ビジネスや学校で一般的に使用されている用紙サイズはA4だが、かつて原稿用紙といえばB4サイズが主流であった。A4サイズとB4サイズのおおよそのサイズ感は分かるが、実際の寸法を尋ねられても即答は難しいのではないだろうか。今回はA4、B4を中心に用紙サイズについて解説する。
1. A4とB4サイズの規格はどこで決まっている?
用紙サイズの規格はJIS日本産業規格P 0138「紙加工仕上寸法」によって標準化されており、1990年代に行われた行政文書のA判化以降、A4を含むA判が一般的な文書のスタンダードとなったのに対し、それまで主流であったB判は、近年使用するシーンが減少しているサイズ規格だ。
JIS P 0138では筆記用紙及び各種印刷物の仕上寸法について規定し、行政、商取引、ビジネスフォーム、カタログなどに適用するとしている。A、BはそれぞれISO-AシリーズJIS-Bシリーズとされ、各シリーズは0から10まで11段階のサイズに分けられている。
JIS内のAシリーズは、もとはドイツで作成された規格で、現在ISO国際標準化機構でISO216として採用され国際標準ともなっており、JIS P 0138内では主要シリーズとして位置づけられているが、一方のJIS-BシリーズはJIS P 0138内では補助シリーズとして位置づけられている。
JIS P 0138におけるBシリーズは、JES制定時にA0対B0の面積比を1:1.5として定められたものを採用しているので、Bシリーズに関してはJISとISOとで規格が異なっている。JESとはJIS制定以前の日本鉱工業品の規格である。ちなみに全てのJESは戦後再検討されJISに切り替えられている。
2. A4もB4も縦横比率はどちらも同じ
用紙サイズであるA判とB判を比較すると、サイズは異なっているが元になる正規寸法の基本原理は同じである。ここでは、短辺と長辺の比率について解説する。
A、Bどちらのシリーズも比率は√2:1
JIS規格におけるA、Bそれぞれの短辺と長辺の違いはA0の面積を1㎡、B0の面積をその1.5倍としていることで生じている。基本原則の定義はどちらも「二等分の原則で得られる一連の寸法で構成され、すべては幾何学的に互いに相似とする」とされており、A判もB判も半分に折ることで常に折る前の縦横比率と、折った後の縦横比率は変わらないということである。
JIS規格では、その必要条件を満たす長辺(Y)と短辺(X)の比率を下記とすると定められている。
Y:X =√2:1
この比率は、紙の寸法の規格としては裁断した際の無駄がなく機能的なものであるうえ、白銀比と呼ばれる人が美しいと感じる比率といわれている。
3. A4とB4の違いを比較
一般的な書類のサイズはA4がスタンダードであるが、本や雑誌のサイズに関してはA判に限らずいくつかのサイズ規格がある。週刊誌、研究誌、ニュース性のある冊子などは多くは見開きB4となるB5判サイズである。
下記ではA4、B4に焦点を当ててそれぞれのサイズの違いや一般的に使用される印刷物の違いについて具体的に比較していくので、A判とB判をイメージする際の目安としておくといいだろう。
短辺と長辺の長さの違い
A4、B4の短辺と長辺の長さの違いは下記となる。数字が同じ場合AよりBの方が大きいととらえるといい。
A4:21.0cm×29.7 cm
B4:25.7 cm×36.4 cm
面積の違い
A4、B4の面積の違いはJIS規格上では表記されていないが、計算上は下記となる。
A4:A3の半分のサイズ A0の1/16。1㎡÷16≒0.0625㎡≒62.5㎠
B4:B3の半分のサイズ A0の1/16。1.5㎡÷16≒0.09375㎡≒93.75㎠
主な印刷物
A4:記念誌・社史・電話帳など
B4:縦書き原稿用紙・新聞(タブロイド判)など
ちなみに、週刊誌・一般雑誌はB5判、一般書籍・文芸書はA5判、文庫本はA6判と、種類によっておおよそのサイズ分類が分けられており、持ち歩いて読むことを想定しているものに関してはA4、B4サイズを使用することは少ないようだ。
結論
A4、B4を中心とした用紙サイズについて解説したがいかがだっただろうか。パソコンやインターネットによるメール機能が充実した現代だが、まだまだ重要な書類に関しては紙媒体が中心であり、A4用紙は身近な存在といえるだろう。主要な用紙のサイズを覚えておくことで物のサイズ感を捉えやすくなり、日常生活の何気ないシーンで活かすことができる可能性もでてくるのではないだろうか。