国によって、文化やマナーはさまざま。なかでも生きるうえで欠かせない食事に関するマナーの違いは、興味深い。今回は、エジプトの食事におけるマナーについてリサーチ。エジプトという国柄を学びつつ、食事におけるマナーの特徴、そして日本との違いについても触れていこう。
1. エジプトとは
エジプトはアフリカ大陸の北東にある国。砂漠というイメージ通り、国土のほとんどが砂漠地帯。雨はほぼ降らず、カンカン照りの日が続く、なかなか厳しい環境だ。その環境を救うのが、国の南北に流れるナイル川だ。この川のおかげで農作物が育つといっても過言ではない。面積はおよそ、日本の2.6倍。国民のほとんどがイスラム教を信仰している。
ピラミッドと歴史
エジプトといえば砂漠と並んで、思い浮かぶのがピラミッド。ピラミッドは、国王や王族の墓であり、古王国第3〜6王朝時代におもに建設された。遺跡からは、食文化も多く見てとれる。エジプトは紀元前から20世紀に至るまで長いこと、ペルシア帝国やローマ帝国、イスラム帝国、オスマントルコ帝国、そしてイギリスなど、さまざまな国への従属を強いられてきた。エジプト王国として独立したのは、1922年。その後も紆余曲折あり、いまに至るが、現在ではアラブ諸国のリーダーとしての立ち位置を確固たるものにしている。
2. エジプトの食事
古代から続く食文化
古代エジプト時代から続く食文化も多く残されている。たとえば、エジプト名産として知られるモロヘイヤなどは、当時から食べられていたといわれている。玉ねぎやニンニク、豆類は、いまでも広く使われている。またクミンなどのスパイスも欠かせない存在だ。平べったいピタパンのようなパンを主食に、鶏肉や羊肉、野菜をたっぷりと使った料理が名物だ。
異国の文化
上に述べたようにエジプトは長らく、他帝国や国の侵略や干渉を受けてきた歴史がある。そのなかで、外国の文化を受け入れることも非常に多かった。そのため、エジプト料理は非常にエキゾチック。さまざまな要素が混じり合ってできあがった側面があるのだ。
イスラム教と食事
エジプトは、イスラム教徒が大多数。年に一度、断食することでも知られている。これがラマダーンだ。この時期は、日の出から日没までの食事が禁止されるが日が沈むとイフタールと呼ばれる食事を家族や仲間と楽しむ。
3. エジプトの食事とマナー
右手?左手?
エジプト人は基本的に、手を使って食事をする。右手の指先を使って食べるのが基本で、左手は使ってはならない。左手は不浄物の処理に用いるものであるという考え方があるからだ。これは、エジプトに限らず、インドなど、イスラム教圏内では基本ともいえよう。また飲酒がNGという人も非常に多い。
食事を残す
エジプトでは食事を食べきることはマナー違反。食事が足りないという意思表示につながるというのだ。少し残すことで、満足を表す。中国にも同じような文化があることから、大陸の影響があるとも考えられる。日本では、完食に美学があると考えがち。これは異なる文化といえよう。
熱い料理に息をかける
熱々のラーメンなどを前にするとどうしても日本人ならば「ふーふー」と息をかけて、冷ますような仕草を見せる。しかしエジプトではこれはNG。これは西洋でもマナー違反とされる作法。品位を落とすとか、衛生的によくないとかいくつかの理由があるようだが、嫌がられることが多いそうだ。
結論
エジプトは、さまざまな国の文化が入り混じった国。食事にもその特徴が色濃く反映されている。イスラム教徒が多いので左手を使うのはご法度。それ以外にも日本とは異なる食事のマナーが存在する。これを機にエジプトだけでなく、さまざまな国の食事マナーを調べてみるのも面白いかもしれない。