かつては中華料理店で食べるものであったザーサイは、近年はすっかり日本の食卓にも浸透した。漬け物とは異なる風味とほどよい塩気は、ザーサイとして食べるだけではなくさまざまな料理にも使用されている。ザーサイってなに?と思っている人も多いはず。普段は深く考えないザーサイの原料からアレンジ方法まで、本記事ではザーサイについて詳細を紹介する。
1. ザーサイとは何か知ってる?
ザーサイとはそもそも、どのような食材から作られるのだろうか。購入時の形状からは、ザーサイの原材料はなかなか想像がつかない。まずはザーサイの原料や製造過程について簡単に見ていこう。
ザーサイの原料は大芥菜
本来のザーサイとは、主に中国四川省で作られるカラシナという野菜の一種であり、一般的にはその漬け物が知られている。カラシナはアブラナ科に属し、「大心菜」と表記されることもある。生の状態では大きな葉をもつのが特徴のカラシナは、四川や揚子江の近辺、また台湾で栽培されてきた歴史がある。
漬物のザーサイとは
我々がイメージするザーサイは、漬け物となっているのが大半である。本国中国でも、ザーサイは香味として愛されてきた。漬物のザーサイは、八角やフェンネル、唐辛子とともに漬け込まれる。白飯とマッチする味わいは、中国では粥とともに楽しむことも多い。
2. おつまみにも大活躍!ザーサイの美味しいアレンジ
ほどよい塩気とスパイシー感が魅力のザーサイ。ごはんがすすむだけではなく、おつまみとしても最適である。ザーサイの味わいを生かしたアレンジ料理も多い。いずれも気軽に自宅でできるレシピである。献立をたてる際の参考にしてほしい。
ザーサイの炒飯
ザーサイを具材のひとつとして炒飯に入れると、ほどよい塩気や酸味がアクセントとなる。白飯のほかに、レタスや卵、ネギなどを入れ、ごま油の風味であっさりとした炒飯にすれば大人味の一品となるのである。
ザーサイのスープ
ザーサイは汁ものにも活用可能である。細かく切ってスープに入れれば、塩気が味付けの役割も果たしてくれる。ザーサイのほかに、卵や豆腐、ねぎを加えて中華風のスープの素で仕上げていく。胡椒や生姜でアクセントをつけても粋なスープとなる。
ザーサイ豆腐
夏の食卓に欠かせない冷奴にもザーサイを合わせてみよう。木綿豆腐の上に、ネギだけではなくザーサイを細かく切ってのせ、醤油とごま油で食べる。地味な冷奴も、食卓の主役となりうる存在感を放つようになる。
ザーサイときゅうりの和え物
きゅうりのシャキシャキ感とザーサイの食味も、よくマッチする組み合わせである。旬のきゅうりのみずみずしさをザーサイに合わせれば、その香味で清涼感あふれる一品になる。炒りごまやごま油で香りをつければ、サラダ感覚でいくらでも食べることができる。
ザーサイ炒め
炒めものをする際に、ザーサイを加えてメリハリをつけるのもいける。豚肉、卵、キャベツ、きのこ類など、冷蔵庫に常備している野菜で気軽に作ることができる。味付けも、市販のスープの素や塩こしょうで問題ない。料理初心者にもおすすめのレシピである。
3. ザーサイの漬物作りにチャレンジ!作り方と塩抜きのコツ
ザーサイはすでに漬物の状態になっているものを購入するのが通常である。原料となるカラシナが入手できれば自宅で自家製ザーサイを作ることも可能なのだろうか。ザーサイの漬け物はどのような手順で作るのか、またホール状で販売されているザーサイの塩抜き方法も併せて紹介する。
ザーサイの漬物の作り方
中国の四川省を中心に作られるザーサイの漬け物は、以下の工程を経て完成する。
- 風通しのよいところで乾燥
- 塩漬け
- 洗浄と味付け
- 発酵と熟成
この工程は、実はかなりの時間をかけることになる。すなわち、乾燥は約2週間、塩漬けは数回繰り返し乳酸発酵を促し、さまざまな香辛料とともに容器に漬け込んでいくのである。漬けたあとも、1年以上寝かせることが基本となっている。そのため、自家製のザーサイ作りは決してハードルが低くないことを覚えておこう。
ザーサイの塩抜き方法
ザーサイの漬け物はほぐれた状態で売られていることが多い。しかし、中華食材店などではホール状で販売されていることもある。このホール状のザーサイは塩抜きが必要である。丸い形状のザーサイを、まず水を張ったボウルに入れて流水でよく洗う。その後食べやすい大きさに切り、さらに水に浸けて1~2時間ほどおく。これでようやく、ホール状のザーサイも食べられる状態となる。
ザーサイの味付け方法
塩抜きしたザーサイは、市販の瓶詰のように味付けして楽しもう。にんにくや市販の中華調味料、醤油や酒などで、好みの味のザーサイを作ることができる。花椒や唐辛子で大人味のザーサイを作れば、おつまみ向きのザーサイとなる。
4. ザーサイの栄養やカロリー
野菜を原料としているザーサイにはどんな栄養が含まれているのだろうか。文部科学省の食品成分データベースを閲すると、ザーサイ100gあたりのカロリーは20kcalである。特筆すべき栄養は、以下のようになる。
ザーサイ100gあたりの主な栄養分(※1)
- ナトリウム:5400mg
- カリウム:680㎎
- カルシウム:140㎎
- 鉄:2.9㎎
- ビタミンK:24μg
- 葉酸:14μg
- 食物繊維:4.6g
つまり、ザーサイはミネラルが豊富な食材といえる。ナトリウムは塩分であり、ザーサイの摂取によって塩分の取りすぎとなる可能性も否定できない。しかし、塩分の調整をするカリウムを含むほか(※2)、血液を凝固させる作用があるビタミンK(※3)も豊富である。
5. ザーサイの栽培方法
食べやすく栄養価もあるザーサイは、自宅で栽培することもできる。アブラナ科のザーサイは、栽培自体は難しくない。その栽培方法や注意点を紹介する。
ザーサイの育て方
種をまくなら9月、苗を植えるなら10月で、収穫は翌1月となる。四川搾菜の名で販売されている種は、ホームセンターで見つけることが可能である。プランターでも栽培は可能であるが、根元の瘤の部分が膨らむため苗と苗の感覚は広めにとるのがよいだろう。高さは80cmほどに育つのが常である。
ザーサイ栽培の注意点
ザーサイは風通しのよい場所で栽培するがベターであり、土壌の状態を有機質に保つ以外それほど難しいコツはない。ただし、アブラナ科の植物の常で虫がつきやすいという難点はある。防虫ネットなどを活用し、虫よけの対策は万全にすることをおすすめする。
結論
日本の食卓にもかなり浸透したザーサイは、中国の四川省に起源をもつ野菜である。日本では漬け物の状態で販売されることが多く、独特の食感や風味は漬け物としてだけではなく調理にもよく使用される。塩分が強いものの、ザーサイには有益な栄養分も多い。適量を美味しく食卓に活用し、その塩気や酸味を堪能してほしい。(参考文献)
※1 文部科学省「食品成分データベース(野菜類・ザーサイ・漬け物)」
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=6_06088_7
※2 厚生労働省「e-ヘルスネット(カリウム)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
※3 株式会社岩波書店「生物学辞典第5版(ビタミンK)」