神田外語大学(千葉県千葉市)で、タイの灯籠流しの伝統行事「ロイクラトン祭」が開催された。タイでは旧暦12月の満月の日に行われる伝統行事。生徒たちが鹿児島県・沖永良部島から贈られたバナナの葉を使って、本場タイと同じ材料での灯籠作りに初めて挑戦した。
バナナの葉を贈ったのは、和泊町で方言の継承活動に取り組んでいる田中美保子さん(65)。
同大学タイ語専攻の冨岡裕特任准教授(43)が、2018年に沖永良部島で方言のインタビュー調査を行った際に田中さんと知り合ったのが縁で、灯籠作りのことを知った田中さんが、同町玉城でバナナ園などを営む安田克彦さん(72)から葉と茎を提供してもらい、千葉市の大学まで宅配便で送った。
大学はタイ語専攻もあるほか、タイなど東南アジアからの留学生も多く、毎年この時期にこの行事を開いている。これまでは発泡スチロールと紙で代用して灯籠を作ってきたが、今回は沖永良部島から届いたバナナの茎と葉っぱを使った。学生たちがバナナの葉っぱを小さく裂いて1枚1枚を折り曲げ、茎に巻いて灯籠を完成。ろうそくや花などを添えて大学内の池に流して神様への祈りを捧げた。
田中さんは、バナナの葉は切り取るとすぐに黒くなってしまうので、新鮮な状態で送る工夫が大変だったが、「ロイクラトン祭りができたこと、遠く離れた沖永良部島の私たちの思いが少しでも届いていたら幸せ」と喜んでいた。
安田さんは千葉県出身で50年前に和泊町に移住した。「千葉の大学との縁で島のバナナの葉がお役に立てて嬉しい」と話していた。
[写真]鹿児島県・沖永良部島のバナナの葉を使った灯籠を流した神田外語大の「ロイクラトン祭」=11月13日、千葉県千葉市(提供写真)
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