甘くてジューシー、つぶつぶとした食感が魅力のとうもろこし。子どもも大人も好きな食べ物のひとつといえるだろう。日本では茹でたり焼いたりして副菜として食べることが多いが、他国では主食にもなっている。甘くて美味しい、そして主食となるくらいなので、カロリーが高いのではないだろうかと気になる人もいるだろう。ここではとうもろこしの栄養について解説していくので、参考にしてみてほしい。
1. 夏バテにおすすめ!とうもろこしの栄養素と効果効能
まずはとうもろこしについての基礎知識を紹介していこう。とうもろこしは世界的には穀物に分類される。米と小麦と並んで、世界三大穀物のひとつとなっている。しかし、日本で食べられているとうもろこしは未熟なスイートコーンで、穀物ではなく野菜に分類されているのだ。
とうもろこしの栄養成分表
ここからは野菜に分類されているとうもろこしの主な栄養を見ていこう。【とうもろこしの可食部100g中の栄養】(※1)
- エネルギー 89kcal
- 食物繊維 3.0g
- カリウム 290mg
- ビタミンB1 0.15mg
- ビタミンB2 0.10mg
- 炭水化物 16.8g
- マグネシウム 37mg
- カルシウム 3mg
- ビタミンE 0.3mg
食物繊維
とうもろこしは食物繊維を多く含む。食物繊維は、便通を整え便秘を防ぐのに欠かせない栄養素だ。また、脂質や糖、ナトリウムなどを体外に排出する役割もある。(※2)食物繊維が多いと知られるさつまいもの可食部100gあたり2.2g。(※3)比較してみると、じつはとうもろこしの方が食物繊維が多いのだ。
カリウム
体内の浸透圧を調整するカリウム。塩分の摂り過ぎを調整してくれている。(※4)カリウムを比較的多く含むといわれるキャベツは可食部100gあたり200mgのカリウムを含有している。(※5)とうもろこしのカリウムの含有量は290mgとなっており、野菜の中では多い方なのだ。
ビタミンB1
とうもろこしはビタミンB1も多い。ビタミンB1は糖質の代謝に必要な栄養素で、不足すると糖質をうまくエネルギーに変えることができないのだ。(※6)ビタミンが豊富といわれるほうれん草が可食部100gあたり0.11mg(※7)なので、とうもろこしの方が多いといえる。
ビタミンB2
前述のビタミンB1と同様、ビタミンB2も多いとされるとうもろこし。ビタミンB2は、皮膚や粘膜を健康に保つ役割がある。肌荒れや口内炎が気になるときに摂りたい栄養素だ。(※8)ちなみに、ビタミンが多いというイメージのあるにんじんには可食部100gあたり0.06mgしか含まれていない。(※9)
炭水化物
体内で吸収されるとエネルギーに変わる炭水化物。身体を動かすための大切な栄養素だ。(※10)炭水化物の多いじゃがいもは可食部100gあたり17.3gの炭水化物が含まれているのに対し、とうもろこしは16.8g。(※11)とうもろこしも炭水化物の多い野菜といえるだろう。
とうもろこしのそのほかの栄養価
とうもろしは身体の調子を整えるミネラルも多い野菜だ。身体の調子を整えるミネラルとは酸素、炭素、水素、窒素の4元素以外のものの総称で、前述したカリウムやマグネシウム、カルシウムなどが含まれる。(※12)中でもとうもろこしのマグネシウムは、にんじんやキャベツなどと比べると2倍以上含まれている。(※5、9)また、前述したようにとうもろこしはビタミンB1、B2が多いだけでなく、抗酸化作用が強いビタミンEも含まれており、重要な栄養素が揃っているのだ。
とうもろこしのカロリーや糖質
甘みの強い食品となると気になるのがカロリーや糖質だろう。前述したように、とうもろこしは野菜にしてはカロリーが高めだ。糖質も13.8gと高めである。(※1)おかずやおやつとしてはカロリーも糖質も高めなので食べ過ぎには注意したい。
2. 捨てないで!とうもろこしの芯やひげの栄養
とうもろこしは黄色い粒を食べるという人がほとんどだろう。そのため、とうもろこしにひげがついていても捨ててしまっている人も多いはず。じつはとうもろこしは実だけでなく、ひげや芯にも栄養が詰まっているのだ。
とうもろこしのひげの栄養
とうもろこしの皮を取ると柔らかいひげがついているのを見たことがあるだろう。このひげはとうもろこしのめしべで、粒の数とひげの数は同じだといわれる。ひげには食物繊維やカリウム、ポリフェノールなどの栄養が含まれている。とうもろこしのひげは、むくみや便秘を解消する効果が期待できるのだ。(※2、4)ひげは、とうもろこしの粒と一緒にバター炒めにして食べたり、天日干しして乾煎りをしたものにお湯を注いでひげ茶として飲んだりできる。
とうもろこしの芯の栄養
黄色い粒の部分を食べてしまうと、実がついていた芯も捨ててしまいがちだろう。じつはこの芯にも栄養が詰まっているのだ。ミネラルやビタミンB群などが含まれていて、中でも食物繊維が豊富だ。芯の部分はそのまま食べることができないが、炊き込みごはんやスープの出汁として使うといいだろう。
3. 生とうもろこしと缶詰の栄養の違い
とうもろこしの旬である夏にはスーパーなどで皮やひげがついたままのとうもろこしが売られているが、旬以外の季節だと缶詰など加工されたものしかないことが多い。とうもろこしの缶詰は皮やひげ、芯が取り除かれて粒だけが入っている。前述したようにひげや芯にも栄養があるので、生とうもろこしの方が栄養はあるといえるだろう。さらに缶詰のとうもろこしの粒は加熱されており、汁と一緒に缶詰にされている。とうもろこしの栄養は水溶性のものが多いので、汁に栄養が流れ出てしまっているのだ。缶詰を使うときには汁も使うと摂れる栄養素が増えるだろう。
4. とうもろこしの栄養を逃がさない料理のコツ
とうもろこしを食べるときは茹でるという人も多いのではないだろうか。とうもろこしは栄養豊富だが、水溶性の栄養も多いのだ。たっぷりのお湯で茹でてしまうと栄養が溶け出てしまうということになる。美味しく、そして栄養をしっかり摂るためにはレンジで加熱したり、蒸したりするのがおすすめだ。レンジで加熱するときには、ひげを取り除いて数枚皮がついたままラップで包み、レンジに入れて500Wで6分、もしくは600Wで5分程度温めよう。この方法だととうもろこしの甘みを強くすることもできるのだ。
5. とうもろこしがダイエットに向いている?
