ぶときはもちろん、大人とプレイするときも、このような知識をさりげなく話せば「教養深い人」と好印象を抱いてもらえるだろう。今回ご紹介した知識が、世界中で親しまれているトランプへの理解を深めるきっかけになれば幸いだ。