ショウガは料理の薬味としてだけでなく、飲み物やお菓子作りなど使い道が多く、便利な食材である。しかし、正しい保存方法に関してはあまり知られていないようだ。そこで本記事では、ショウガを長持ちさせる保存方法について解説する。
1. ショウガが長持ちする農家の保存方法
ショウガは、適切な保存方法により1年ほど長持ちさせることができる。農家では、新ショウガを収穫後すぐに茎を切り離し、貯蔵することで根ショウガにする。その際、重要なのが気温と湿度だ。ショウガの保存、貯蔵に最適な環境は、気温15℃、湿度90%である。農家ではこの環境を維持しながらショウガを保存しているため、通年に渡り出荷することができるのだ。
2. ショウガの保存方法:常温の場合
農家の保存方法にならい、温度15℃湿度90%の環境を維持するには、ショウガを常温保存できる期間は限られている。日本では、春から夏にかけての時期は気温が高いため不向きだ。涼しくなる秋から冬にかけて、暖房の影響を受けない室温の低い場所なら常温保存が可能だ。
常温保存のコツ
少量のショウガを常温保存する場合は、新聞紙で包む方法がおすすめである。ポイントは、ショウガをひとつずつ新聞紙で包んでから、霧吹きで水をかけることだ。新聞紙を湿らせることにより、最適な湿度を保つことができる。保存期間は2週間が目安となる。より長持ちさせるためには、新聞紙をこまめに取り替えること、冷暗所で保存しできるだけ室温15℃をキープすることを心がけるとよい。
長期保存なら発泡スチロールで密閉
大量のショウガを常温保存したい場合は、新聞紙で包んだショウガを発泡スチロール製の箱に詰めるという保存方法がおすすめだ。少量の場合と同様に、ショウガを包んだ新聞紙に水をかけて湿らせたら、発泡スチロール箱に詰めていく。収穫したてのショウガを保存する場合は、土の付いたままビニール袋に入れて発泡スチロール箱で保存することも可能だ。ふたを閉めたらガムテープで密閉すると、温度や湿度を一定に保つことができる。保存期間は時期によっても異なり、1~6ヶ月が目安となる。
3. ショウガの保存方法:冷蔵庫の場合
気温の高い時期は常温保存ができないため、冷蔵保存しよう。一般的な冷蔵庫は庫内温度が0~10℃と低いため、冷蔵保存する場合は比較的温度の高い野菜室に入れることが重要だ。長持ちさせるためには次の3つの保存方法がおすすめである。
水に入れて保存する
ショウガを冷蔵保存する場合は、水に浸けると長持ちさせることができる。手順は次の通りだ。
- ショウガの表面をよく洗って汚れを落とし、傷んでいる部分は切り落とす
- 密閉できる容器にショウガを入れ、全体がかぶる量の水を入れる
- ふたを閉めて密閉し、野菜室で保存する
保存期間は1ヶ月ほどが目安となる。1週間程度で水を入れ替え、容器を洗うことが大切だ。ショウガを使いながら保存する場合は、使う度に水と容器をきれいにするとよいだろう。
ラップやアルミホイルで包む
野菜室は適温をキープできる反面、乾燥しやすいというデメリットがある。とくにカットしたショウガの場合は、乾燥を防ぐためにラップやアルミホイルで包む保存方法もおすすめだ。ショウガの切り口にラップやアルミホイルを密着させるようにして包むことで、水分の蒸発を防ごう。3週間~1ヶ月ほどが保存期間の目安である。
焼酎に漬ける
焼酎に漬ける方法は、ショウガを冷蔵保存で最も長持ちさせられる方法である。保存方法はシンプルで、瓶にショウガと全体が浸かる量の焼酎を入れて野菜室で保存するだけだ。約6ヶ月も保存することができる。使用する焼酎はアルコール度数35度以上のものが最適だが、ワンカップ焼酎などを代用してもよい。水に浸ける方法よりもショウガの風味を保つことができる。また、加熱調理に使えばアルコールが飛ぶため、焼酎の香りも気にならない。
