リサイクルされるものには、ペットボトルや新聞紙、アルミ缶などいろいろある。そのなかでも、最も効率よくリサイクルされているものが瓶だ。技術の進歩により、瓶のリサイクルはさらに貢献度を高めている。どのようにリサイクルされ私たちの生活に役立っているのか、瓶のリサイクルにスポットを当ててみよう。
1. リサイクルされる瓶の種類
リサイクルされる瓶には「リターナブル瓶」と「ワンウェイ瓶」の2種類がある。それぞれリサイクルされる工程が違ってくる。
洗浄して再利用するリターナブル瓶
リターナブル瓶には、主に一升瓶やビール瓶、牛乳瓶などがある。回収したものを洗浄・殺菌し、再び同じ用途として使う瓶のことだ。割れたり傷が付いたりしない限り繰り返し使うことができる。
リターナブル瓶で代表的なビール瓶は、平均約8年間で20回以上使われ、最終的には細かく砕かれて、再度瓶として生まれ変わることができる。
ガラス瓶のまま再利用できるリターナブル瓶は、究極のエコ容器といってもいいだろう。
新たな瓶へと生まれ変わるワンウェイ瓶
ワンウェイ瓶は、一度使ったら工場で細かく砕かれる。これを「カレット」と呼ぶが、カレットを溶かして新しい瓶の原料としてリサイクルされる。瓶だけでなく、ガラスを原料としたいろいろな資材にも生まれ変わることができる。技術の進歩により、カレットの利用率は年々向上している。
2. 瓶がリサイクルされる工程
瓶はどのようにリサイクルされるのだろう。その工程を知ることで、瓶の資源ゴミの出し方でルールを守る必要性がわかる。
リターナブル瓶はそれぞれの商品メーカーへ
リターナブル瓶は、品質をチェックしたうえで洗浄・殺菌をして再び市場へと出すことができる瓶だ。資源ごみとして回収されたのち、リサイクル工場で分別されて出荷元であるメーカーに戻っていく。
ワンウェイ瓶はカレットにされ再生
ワンウェイ瓶は回収されたのち、リサイクル工場で「無色」「茶」「その他」と色の分別をされる。そして細かく砕かれてカレットになる。カレットになってからも、金属などの不純物が入っていないか徹底的に選別除去する作業が続く。
瓶とほかのゴミを一緒に出すことはNGだ。なぜなら、不純物が入ってしまうとガラスにしたときの強度が弱くなってしまうのだ。そのため非常に重要な工程でもある。
不純物を除いたカレットを高熱で溶かし、金型に入れ形を整えれば新しいガラス瓶が完成する。
3. 瓶は何にリサイクルされているか
ワンウェイ瓶はカレットとして再び瓶にリサイクルされるが、それ以外にもさまざまなモノにリサイクルされている。
土木材料として
瓶を細かく砕いたカレットを使って、道路の土木材料に利用されている。たとえば、キラキラと路面が光る舗装や色付きの景観舗装などにもリサイクルされている。コンクリートに混ぜて歩道用平板ブロック等にも使われている。
そのほかにも、水を吸わないカレットの特性から地盤改良、土地改良としても利用されている。
家の断熱材として
ガラス短繊維、いわゆるガラスウールにも瓶はリサイクルされている。ガラスウールは主に住宅用断熱材として使用されており、建築資材として欠かせない素材だ。
4. 瓶のリサイクルが向上するエコロジーボトル
1991年は、瓶のリサイクルにとって画期的な年になった。それは「エコロジーボトル」の誕生だ。
エコロジーボトルとは
エコロジーボトルとは、瓶の原料がリサイクルされたカレット90%以上を使用した瓶のことだ。カレットを原料として瓶を再生すると、ガラス瓶の材料となる「ケイ砂」「石灰石」「ソーダ灰」といった資源を大いに節約することができる。
それだけではない。ガラスを溶かすときに消費するエネルギーも削減できる。カレットの使用量が10%増えるだけで、約2.5%も熱効率が向上するのだ。これにより、大気汚染物質の排出も削減できる。
スーパーエコロジーボトルの登場
瓶のリサイクルの工程では「無色」「茶」「その他の色」と色別に3種類に分けられる。無色と茶色以外のカレットは「混色カレット」と呼ばれ、強度に関しては問題ないものの色が混ざってしまうため再生には不向きとされてきた。
しかし、リサイクル意識の向上とともに、この混色カレットも瓶として再生されるようになりこれをスーパーエコロジーボトルと呼んでいる。
「瓶は瓶に戻す」という理想形のリサイクルが徐々に認知されてきているのがエコロジーボトルの普及だろう。
結論
普段何気なく使っている瓶類。繰り返して使われているリターナブル瓶や「瓶から瓶」へとリサイクルされているワンウェイ瓶であることを知っている方は少ないのではないだろうか。改めて瓶のリサイクル性の高さに驚かされる。資源やエネルギーの節約、環境汚染物質の削減など瓶をリサイクルすることで、さまざまなメリットがある。瓶はゴミではない。潜在的な貴重な資源であることを改めて認識しよう。