前述したように、とうもろこしは栄養価が高いが、カロリーや糖質も高い野菜である。カロリーと糖質が高いと、ダイエットには不向きだろうと思う人も多いはず。とはいえ、ごはんやパンと比べるとカロリーも糖質も少なめだ。さらにとうもろこしはGI値もこの2つより低い。GI値とは、食後に血糖値がどのくらいの速度で上がるかを数値化したもので、100に近いほど速い。ごはんは84、パンは90以上となっているのに対し、とうもろこしは70と少し低めだ。(※14)GI値が高ければ、糖を脂肪に変えて貯め込もうとするので、ダイエットを考えるなら少しでもGI値は低い方がいい。そして、とうもろこしの栄養素には炭水化物も多いので、満腹感も得られやすいのだ。食物繊維も多いため便通も整いやすいなど、ダイエット中にはうれしい効果も多い。栄養もあり、GI値も少し低いので、小腹がすいたときにおすすめ。ただし、カロリーや糖質が高いので、食べ過ぎ注意だ。
6. とうもろこしの栄養は身体に悪い?
栄養豊富なとうもろこしだが、食べ過ぎてしまうのはよくない。前述したとおり、とうもろこしは食物繊維が多い。便秘解消に効果があるが、消化するのに時間がかかるので、大量に食べると消化不良を起こしてしまうおそれがある。胃腸の弱い人や子ども、高齢者は食べ過ぎないよう、1日1本までにしよう。また、妊娠中は便秘になりやすいので、妊婦にも食べてほしい野菜である。栄養豊富とはいえカロリーが高いので、食べる量には注意が必要だ。とうもろこしの栄養を効率よく、健康的に摂取しよう。
結論
夏が旬の甘くて美味しいとうもろこし。炭水化物や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養が豊富なので、身体にうれしい効果がたくさんある野菜だ。栄養豊富で、簡単な調理で美味しく食べることができるので、旬の時期にはしっかり味わってほしいものだ。しかし、美味しくても食べ過ぎは禁物。適量を美味しく食べて、健康的な生活につなげてほしい。(参考文献)※1運営元:文部科学省該当ページ名:野菜類/(とうもろこし類)/スイートコーン/未熟種子/生- 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06175_7※2運営元:厚生労働省該当ページ名:食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html※3運営元:文部科学省該当ページ名:いも及びでん粉類/<いも類>/(さつまいも類)/さつまいも/塊根/皮なし/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02006_7※4運営元:厚生労働省該当ページ名:カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html※5運営元:文部科学省該当ページ名:野菜類/(キャベツ類)/キャベツ/結球葉/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06061_7※6運営元:すみれ病院該当ページ名:ビタミンB1で夏バテにさようなら | すみれ病院https://sumire-hosp.com/diabetic_care_cuisine/detail/122/※7運営元:文部科学省該当ページ名:野菜類/ほうれんそう/葉/通年平均/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06267_7※8運営元:土谷総合病院該当ページ名:ビタミン剤|くすりの窓|診療科・各部門|土谷総合病院(広島市中区)http://www.tsuchiya-hp.jp/tsuchiya/department/bumon/pharmaceutical/folder173/kusuri-no-mado-201803.html※9運営元:文部科学省該当ページ名:野菜類/(にんじん類)/にんじん/根/皮つき/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06212_7※10運営元:公益財団法人長寿科学振興財団該当ページ名:三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html※11運営元:文部科学省該当ページ名:いも及びでん粉類/<いも類>/じゃがいも/塊茎/皮なし/生 - 一般成分-無機質-ビタミン類-アミノ酸-脂肪酸-炭水化物-有機酸等https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=2_02017_7※12運営元:厚生労働省該当ページ名:ミネラル | e-ヘルスネット(厚生労働省)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html※13運営元:公益財団法人長寿科学振興財団該当ページ名:ビタミンEの働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネットhttps://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-e.html※14運営元:医療法人社団わかと会 リバーシティクリニック東京該当ページ名低GI値の食品がおススメ | 抗糖化コラム | リバーシティクリニック東京 東京都中央区佃・月島https://rivercity-clinic.jp/imc/anti-glycation/column_18/