日本は言わずと知れた米文化だ。その上、うどん・そば等の麺類、パンも数多く、主食には事欠かない。しかし世界を見渡すと主食事情は実に様々だ。「主食」という概念はアジア、特に日本独特の物で、中には主食が無い国も存在するのである。
1. 主食とは何か
そもそも主食とは人が日常的に3食の基本とする中心的な食料で、
主に炭水化物である穀類・芋類が代表である。
世界三大穀物とその他
主食には安定した収穫量が必要だ。人口比率でみると米を主食にしている人が圧倒的に多く、世界の約半分の人口が米を主食としている。その次が小麦、そしてトウモロコシが続き、これらは世界三大穀物と言われている。ジャガイモや大豆は三大穀物からは外れてしまうが大事な主食だ。主要穀物の生産量はアメリカと中国でほぼ占められ、アメリカは輸出も盛んである。
主食が無い国
米は日本を含むアジア圏で多いため、「米=おかずを食べるための主食」という概念がある。しかし、例えばヨーロッパでは小麦=パンを食べるために肉や野菜を食べる、わけではない。パンは決して食事の主役ではないのだ。ヨーロッパの人々は主食、副食という概念なく何でも食べており、肉が主食と言えないこともない文化背景がある。アメリカも人種が多種多様であることから定まった主食は無い。
2. 日本で米が主食になった理由
中南米では芋類、北アフリカではヤシ類も主食になっている。日本では約3000年前から稲作が行われており、米が主食になったのは気候や米の性質が日本に適合していたおかげだ。
偉大なる主食、米
日本は地理的に寒暖差と四季があり、米の収穫量を保つことが出来た。米は安定した収穫と同時に長期保存も可能だ。炭水化物が多くエネルギー源として大変優れており、1日700gの摂取で生命維持が可能なのである。
腹いっぱい食べられるか否か
主食である米が発達した分、おかずは米を食べるための存在でOKだった日本やアジア諸国。これに対してヨーロッパでは小麦だけで腹いっぱいにするより、肉類で補った方が効率よく食事出来た。偶然米作に適していた日本だが、主食があるのはとてもありがたいことだったのだ。
3. 世界の主食と調理法
日本以外の地域では主食はどのように調理されているのだろうか。同じ穀物でも調理法が全く違う地域もある。具体例をご紹介しよう。
アジアの主食
日本でもおなじみの米を炊いた「飯」が主役だ。小麦はバリエーション豊かで、団子状にして蒸したマントウ、細く伸ばして茹でる麺、平たく伸ばして焼いたナン、発酵無しで薄く伸ばして焼いたチャパティ・ロティ等がある。
ヨーロッパの主食
もちろん小麦がメインで、発酵させて焼いたパン、水を加えて茹でるパスタ、麦を粥状に煮た麦粥等がある。
中南米の主食
トウモロコシを粉にし、平らにして焼いたトルティーヤ、そのまま煮たトウモロコシ粥、炒った炒りトウモロコシがあり、そのまま
煮炊きする場合もある。芋類は蒸したり焼いたりして食べる。
アフリカの主食
日本のそばがきに似たフウフウが食べられている。ヤム芋などを煮てから練り上げた物だ。雑穀を粉にしてお湯を注ぎ、ペースト状に練ったトーやウガリも貴重な主食だ。
太平洋地方の主食
芋が主食の地域で、地面に穴を掘り焼いた石を乗せて蒸し焼きする石蒸しが主食だ。毒抜きと発酵をした芋、パンノキの実を練って
団子状にしたポイも食べられている。
結論
日本のように主食を腹いっぱい食べられることは実は大変恵まれたことなのだ。同じ米を主食にしていても食べ方が様々なのは興味深い。昔は日本でも芋類やカボチャが主食だったり、米を水で割り増しした粥やすいとんが主食だった時代もある。米が主食として存在することと、米や麺・パンを自由に選べることに感謝しよう。