4. ショウガの保存方法:冷凍の場合
ショウガは冷凍保存も可能である。正しい保存方法なら2週間~1ヶ月程度風味をキープすることができる。また、冷凍したショウガは解凍せずにそのまま使えるため便利だ。冷凍する場合の適切な保存方法を紹介しよう。
使いやすい大きさに切る
ショウガは丸ごと凍らせることもできるが、薄切りや細切りなど使いやすい大きさに切ってから冷凍保存する方法がおすすめだ。凍ったまま必要な量だけ料理に入れられて便利である。使いやすい量に小分けにしてラップで包もう。また、切るだけでなくすりおろしたものを冷凍しておくと使いやすい。すりおろしたショウガを製氷皿に小分けにして入れ、少量の水を加えて冷凍しよう。ショウガは皮の部分の香りが強いため、皮のついたまま切ったりすりおろしたりするとよい。
空気を抜いて冷凍する
切ってラップで包んだショウガ、または製氷皿で凍らせたすりおろしショウガは、冷凍用保存袋に入れよう。酸化を防ぐために、保存袋の空気をできるだけ抜き、密閉してから冷凍することが重要だ。
5. ショウガの保存方法:乾燥させる場合
大量のショウガを長期保存したい場合におすすめなのが、乾燥させる保存方法だ。水分が抜けてかさが減り、保存しやすくなる。保存期間も6ヶ月程度と長いため、時間をかけて使いきることができる。乾燥する保存方法の手順を紹介しよう。
- 水洗いし水気をきったショウガを薄切りにする
- ザルなどに並べて5日間ほど天日干しする
- 水気がしっかりと抜けたら保存容器に入れて保存する
また、電子レンジで乾燥ショウガを作る方法もある。薄切りにしたショウガを耐熱皿に並べ、600Wで9分を目安に加熱するだけだ。加熱時間は様子を見ながら調整しよう。乾燥ショウガはそのまま料理に使えるほか、ミルなどで粉末状にして、飲み物に入れるなどさまざまな使い方ができる。
6. 新ショウガの保存方法は?
新ショウガは一般的な根ショウガよりも水分が多く傷みやすいため、保存方法や保存期間が異なる。2週間以上保存したい場合は、冷凍保存がおすすめだ。冷凍の方法は根ショウガと同様である。常温、冷蔵で保存する場合の保存方法や保存期間を見ていこう。
常温の場合
新ショウガを洗って水分をふき取り、新聞紙で包む。風通しがよく日の当たらない涼しい場所に保管しよう。保存期間は3~4日程度と短いため、常温保存したものは早めに使い切る必要がある。
冷蔵の場合
根ショウガと同様に、野菜室で保存する。乾燥を防ぐために、数枚重ねたペーパータオルで新ショウガを包み、ポリ袋に入れて口を軽く閉じておくとよい。冷蔵保存の場合は、10日程度保存可能だ。
保存食の場合
新ショウガはそのまま保存してもあまり日持ちしないため、保存食に加工する方法もおすすめである。シンプルで食べやすいのは、新ショウガの甘酢漬けだ。薄切りにした新ショウガと砂糖、すし酢を耐熱容器に入れ、電子レンジで加熱するだけで簡単に作れる。密閉できる保存容器に移せば、冷蔵庫で1ヶ月ほど保存できる。また、新ショウガと砂糖を煮てレモン汁を加えたジンジャーシロップは、冷蔵庫で1年ほど保存可能だ。いずれの場合も、保存容器は必ず消毒してから使おう。
結論
ショウガを長持ちさせるためには、適切な温度と湿度を保つことが大切である。室温では最適な環境にするのが難しい場合は、冷蔵や冷凍、乾燥などの保存方法を用いるとよいだろう。新ショウガは日持ちしないが、冷凍か保存食に加工して保存すると長持ちさせることができる。正しい保存方法で、最後までショウガを美味しく使いきろう。